米求人・労働移動状況(2017年、2018年)

米労働省から毎月発表される米国の求人・採用・解雇など雇用全般に関する調査結果に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2018年12月分

Summary

12月の非農業部門の求人数(季節調整済み)は前月から16万9000件増加して733万5000件となった。

求人率は4.7%で前月から0.1ポイント上昇した。

採用数は前月から9万5000件増加し、590万7000件となった。採用率は3.9%で前月から横ばいだった。

労働者の転職に対する自信を示す自発的離職者数は前月から1万2000人減少して348万2000人となり、自発的離職率は2.3%で横ばいだった。

一方、解雇者数は5万6000人減少して169万7000人となり、解雇率は1.1%で0.1ポイント低下した。

Comment

12月の米国雇用市場は、求人数が増加し、特に求人率の上昇が目立つ一方で、採用数も増加し、雇用需要が引き続き堅調であることが示された。自発的離職者数のわずかな減少や解雇率の低下は、労働者が安定した雇用環境を求めていることを示唆している。人事コンサルタントとしては、企業に対して、成長機会を活かしつつ、従業員の定着率向上に向けた施策の強化を提案すべきである。具体的には、キャリア開発プログラムの充実や職場環境の改善を通じて、優秀な人材の離職を防ぐ取り組みが求められる。

(2019年2月12日発表)

2018年11月分

Summary

11月の求人件数が24万3000件減の688万8000件だった。求人件数は8月に730万件と過去最高を記録していた。11月の求人率は4.4%に低下した。

業種別では建設が4万5000件減少。一方で運輸、倉庫、公益、金融、保険、教育、医療関連の求人は増加した。

採用件数は21万8000件減の571万件となり、採用率は3.8%に低下した。労働市場の信頼感を見る上で参考になる自発的な離職件数は11万2000件減の340万7000件となり、自発的な離職率は2.3%と横ばいだった。

Comment

米国の求人件数は昨年8月をピークに減少しているものの、求人件数は失業者数を依然87万人程度上回るなど、人手不足の状態が続いている。人事コンサルタントは、労働市場の動向を把握し、適切な人材戦略を策定することが求められる。

(2019年1月8日発表)

2018年10月分

Summary

10月の求人数(季節調整済み、速報値)は、前月から11万6000件増の707万9000件となった。

求人率は4.5%で前月から0.1ポイント上昇した。業種別では、ホテル・レストラン(6.5%)、医療ケア(5.6%)、小売り(4.8%)などの求人率が高かった。

採用数は前月から19万6000件増の589万2000件だった。採用率は3.9%で前月から0.1ポイント上昇した。

自発的離職者数は前月から5万人減の351万4000人となった。自発的離職率は2.3%で0.1ポイント低下した。一方、解雇者数は1万6000人減の169万1000人となり、解雇率は1.1%で横ばいだった。

Comment

10月の米国求人数の増加と採用数の向上は、労働市場の活性化を示しており、業種別のニーズに応じた人材確保戦略の重要性が浮き彫りとなっている。人事コンサルタントは、自発的離職率の低下と解雇率の安定を踏まえ、従業員の満足度と定着を向上させるための戦略を企業に提案することが求められる。これにより、企業の人材獲得と保持のバランスを最適化することが可能となる。

(2018年12月10日発表)

2018年9月分

Summary

9月の求人数(季節調整済み)は700万9000件となった。

求人率は4.5%で前月から0.2ポイント低下した。業種別ではレジャー・ホスピタリティー(6.0%)や医療ケア(5.8%)分野の求人率が高かった。

採用数は前月から16万2000件減の574万4000件となった。採用率は3.8%となり、前月から0.2ポイント低下した。

労働者の雇用市場への自信を示す自発的離職者数は前月から4万7000人減少して360万1000人となった。自発的離職率は2.4%となり、前月から横ばいだった。

解雇者数は9万人減の170万人となり、解雇率(1.1%)は前月から0.1ポイント低下した。

Comment

人事コンサルティングの視点から見れば、企業はこれらのデータを利用して、効果的な人材確保戦略を策定する必要がある。また、自発的離職者数の減少は市場の一定の不安定感を示しており、人事コンサルタントはこの情報を基に、従業員のエンゲージメントと満足度向上のためのアプローチを提案することが重要である。

(2018年11月6日発表)

2018年8月分

Summary

8月の求人数(季節調整済み)は、713万6000件となり、前月の改定値から5万9000件増加し、2か月連続で過去最多を更新した。

求人率は4.6%となり、前月から0.1ポイント上昇した。業種別では、専門・ビジネスサービス5.9%やレジャー・ホスピタリティー5.7%分野の求人率が高かった。

採用数は前月から7万1000件増の578万4000件となった。採用率は3.9%となり、前月から0.1ポイント上昇した。

自発的離職者数は前月から3万1000人減の357万7000人だった。自発的離職率は2.4%で前月から横ばいだった。

一方、解雇者数は17万6000人増の179万8000人となり、解雇率は1.2%となり、前月から0.1ポイント上昇した。

Comment

人事コンサルタントとしては、企業に対して、競争力のある採用プロセスの強化とともに、従業員のリテンション戦略を見直す必要性を提案すべきである。特に、専門スキルを持つ人材の確保には、柔軟な働き方やキャリア開発の機会を提供することが効果的である。また、解雇者数の増加を受け、組織再編時の適切なコミュニケーションとサポート体制を整えることが重要である。これにより、企業は高い求人需要に対応しつつ、従業員のモチベーションを維持し、長期的な成長を支えることが可能となる。

(2018年10月16日発表)

2018年7月分

Summary

7月の米求人件数は前月比11万7000件増加して694万件となり、過去最高を記録した。前月は682万件に上方修正された。

雇用された労働者は568万人と前月からほぼ変わらずだった。

離職率は2.4%(前月2.3%)に上昇し、2001年以来17年ぶり高水準となった。自発的離職者は358万人となり、前月の348万人から増加した。解雇者は160万人(前月165万人)に減少した。

求人件数は製造業や娯楽・ホスピタリティー、金融・保険で増加した。一方で小売りや教育サービス、連邦政府では減少した。

Comment

求人件数が過去最高を記録し、特に製造業、娯楽・ホスピタリティー、金融・保険での求人が増加しており、人事コンサルティングの視点では、これらの分野での人材確保と競争力強化が求められる。一方で、離職率が17年ぶりの高水準となっているため、人事コンサルタントは企業の従業員の定着率向上を図るための戦略的な施策を提案する必要がある。

(2018年9月11日発表)

2018年5月分

Summary

5月の求人数(季節調整済み)は663万8000件となり、過去最高だった前月の684万件から20万2000件減少した。求人率は4.3%となり、前月から0.1ポイント低下した。

採用数は前月から17万3000件増の575万4000件だった。採用率は3.9%となり、前月から0.1ポイント上昇した。

自発的離職者数は前月から21万2000人増の356万1000人となった。この結果、自発的離職率は0.1ポイント上昇の2.4%となり、2001年4月以来17年1か月ぶりの高水準となった。

一方、解雇者数は14万3000人減の158万8000人となり、解雇率は1.1%で0.1ポイント低下した。

Comment

特筆すべきは、自発的離職者数が21万2000人増加し、自発的離職率が2.4%に達した点である。これは労働市場が好調であり、労働者がより良い条件を求めて積極的に転職していることを示している。このような状況下で、人事コンサルタントとしては、企業が優秀な人材を引き留めるために、競争力のある賃金と柔軟な労働環境を提供することが重要である。

(2018年7月10日発表)

2018年4月分

Summary

4月の求人件数は前月比6万5000件増加して669万8000件となり、過去最高を更新した。求人件数は失業者数を2か月連続で上回り、その差は大きく拡大した。前月は663万3000件(速報値655万件)に上方修正された。

雇用された労働者は557万8000人となり、前月の548万6000人から増加した。

自発的離職者は335万1000人で、前月の338万7000人から減少した。離職率は2.3%で変わらず、解雇者は171万人となり、3か月ぶりの高水準となった。

4月の求人は専門・ビジネスサービスを中心に幅広い業種で増加。製造業や娯楽・ホスピタリティなどでも増えた。

4月までの1年間に新規雇用された労働者は6610万人、自発的離職者と解雇者の合計であるセパレーションは6370万人となり、差し引き240万人の雇用純増となった。

Comment

人事コンサルタントとして、求人増加を活用した効果的な採用戦略の立案と、人材流動性の高まりに対応するための離職防止策が重要である。また、企業は魅力的な職場環境の提供と従業員エンゲージメントの向上を目指すべきである。人事コンサルティングの視点からは、持続可能な人材育成と定着戦略の強化が求められる。

(2018年6月5日発表)

2018年3月分

Summary

3月の求人数(季節調整済み、速報値)は前月から47万2000件増加して655万件となり、過去最高だった昨年9月(623万1000件)を超え、過去最高を更新した。

3月の求人率も前月から0.3ポイント上昇して4.2%となり、過去最高となった。求人増は広範囲に及び、特に企業の設備投資増を受けた建設業や、ネット販売の拡大による倉庫・運送業などの増加が目立った。専門サービスも大きく増えた。

一方、採用数は前月から8万6000件減の542万5000人にとどまり、採用率も3.7%で前月と変わらなかった。

自発的離職数は、334万4000人となり、前月から13万6000人増加し、2001年1月以来17年2か月ぶりの高水準となった。自発的離職率も2.3%で前月より0.1ポイント上昇した。

Comment

3月の米国求人件数は過去最高の655万件に達し、求人率も4.2%と過去最高を記録した。この増加は建設業や倉庫・運送業、専門サービスなど広範な業種にわたり、企業の成長意欲を反映している。一方で、採用数は減少し採用率も横ばいであったため、人材確保の難しさが浮き彫りとなっている。自発的離職数も大幅に増加し、労働市場の流動性が高まっていることを示している。これらのデータを踏まえ、人事コンサルティングにおいては、企業に対し効果的な採用戦略の再検討を提案することが重要である。具体的には、採用プロセスの改善や雇用ブランドの強化を図るべきである。

(2018年5月8日発表)

2018年2月分

Summary

2月の求人件数は前月から17万6000件減少の605万2000件となり、市場予想を上回った。前月は622万8000件に下方修正(速報値631万2000件)された。

解雇者は164万7000人となり、2016年10月以来の低水準となった。民間で雇用された労働者は516万1000人となり、前月の523万6000人から減少した。自発的離職者は321万人となり、前月の319万1000人から増加した。

2月までの1年間に新規に雇用された労働者は6560万人、自発的離職者と解雇者の合計となるセパレーションは6330万人で、230万人の雇用純増となった。

Comment

2月の求人件数は前月から減少し605万2000件となったが、市場予想を上回った。解雇者数は164万7000人で、2016年10月以来の低水準を記録した。一方、民間での雇用者数は減少し、自発的離職者数は増加した。全体として雇用市場は安定しているが、雇用者数の減少と自発的離職者数の増加が示すように、労働者の流動性が高まっている。人事コンサルタントとして、企業は優秀な人材を確保し続けるために、従業員のエンゲージメントと満足度向上に注力する必要がある。特に、キャリアパスの明確化や継続的なスキル開発の機会提供が重要である。

(2018年4月13日発表)

2018年1月分

Summary

1月の求人件数は前月比64万5000件増加して631万件となり、市場予想を大幅に上回った。前月は567万件(速報値581万件)に下方修正された。

民間で雇用された労働者は524万人となり、前月の517万人から増加した。自発的離職者は327万人となり、前月の334万人から減少した。離職率は2.2%となり、前月(2.3%)から低下した。

求人の内訳を見ると、建設や輸送・倉庫、プロフェッショナル・ビジネスサービスなどで伸びが目立った。

1月までの1年間に新規に雇用された労働者は6540万人、自発的離職者と解雇者の合計であるセパレーションは6320万人となり、差し引き210万人の雇用純増となった。

Comment

人事コンサルタントとしては、企業に対して、急成長する分野での採用プロセスの効率化と、従業員定着のためのエンゲージメント強化策の提案が求められる。特に、建設や輸送・倉庫業などでは、労働力の流動性が高まる中、福利厚生の充実やキャリア開発の機会提供が、優秀な人材の確保と維持に重要な役割を果たす。また、企業は市場の変動に柔軟に対応するため、長期的な人材計画の策定にも注力すべきである。

(2018年3月16日発表)

2017年12月分

Summary

2017年12月の非農業部門の求人数(季節調整値)は、前月から16万7000件減少して581万1000件となった。求人率は3.8%と前月から0.1ポイント低下した。11月の求人数は597万8000件へと速報値から上昇修正された。

12月の採用数は前月から5000件減少の548万8000件だった。採用率は3.7%となり前月と変わらなかった。

自発的離職者数は前月から9万8000人増加の325万9000人、自発的離職率は2.2%となり前月から0.1ポイント上昇した。解雇者数は8万人減少の164万5000人、解雇率は1.1%となり0.1ポイント低下した。

Comment

米国の他の労働市場関連指標が堅調であることから、12月の求人数の減少は雇用統計の非農業部門雇用者数とともにノイズの可能性があるとの見方が出ている。

(2018年2月7日発表)

2017年11月分

Summary

11月の求人件数は前月から4万6000減少し588万件となった。2か月連続で減少し、2016年5月以来の低水準となった。

レイオフ件数も前月比7000件減の167万件となり、5か月連続で減少し、半年ぶりの低水準となった。

求人率は3.8%となり、前月の3.9%から低下した。採用件数は549万件となり、前月から10万4000件減少。採用率も3.8%から3.7%に低下した。

部門別では、11月は製造、公益、不動産などで減少、一方で、ネット通販勢に苦戦を強いられている小売は8万8000件増加した。自発的離職率は3カ月連続で横ばいの2.2%だった。

Comment

米労働市場が完全雇用に近づく中、雇用の伸びが今年鈍化するとの大方の見方を裏付けする結果となった。低い離職率は、低水準にある失業率を背景に、労働市場に大きな動きがないことを示しており、労働者側の現状維持が続けば、雇用者に対する賃金押し上げ圧力も弱くなってしまう可能性がある。

(2018年1月9日発表)

2017年5月分

Summary

5月の求人数(季節調整済み)は566万6000件となり、前月から30万1000件減少した。

求人率は前月から0.2ポイント低下の3.7%だった。建設業や輸送・倉庫・電気ガス分野などで求人が減少した。

一方、採用数は547万2000件で前月から42万9000件増加した。採用率は3.7%となり、前月から0.2ポイント上昇した。

自発的離職者数は前月より17万7000人増加して322万1000人となり、自発的離職率は2.2%となり、0.1ポイント上昇した。

解雇者数は5万6000人増加して166万1000人となり、解雇率は1.1%と横ばいだった。

Comment

自発的離職者数の増加は、よりよい賃金・条件を求めて転職する労働者の増加を示すとされる。採用数の増加と合わせると、賃金圧力の上昇が予測されるが、6月の雇用統計によると、賃金伸び率は前年同月比2.5%と伸び悩んでおり、先行きは不透明なままだ。

(2017年7月11日発表)

2017年4月分

Summary

4月の求人件数は604万4000件となり、前月の578万5000件(改定値)から25万9000件増加して過去最高を記録した。

4月に雇用された労働者は505万人となり、前月の530万人から減少した。雇用率(全雇用者に対する月間雇用創出の比率)は3.5%で、前月の3.6%から低下した。

自発的離職者は303万人となり、前月の314万人から減少した。離職率は2.1%で、前月の2.2%から低下した。解雇者は159万人となり、前月の166万人から減少した。

求人の内訳を見ると、宿泊・食品サービスや建設、金融などの分野で増加した。一方で、製造業や小売りでは減少した。

Comment

4月の求人件数は過去最高となり、米国の求人需要が引き続き強いことが示された。米国は完全雇用状態にあるとされており、労働市場は引き締まり続けている。

(2017年6月6日発表)

2017年3月分

Summary

3月の求人件数は574万件となり、前月の568万件(速報値574万件)から6万1000件増加した。

3月に雇用された労働者は526万人となり、前月の525万人から僅かに増加した。雇用率(全雇用者に対する月間雇用創出の比率)は3.6%となり、前月と同じだった。

自発的離職者は312万人となり、前月の304万人から増加した。離職率は前月と同じ2.1%だった。

求人の内訳を見ると、製造業やビジネスサービスで増加した。

3月までの1年間で創出された雇用は230万人の純増となった。年間の雇用創出6290万人に対して、自発的離職者に解雇者を加えたセパレーションは6050万人だった。

Comment

3月の求人件数(季節調整済み)は8か月ぶり高水準となり、労働者がより良い待遇を求めて離職する自発的な離職も増加した。米国の雇用情勢が改善を続けていることを示す内容となった。

(2017年5月9日発表)

2017年2月分

Summary

2月の求人件数は574万件と、前月の563万件から増加して7か月ぶりの高水準となった。

2月に雇用された労働者は531万人となり、前月の542万人から減少した。雇用率(全雇用者に対する月間雇用創出の比率)は3.6%となり、前月の3.7%から低下した。

自発的離職者は約308万人となり、前月の319万人から減少した。離職率は2.1%となり、前月の2.2%から低下した。解雇者は158万人となり、前月の166万人から減少して5か月ぶりの低水準となった。

求人の内訳では、建設やヘルスケア、食品サービスなどの分野で増加した。

Comment

米国では求人増にもかかわらず採用は減少しており、これまでに見られなかったような雇用のミスマッチが起きている。米国の失業率は4.5%、10年ぶりの低水準となり、完全雇用状態にあると考えられている。

(2017年4月11日発表)

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