米労働省から四半期毎に発表される労働生産性(米労働省)、雇用コスト指数(米労働省)等の雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。
1-3月の米雇用コスト指数(季節調整済)は前期比1.2%上昇となり、市場予想を上回った。四半期ベースでの伸び加速は1年ぶりとなった。昨年10-12月(第4四半期)は1.1%上昇(速報値1%上昇)に修正された。
雇用コスト指数が1%以上の伸びを示すのがこれで7四半期連続となり、1996年のデータ開始以来の最長記録を更新した。
1-3月は建設など財生産業界が雇用コストの上昇に大きく寄与した。サービス業界の同コストは1.1%上昇となり、5四半期ぶりの低い伸びとなった。
雇用コスト指数は前年同期比では4.8%上昇となり、前期の5.1%上昇から伸びが鈍化した。インセンティブ(奨励給)が支給される職種を除いた雇用コストも減速した。
米国の雇用コストは1-3月(第1四半期)に市場の予想以上に伸びが加速し、労働市場が持続的に逼迫(ひっぱく)する中、報酬が依然速いペースで増加していることを示す内容となった。人事コンサルタント的には、日本ではデフレ環境下で賃金が上がらないのに、米国ではインフレで賃金が上がり続ける好対照な状況となっているのが皮肉に思えてしまう。
(2023年4月28日発表)
2017年(第1四半期)の米雇用コスト指数 は、2007年10-12月(第4四半期)以降で最大の上昇となった。賃金・ 給与、諸手当ともに伸びが加速した。
2017年第1四半期の雇用コスト指数は前期比0.8%上昇した。前期は0.5%上昇だった。
賃金・給与は0.8%上昇(前期0.5%上昇)した。諸手当は0.7%上昇 (前期0.5%上昇)した。
第1四半期の雇用コスト指数は前年同期比では2.4%上昇となり、ここ2年で最 大の伸びとなった。
第1四半期の賃金・給与は前年同期比2.5%上昇となり、2016年第2四半期以来の大幅な伸びとなった。
民間部門の諸手当は前年同期比1.9%上昇となり、2015年以降で最大の伸びとなった。
前期の0.5%上昇に続く上昇となり、米国経済が完全雇用の状態に近づく中で、労働需給の引き締まりから賃金上昇が加速していることが示された。
(2017年4月28日発表)
2016年第4四半期の雇用コスト指数は前期比0.5%上昇した。市場予想の0.6%上昇を下回った。第3四半期は0.6%上昇した。
前年同期比では2.2%上昇と第3四半期の2.3%から鈍化した。
雇用コストの70%に相当する賃金・給与は第4四半期に前期比0.5%上昇した。第3四半期も同じ伸びだった。
賃金・給与は前年比で2.3%上昇、第3四半期は2.4%上昇だった。諸手当は第4四半期に前期比0.4%上昇、第3四半期は0.7%上昇した。
労働市場の引き締まりで賃金は上昇するのが通例だが、物価上昇は鈍化している。FRBのベージュブックでは多くの地区からの情報に基づき、労働市場は2017年も引き続き引き締まり、賃金圧力は高まる見込みとしている。インフレ率がFRBが目標とする2%近辺に上昇するためには、雇用コストが前年比で少なくとも3%は上昇することが必要とされている。
(2017年2月1日発表)
企業や各業界は今年の経済成長を楽観しているようだ。雇用の伸びはわずか、ないし緩やかと報告された。また12地区連銀の大 半は労働市場のタイト化が続くと予想した。
ベージュブックでは「高度なスキルを必要とする職種で労働者を見つけるのが広域で困難だった。数地区は、それほどスキルを必要としない職種での採用において問題があったと報告した」と指摘し、「大半の地区は賃金圧力が高まったと説明した」とされた。
いくつかの地区連銀は大統領選後の信頼感回復を報告したが、クリーブランド連銀は、規制の変化が投資にどう影響していくのか不透明だと指摘した。
物価圧力の高まりも指摘され、8地区が緩やかなインフレーションを報告した。
労働市場に関しては全国的に「報告の対象期間中、タイトだった、ないしタイト化したと報告された」とし、「2地区では解雇について言及があったものの、それら地区でも他の地区と同様、回答した企業の大半は雇用の純増を指摘した」と記された。
地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、経済は昨年11月遅くから年末にかけて緩慢なペースでの拡大が続いた。労働市場のタイト化が、より広範な賃金と物価の上昇を後押ししたことが報告された。
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