全米雇用報告(2019年)

ADP(オートマティック・データ・プロセッシング)から毎月発表される米国の雇用に関する指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2019年12月分

Summary

12月の米国の民間雇用者数は20万2000人の増加となり、市場予想を大幅に上回った。11月は12万4000人増に上方修正された(速報値6万7000人増)。

12月は財生産部門の雇用者数が2万9000人増加した。内訳では建設業が3万7000人増加した。一方で天然資源・鉱業は1000人減少、製造業は7000人減少した。

サービス部門は17万3000人増加した。内訳では、貿易・輸送・公益事業サービスが7万8000人増、プロフェッショナル・ビジネスサービスは6万1000人増、教育・医療サービスが4万9000人増だった。

規模別では、従業員500人以上の大規模企業が4万5000人増加、50人以上499人以下の中規模企業が8万8000人増加、49人以下の小規模企業が6万9000人の増加となった。

Comment

12月の全米雇用報告で市場予想を大幅に上回る雇用増が示された。特にプロフェッショナル・ビジネスサービス、貿易・輸送などでの伸びが顕著である。人事コンサルタントとしては、専門的なスキルの需要が高まる中、中小企業が積極的な採用戦略や社内育成を通じて、即戦力となる人材を効果的に確保し、組織の競争力を強化する方策を助言・提案する必要がある。

(2020年1月9日発表)

2019年11月分

Summary

11月の米国の民間雇用者数は6万7000人の増加となり、市場予想を大きく下回った。10月は12万1000人増に下方修正された。

11月は財生産部門の雇用者数が1万8000人減少した。天然資源・鉱業、建設業、製造業の3つのサブカテゴリー全てで減少した。

サービス部門は8万5000人増加した。内訳では、教育・医療サービスは3万9000人増、プロフェッショナル・ビジネスサービスは2万8000人増だった。一方、貿易・輸送・公益事業サービスは1万5000人の減少となった。

規模別では、従業員500人以上の大規模企業が2万7000人増加、50人以上499人以下の中規模企業が2万9000人増加、49人以下の小規模企業が1万1000人の増加となった。

Comment

11月の米国民間雇用者数の増加は市場予想を大きく下回り、特に財生産部門の雇用減少が目立つ。人事コンサルタントとして注目すべきは、製造業や建設業を中心とした財生産部門の低迷に対し、競争力を強化するための人材戦略が急務である点である。一方で、サービス部門、特に教育・医療サービスやプロフェッショナル・ビジネスサービスは堅調な雇用増加を見せており、これらの分野での専門人材の需要が今後も拡大する可能性が高い。企業規模別の雇用増加が比較的均衡していることから、全ての規模の企業に対して、リスキリングや新技術への適応力を高めるプログラムの導入が求められる。

(2019年12月4日発表)

2019年10月分

Summary

9月の米国の民間部門雇用者数は12万5000人増となり、市場予想を上回った。9月分は9万3000人増に、当初の13万5000人増から下方修正された。

9月は財生産部門で1万3000人減少した。内訳では、製造業、建設業、然資源・鉱業ともに4000人減少した。

サービス部門は13万8000人増加した。内訳では、教育・医療サービスは4万1000人増、貿易・輸送・公益事業サービスは3万2000人増、プロフェッショナル・ビジネスサービスは1万8000人増だった。

雇用は特にサービス部門での増加が目立ち、教育・医療サービスや貿易・輸送・公益事業サービスで増加した。これに対して、財生産部門は全体として減少を見せ、製造業や建設業、天然資源・鉱業がそれぞれ弱さを露呈した。人事コンサルティングの観点からは、これらのデータを踏まえ、企業は変動する市場環境に適応するための戦略的な人材管理が求められる。人事コンサルタントは、これらの業界動向を理解し、企業の持続可能な成長を支援するための具体的な提案を行う重要な役割を担っている。

Comment

教育・医療サービスや貿易・輸送・公益事業サービスの拡大が経済全体の安定に寄与していることを示しており、人事コンサルタントこれらの産業における人材管理と成長戦略を強化する必要がある。一方、財生産部門では特に製造業、建設業、天然資源・鉱業が苦戦を強いられており、これらの産業に対しては、戦略的な人事アプローチと再スキリングの推進が求められる。

(2019年11月1日発表)

2019年9月分

Summary

9月の米国の民間部門雇用者数は13万5000人増となり、市場予想を下回った。8月分は15万7000人増へと下方修正された。

9月は財生産部門で8000人増加した。内訳では、製造業は2000人増、建設業は9000人増、天然資源・鉱業が3000人減だった。

また、サービス部門は12万7000人増加した。内訳では、教育・医療サービスは4万2000人増、貿易・輸送・公益事業サービスは2万8000人増、プロフェッショナル・ビジネスサービスは2万人増だった。

Comment

こうした状況下において、人事コンサルタントとしては、成長分野への戦略的な人材配分と停滞分野の構造改革の提案が急務であると考える。人事コンサルティングの視点から、企業は労働市場の変動を見据えた柔軟な採用戦略と、従業員のスキルアップを促進する教育プログラムの導入が求められる。

(2019年10月2日発表)

2019年8月分

Summary

8月の民間雇用者数は19万5000人増加し、市場予想を上回った。7月は15万600人増から14万2000人増に下方修正された。

財生産部門の雇用は1万1000人増加した。製造業は8000人増、建設業は6000人増だった。

サービス業の雇用は18万4000人増加した。教育・医療サービスは5万8000人増、貿易・輸送・公益事業サービスは3万9000人増、プロフェッショナル・ビジネスサービスは3万500人増だった。

企業の規模別では、小規模企業の雇用者数は6万6000人増、中堅企業は7万7000人増、大企業は5万2000人増だった。

Comment

8月のADP全米雇用報告は市場予想を上回り、特にサービス業の雇用が堅調に増加している。このデータを受けて、人事コンサルタントは企業規模に応じた適切な人材戦略を策定・提供することが重要である。小規模から大企業まで一様に雇用が増加しており、教育・医療サービスや貿易・輸送・公益事業などのセクターで特に需要が高まっていることから、これらの業界に特化した人事コンサルティングの提供が求められる。

(2019年9月5日発表)

2019年7月分

Summary

7月の米国の民間部門の雇用者数は15万6000人増加した。前月は11万2000人増(速報値10万2000人増)に修正された。

財生産部門の雇用は9000人増加した。建設業が1万5000人増加した。

サービス業は14万6000人増加した。教育・医療サービスが3万7000人増加、専門職・ビジネスサービスが4万4000人増加した。

小規模企業の雇用者数は1万1000人増加、中堅企業は6万7000人増加、大企業は7万8000人増加した。

Comment

米国民間部門の雇用者数は、堅調な経済成長を背景に増加した。特にサービス業や教育・医療サービス、専門職・ビジネスサービスの伸びが顕著である。また、小規模企業から大企業まで幅広い規模の企業での雇用増加は、人事コンサルティングにおける多様なアプローチの必要性を示している。効果的な採用戦略と継続的な人材開発が求められる。

(2019年7月31日発表)

2019年6月分

Summary

6月の民間雇用者数は前月から10万2000人の増加となり、市場予想を下回った。前月は4万1000人増(速報値2万7000人増)に上方修正されたが、修正後も2010年以来の低い伸びにとどまった。

財生産部門の雇用は1万5000人減少した。 建設業が1万8000人減少した 。

一方、サービス業の雇用は11万7000人増加した。サービス業の伸びは幅広く、教育・医療サービスが5万5000人増加、専門職・ビジネスサービスが3万2000人増加した。

規模別では、小規模企業の雇用者数は2万3000人減少した。一方、中規模企業は6万人、大企業では6万5000人増加した。

Comment

製造業や建設業での雇用減少が顕著であり、これらのセクターに依存する企業は人材戦略の見直しが急務である。逆にサービス業の雇用は堅調であり、教育・医療サービスや専門職・ビジネスサービスが大きく貢献したことから、これらの分野への人材投資を強化することが重要である。また、規模別の雇用動向を見ると、小規模企業の雇用減少が際立つため、小規模企業向けの人事コンサルティングの需要が高まると予想される。人事コンサルタントとして、各企業のセクター別・規模別の特性に応じたカスタマイズされた人事戦略を提案し、変動する経済環境に適応するための支援を行うことが求められる。

(2019年7月3日発表)

2019年5月分

Summary

5月の民間雇用者数は2万7000人増となり、市場予想を大幅に下回り、2010年3月以来9年2か月ぶりの小幅な伸びにとどまった。4月の雇用者数は当初発表の27万5000人増から27万1000人増へ下方修正された。

5月は小規模企業(従業員1─49人)の雇用者数が5万2000人減少し、20か月ぶりの減少となり、2010年3月以降で最大の減少幅となった。中規模企業(従業員50─499人)の雇用者数は1万1000人増加したが、増加幅は2010年3月以降では最低となった。大規模企業(従業員500人以上)は6万8000人増加した。

財生産部門の雇用は4万3000人の減少となったが、建設が9年間で最大の落ち込みとなり3万6000人減、製造業が3000人減となった。

サービス部門では、教育・医療が3万3000人増、専門職などが2万2000人増、娯楽・宿泊が1万6000人増、金融が1万3000人増だった。

Comment

このような状況下、小規模企業への支援強化が求められる。彼らが抱える経済的負担を軽減し、持続可能な成長を支援するための施策が急務である。また、財生産部門においては、労働力の再配置やスキルアップを促進するための研修プログラムを導入し、産業全体の競争力を高めることが求められる。さらに、サービス部門においては、特に成長が見込まれる分野への戦略的な人材投資を推進し、雇用の安定化を図ることが重要である。人事コンサルタントは、これらの施策を通じて企業が持続可能な人材戦略を構築し、経済環境の変化に対応できるよう支援するべきである。

(2019年6月6日発表)

2019年4月分

Summary

4月の民間雇用者数は27万5000人の増加となり、市場予想を上回った。3月は15万1000人増(速報値12万9000人増)に上方修正された。

財生産部門の雇用は5万2000人増加した。建設業が4万9000人増加し、製造業が5000人増加した一方、天然資源・鉱業は2000人減少した。

サービス業の雇用者は22万3000人増加し、約3年ぶりの大幅な伸びとなった。専門職・ビジネスサービスが5万9000人増加し、 教育・医療サービス(5万4000人増加)、娯楽・ホスピタリティー(5万3000人増加)の伸びが目立った。

従業員数20人未満の小規模企業の雇用者数は7万7000人の増加、中規模企業の雇用者数は14万5000人の増加、大企業は5万3000人増加した。

Comment

4月の米国民間雇用者数の大幅な増加は、経済全体の堅調な成長を示しており、特に、建設業や専門職・ビジネスサービス、教育・医療サービス、娯楽・ホスピタリティー分野での雇用増加が顕著であり、これらの分野において人材需要が高まっている。人事コンサルタントとしては、これらの業界に対し、優秀な人材の確保と保持に向けた戦略的なアプローチが必要である。

(2019年5月1日発表)

2019年3月分

Summary

3月の民間部門雇用者数が12万9000人増となった。

内訳では、財生産部門は6000人減少した。内訳では、建設業が6000人減、製造業が2000人減だった。

サービス部門は13万5000人増加した。内訳では、専門サービスが4万1000人増、教育・健康関連サービスが5万6000人増、貿易・輸送・公益事業サービスは9000人増だった。

企業の規模別では、従業員が500人以上の大企業は6万人増、50-499人の中堅企業が6万3000人増、49人以下の小企業は6000人増となった。

Comment

建設業と製造業の雇用減少は、これらの産業が直面している課題を示している。一方で、サービス部門の顕著な増加は、特に専門サービスや教育・健康関連サービスの強い需要を反映している。企業規模別では、特に大企業と中堅企業での雇用が増加しており、これらの企業が市場における成長動力となっていることを示している。人事コンサルタントは、これらのデータを基に、業種別や規模別の適切な人材確保と管理戦略を企業に提案することが重要である。

(2019年4月3日発表)

2019年2月分

Summary

2月の民間部門雇用者数が18万3000人増となった。

内訳では、生産業が4万4000人増加した。内訳では、建設業が2万5000人増、製造業が1万7000人増だった。

サービス業は13万9000人増加した。内訳では、専門サービスが4万9000人増、教育・健康関連サービスが4万9000人増、貿易・輸送・公益事業サービスは1万4000人増だった。

企業の規模別では、従業員が500人以上の大企業は7万7000人増、50-499人の中堅企業が9万5000人増、49人以下の小企業は1万2000人増となった。

Comment

2月の米国民間部門雇用者数の増加は、安定した経済成長の継続を示している。特に生産業やサービス業の幅広い分野での雇用拡大は、各業界における人材需要の高まりを反映している。特に専門サービスや教育・健康関連サービスの分野において、今後も優秀な人材の確保と育成が企業の競争力を左右する重要な要素となるだろう。また、企業規模別のデータから、大企業だけでなく中堅企業でも顕著な雇用増が見られるため、これらの企業においては効果的なリーダーシップ開発や組織文化の強化が求められる。一方、小企業に対しては、リソースが限られている中での持続可能な成長を支援するため、柔軟な雇用管理やリスキリングの導入が有効である。人事コンサルタントはこのような多角的な人材戦略の提案により、企業の発展を後押しすることができる。

(2019年3月6日発表)

2019年1月分

Summary

1月の民間部門雇用者数が21万3000人増となり、市場予想を上回った。

2018年12月は当初発表の27万1000人増から26万3000人増へ下方修正された。11月の数字は15万7000人増から14万8000人増へ下方修正された。

内訳では、財生産部門が6万8000人増と底堅く伸び、2018年2月以来の大幅な増加となった。建設業が3万5000人増、製造業が3万3000人増となった。

サービス業は14万5000人増となり、過去16か月間で3番目に少ない伸びとなった。専門サービスは2万9000人増となり、雇用者数の伸びが前月減少したものの、依然として勢いを保っている。一方、貿易・輸送・公益事業サービスは1万3000人増となり、2017年10月以来の弱い伸びにとどまった。

Comment

1月の米国民間部門雇用者数の増加は市場予想を上回り、特に財生産部門の顕著な伸びが注目される。建設業や製造業での雇用増加は、経済の基盤が引き続き強固であることを示している。人事コンサルタントは、これらの分野における人材確保が今後の成長を左右する要因であり、特に製造業では熟練労働者の育成と維持が重要であることを認識し、人材戦略の再構築を企業に提案する必要がある。

(2019年1月30日発表)

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