一般職業紹介状況(2022年)
厚生労働省が毎月発表している公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめた求人倍率などの雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。
2022年12月分
Summary
2022年12月の有効求人倍率は1.35倍となり、10、11月と同水準だった。求人数(季節調整値)は前月に比べて0.4%減、求職者数(同)は0.3%減だった。
12月の新規求人数(原数値)は前年同月比4.8%増加した。産業別では「生活関連サービス業、娯楽業」が同18.5%増と大きく伸びた。このほか「サービス業(他に分類されないもの)」が7.9%増、「宿泊業、飲食サービス業」が同6.9%増となった。
この結果、22年暦年の有効求人倍率は1.28倍となり、21年の1.13倍を0.15ポイント上回った。有効求人は前年に比べて12.7%増、有効求職者数は0.7%減となった。
Comment
12月の有効求人倍率は1.35倍と10月・11月と同水準を維持し、求人数と求職者数はいずれも減少傾向にあるが、新規求人数の増加が見られる。特に「生活関連サービス業、娯楽業」や「宿泊業、飲食サービス業」で顕著な伸びを示しており、経済活動の正常化が進んでいることを反映している。2022年の年間有効求人倍率も前年を上回り、雇用状況の改善が進んでいる。人事コンサルタントとしては、このような産業ごとの需要変動に即応するため、業界特化型の採用戦略と柔軟な雇用形態の導入を提案すべきである。
(2023年1月31日発表)
2022年11月分
Summary
11月の有効求人倍率(季節調整値)で1.35倍となり、前月から横ばいだった。
新規求人倍率は2.42倍となり、前月から0.09ポイント上昇し、新型コロナウイルス禍前の2019年8月以来の高水準になった。
11月は景気の先行指標とされる新規求人数が86万5294人となり、前年同月比8.7%増加した。業種別では宿泊・飲食サービス(21.2%増)の伸びが大きかった。水際対策の緩和でインバウンド(訪日客)需要が拡大し、ドラッグストアなどの卸・小売り(13.0%増)も堅調だった。
Comment
新規求人倍率が2.42倍まで上昇し、インバウンド需要の増加が宿泊・飲食サービス業や卸・小売業の求人増加に直結している。これは、業界の急速な需要拡大に伴い、即戦力となる人材の確保が急務であることを示している。人事コンサルタントは、これらの業界が一時的な採用に留まらず、持続的な人材戦略を構築するための研修プログラムやキャリア開発を提案し、採用した人材が定着・成長する仕組みを作ることが重要だ。
(2022年12月27日発表)
2022年10月分
Summary
10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍となり、前月に比べて0.01ポイント上昇した。新型コロナウイルス禍からの経済回復を反映して10か月連続で上昇し、2020年3月以来の水準に持ち直している。
有効求職者数(同)は0.8%減となった。物価高による家計への影響を和らげるために収入確保に向けた求職活動を活発化させる動きがあった一方で、企業の業績回復傾向に伴ってリストラなど事業主都合による離職が減少した。
景気の先行指標となる新規求人数(原数値)は前年同月比7.9%増加した。産業別では「宿泊業、飲食サービス業」が同29.3%増と大きく伸びた。このほか「卸売業、小売業」が同11.7%増、「生活関連サービス業、娯楽業」が同11.3%増となった。
Comment
企業の業績回復に伴いリストラの減少が見られる一方で、物価高が家計に影響を及ぼす中、求職者の収入確保への意欲が高まっている。新規求人数の増加は、特に「宿泊業、飲食サービス業」の29.3%増という顕著な伸びに見られる。人事コンサルティングの観点からは、産業ごとの成長を捉え、適切な雇用戦略を立てることが今後の鍵となる。
(2022年11月29日発表)
2022年9月分
Summary
9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.34倍となり、前月から0.02ポイント上昇し、9か月連続で前月を上回った。2020年秋の1.04倍から持ち直しの動きが続いているが、感染拡大前のピークだった2020年1月の1.49倍と比較すると大きな開きがある。
景気の先行指標とされる新規求人数は前年同月比9.8%増加した。業種別では観光需要などの持ち直しで宿泊・飲食サービス(29.5%増)の伸びが大きかった。生活関連サービス・娯楽(22.3%増)や卸・小売り(12.7%増)も堅調だった。新規求人倍率は2.27倍と前月を0.05ポイント下回った。
Comment
有効求人倍率の上昇は労働市場の回復を示しているが、依然として新型コロナウイルス感染拡大前の水準には戻っていない。特に宿泊・飲食サービス業や生活関連サービス・娯楽業の求人増加は、観光需要の回復が影響していると考えられる。この状況を踏まえて、人事コンサルタントは企業に対して、市場の変化に対応するための戦略的な人材確保を提案することが重要である。その中でも、新規求人倍率の小幅な低下に注意を払い、適切な採用戦略の調整が求められるであろう。
(2022年10月28日発表)
2022年8月分
Summary
8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.32倍となり、前月に比べて0.03ポイント上昇した。有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.6%増、有効求職者数(同)は1.5%減となった。
8月の新規求人数(原数値)は前年同月比15.1%増加となった。産業別では「宿泊業、飲食サービス業」が同51.1%増、「生活関連サービス業、娯楽業」が同28.9%増、「卸売業、小売業」が同18.7%増などと伸びが目立った。
Comment
有効求人倍率は8か月連続で上昇し、2020年3月以来の水準まで持ち直したものの、1.5~1.6倍台で推移していたコロナ禍以前の2019年の水準には未だ届いていない。人事コンサルタントの視点からは日本経済や社会の先行きの不透明感を払拭できない状況が影響しているように見える。
(2022年9月30日発表)
2022年7月分
Summary
7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.29倍となり、前月に比べて0.02ポイント上昇し、7か月連続で上昇した。有効求人数(季節調整値)は前月に比べて0.8%増、有効求職者数(同)は1.2%減となった。
景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月に比べて12.8%増加した。産業別では「宿泊業、飲食サービス業」が47.7%増、「サービス業(他に分類されないもの)」が16.7%増と伸びが目立った。
Comment
7月の有効求人倍率が1.29倍となり、7か月連続で上昇したことは、経済の回復基調を示しているである。特に「宿泊業、飲食サービス業」の47.7%増加は、新型コロナウイルスによる制限緩和と観光需要の回復を反映しているである。人事コンサルタントとしては、このような時代背景を踏まえ、企業が求める人材ニーズを的確に把握し、多様化する労働市場に対応した戦略的な採用計画を提案することが求められる。
(2022年8月30日発表)
2022年6月分
Summary
6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.27倍となり、前月に比べて0.03ポイント上昇した。有効求人数(同)は前月に比べて1.7%増、有効求職者数(同)はほぼ横ばいだった。
6月の新規求人数(原数値)は前年同月に比べて12.0%増加した。産業別では「宿泊業、飲食サービス業」が30.9%増で伸びが目立ったほか、「製造業」はプラス16.9%、「生活関連サービス業・娯楽業」はプラス16.7%となった。
厚生労働省は「先月は、新型コロナの感染状況が比較的、落ち着いていたため経済活動が活発となりほとんどの産業で求人が増える傾向だった。ただ、今月に入って感染が拡大していて影響が出るか注視する必要がある」とした。
Comment
有効求人倍率の上昇と新規求人数の増加は、経済活動の活発化を反映しており、特に宿泊業、飲食サービス業、製造業、生活関連サービス業・娯楽業での顕著な伸びが見られる。このような市場環境下では、人事コンサルタントは企業が効率的に人材を確保し、雇用の質を向上させるための戦略的な人事コンサルティングを提供することが重要である。
(2022年7月29日発表)
2022年5月分
Summary
5月の有効求人倍率は1.24倍となり、前月から0.01ポイント上昇した。有効求人の伸び(1.9%増)が有効求職者の伸び(1.1%増)を上回った。有効求人倍率は、5か月連続の上昇と改善基調が続いている。
新規求人数(原数値)は、前年同月に比べ17.2%増加した。宿泊業・飲食サービス業は54.3%増加と大幅に伸びた。生活関連サービス業・娯楽業(17.4%増加)や医療・福祉(11.7%増加)の伸びも目立った。製造業も活発な求人活動が継続し、23.9%増加となった。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率(季節調整値)は2.27倍となり、前月から0.08ポイント上昇した。
正社員の有効求人倍率(同)は0.98倍となり、前月から0.01ポイント上昇した。
Comment
このような状況において、人事コンサルタントは、労働市場のダイナミクスを理解し、企業がこれらの変化に迅速に対応できるよう支援する役割を果たす必要がある。人事コンサルティングは、組織が新たな人材を効果的に活かし、持続可能な成長を遂げるための戦略を提供することで、企業の競争力を高める重要な要素である。
(2022年7月1日発表)
2022年4月分
Summary
4月の有効求人倍率は1.23倍となり、前月から0.01ポイント上昇した。有効求人倍率は4か月連続で上昇し、2020年4月以来2年ぶりの水準に持ち直した。
3月下旬にまん延防止措置が全面解除されたこともあり、4月は新規求人数が前月に比べて2.5%増加した。製造業が引き続き堅調だったほか、宿泊・飲食業で大型連休を見据えた求人の動きがあった。新規求職申込件数は同1.2%増加。ワクチンの3回目接種の進展などで求職活動が増加したとみられる。
Comment
有効求人倍率が1.23倍となり、4か月連続で上昇したことは、雇用市場の回復を示す重要な指標である。まん延防止措置の解除により、特に宿泊・飲食業での求人が増加し、大型連休を見据えた採用活動が活発化したことが要因と考えられる。ワクチン接種の進展も求職活動の増加に寄与している。人事コンサルタントとして、これらの要素を考慮し、戦略的な人材配置と採用計画を見直すことが求められる。
(2022年5月31日発表)
2022年3月分
Summary
3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.22倍となり、前月から0.01ポイント上昇した。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率(季節調整値)は2.16倍となり、前月を0.05ポイント下回った。
正社員有効求人倍率(季節調整値)は0.94倍となり、前月を0.01ポイント上回った。
新規求人(原数値)は前年同月と比較すると7.5%増となった。産業別にみると、製造業(22.0%増)、情報通信業(16.9%増)、運輸業・郵便業(12.6%増)などで増加となり、教育・学習支援業(1.6%減)では減少した。
2021年度の有効求人倍率は1.16倍となり、前年度から0.06ポイント上昇した。有効求人倍率が前年度から上昇するのは2018年度以来3年ぶりとなる。
Comment
3月の有効求人倍率は1.22倍で、前月より僅かに上昇したが、新規求人倍率は減少した。このデータから、企業の採用意欲は引き続き高いが、新規求人の動向に不安が見られる。製造業や情報通信業、運輸業・郵便業での求人増加が顕著である一方、教育・学習支援業では減少している。人事コンサルタントとしては、企業が労働市場の変化に適応できるよう支援することが重要である。特に、成長産業での求人活動の強化と、従業員のスキルアップ支援が求められる。また、新規求人の動向を綿密に分析し、企業の採用戦略を柔軟に調整することで、効果的な人材確保を実現すべきである。人事コンサルティングにおいては、データに基づいた戦略的なアプローチが不可欠であり、各業界の特性を踏まえたカスタマイズされたソリューションを提供することが求められる。
(2022年4月26日発表)
2022年2月分
Summary
2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.21倍となり、前月を0.01ポイント上回った。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率(季節調整値)は2.21倍となり、前月を0.05ポイント上回った。正社員有効求人倍率(季節調整値)は0.93倍となり、前月を0.02ポイント上回った。
新規求人(原数値)は前年同月と比較すると9.5%増加となった。産業別にみると、宿泊業,飲食サービス業(28.4%増)、製造業(27.6%増)、情報通信業(18.1%増)などで増加となり、教育,学習支援業(0.6%減)で減少となった。
厚生労働省は「持ち直しの動きがみられ、製造業や建設業では新規求人の数は感染拡大前を上回る水準となっている。一方、新型コロナウイルスや原材料価格の高騰などの影響が懸念され今後の先行きは不透明だ」としている。
Comment
人事コンサルティングの観点からは、製造業や情報通信業の求人増加を背景に、これらの業界における採用戦略の強化が重要である。特に、労働市場全体の動向を踏まえた柔軟な採用プランの策定や、デジタルスキルの研修プログラムの充実が求められる。また、教育・学習支援業での求人減少に対しては、職務内容の再評価や労働条件の見直しを提案することで、競争力を高める施策が必要である。これらのデータから、人事コンサルタントとして企業に提案すべきは、各産業の特性に合わせた戦略的な採用活動の推進と、組織の持続可能な成長を支える人材育成の強化である。
(2022年3月29日発表)
2022年1月分
Summary
1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.03ポイント上昇して1.20倍となった。上昇は2か月ぶりとなり、2020年4月(1.31倍)以来の高水準となった。
新規求人数(原数値)は、前年同月に比べ14.6%増加した。宿泊業・飲食サービス業が38.8%増と大幅に伸びた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「まん延防止等重点措置」の影響で求人に弱さがみられたものの、前年からの反動増が出た。製造業は半導体製造関連などで求人活動の活発化が継続し、38.5%増だった。情報通信業などもプラスとなった。
雇用の先行指標とされる新規求人倍率(季節調整値)は2.16倍となり、前月から0.03ポイント低下した。正社員の有効求人倍率(同)は前月比0.01ポイント上昇して0.91倍だった。
Comment
1月の有効求人倍率が1.20倍に上昇し、2020年4月以来の高水準となったことは、コロナ禍からの雇用回復が進んでいることを示している。特に宿泊業・飲食サービス業や製造業において顕著な求人増加が見られ、経済活動の再開が求人市場に反映されている。一方で、新規求人倍率がわずかに低下していることから、雇用需要の先行きに慎重さも必要である。人事コンサルタントとしては、これらの業界における採用競争の激化を見据え、優秀な人材の確保と定着を図るための戦略的な採用施策の導入を提案するべきである。また、労働市場の不安定さを踏まえ、企業には柔軟な雇用形態の導入や、働き方改革を推進することが重要である。
(2022年3月4日発表)