一般職業紹介状況

厚生労働省が毎月発表している公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめた求人倍率などの雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2025年4月分

Summary

4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍となり、前月比横ばいだった。

正社員有効求人倍率も1.05倍で、変動は見られなかった。新規求人倍率は2.24倍となり、前月から0.08ポイント低下した。有効求人数は前月比0.3%増、有効求職者数も0.2%増加した。4月の有効求人数は前月比0.3増加した。有効求職者数も0.2%増加した。

景気の先行指標とされる新規求人(原数値)は前年同月比で2.2%増加し、情報通信業(9.0%増)、サービス業(他に分類されないもの)(8.3%増)、学術研究・専門・技術サービス業(4.4%増)などで増加がみられた。一方、生活関連サービス業・娯楽業(4.4%減)、宿泊業・飲食サービス業(1.8%減)、運輸業・郵便業(1.3%減)では減少した。

Comment

4月の有効求人倍率は1.26倍と前月から横ばいであったが、新規求人倍率は低下しており、企業の採用意欲にはやや慎重な姿勢が見られる。一方で、有効求人数・求職者数ともに増加し、労働市場における需給の活発な動きが継続していることがうかがえる。特に情報通信業や専門・技術サービス業における求人増加が顕著であり、知識集約型産業への労働移動の進行が示唆される。他方、生活関連サービス業や宿泊業・飲食サービス業など一部サービス業では求人が減少しており、業種間格差が拡大している。
人事コンサルタントとしては、企業に対し、求人市場の変化に即した職種別・業種別の採用戦略の再構築を促す必要がある。特に多職掛け持ちを希望する求職者の増加は、ワークライフバランスや副業制度に対する柔軟な対応の必要性を浮き彫りにしている。また、万博関連の一時的な求人増に対しては、短期雇用と長期的組織成長のバランスをどう取るかが問われる。人事コンサルティングを通じて、雇用の流動性を機会と捉え、将来を見据えた人材獲得と活用の方針策定を支援すべきである。

(2025年5月30日発表)

2025年3月分

Summary

3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍と前月から0.02ポイント上昇した。上昇は2カ月ぶりとなる。

3月の有効求人数は前月比で0.3%増えた。有効求職者は1.2%減少した。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月と比べて3.0%減った。産業別では情報通信業が8.2%増、宿泊業・飲食サービス業が3.3%増となった一方、卸売業・小売業は7.7%減、生活関連サービス業・娯楽業は6.9%減、教育・学習支援業は6.2%減となった。

都道府県別の有効求人倍率では、就業地別で最高は福井県の1.84倍、最低は大阪府の1.04倍、受理地別で最高は東京都の1.76倍、最低は神奈川県の0.90倍であった。

Comment

3月の有効求人倍率の上昇は、求職者減少と求人増加の組み合わせがその背景にある。特に、インバウンド需要の回復が宿泊業・飲食サービス業の求人増を後押しする一方、卸売・小売、生活関連サービス、教育分野では求人が減少しており、業種間の明暗が分かれる結果となった。賃上げの進展が労働条件の改善を促し、求職者の転職抑制につながっている点も重要な変化である。
人事コンサルタントとしては、企業に対し、採用市場の需給変動を正確に捉えた人材戦略を提案すべきである。インバウンド関連産業では、外国語対応力や接客スキルの強化を含む人材育成策を推奨し、人手不足リスクを軽減する必要がある。一方、求職者が減少する中で、企業は報酬や職場環境、成長機会を総合的に見直し、採用競争力を高めるブランディング戦略を構築することが求められる。人事コンサルティングを通じて、企業が多様な市場変化に柔軟かつ持続的に対応できるよう、包括的な支援を行うことが不可欠である。

(2025年5月2日発表)

2025年2月分

Summary

2月有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍となり、前月比0.02ポイント低下した。新規求人倍率も同様に2.30倍で、0.02ポイント下回った。正社員有効求人倍率(同)は1.03倍で、前月と同水準を維持している。

月間有効求人数(季節調整値)は前月比1.7%減、有効求職者数も同0.5%減となった。新規求人(原数値)は前年同月比で5.9%減少しており、特に宿泊業・飲食サービス業(17.6%減)、生活関連サービス業・娯楽業(10.5%減)、建設業(9.1%減)、製造業(6.5%減)などで減少が顕著であった。

都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)では、就業地別で最も高かったのは福井県の1.85倍、最も低かったのは大阪府の1.04倍であった。受理地別では東京都が1.74倍と最も高く、神奈川県が0.90倍と最も低かった。

Comment

2月の有効求人倍率は1.24倍と2か月連続で低下し、新規求人倍率も下落するなど、企業の採用意欲に陰りが見え始めている。特に宿泊業・飲食サービス業や建設業、製造業など多くの業種で新規求人が大幅に減少しており、地域別に見ても、都市部で求人倍率が相対的に低い状況が続いている。これは、物価上昇やコスト高を背景とした雇用抑制の影響が徐々に広がっていることを示唆する。
人事コンサルタントとしては、こうした採用環境の変化に対し、企業には「選ばれる企業づくり」に向けた人事戦略の転換を提案すべきである。具体的には、求職者が重視する柔軟な働き方、キャリア支援、企業の社会的価値に焦点を当てたブランディングの強化が重要となる。人事コンサルティングを通じ、企業の採用競争力強化と持続可能な人材確保体制の構築を支援していくことが不可欠である。

(2025年4月1日発表)

2025年1月分

Summary

1月の有効求人倍率は1.25倍となり、前月と同水準であった。新規求人倍率は2.26倍で、前月比0.01ポイント上昇した。正社員有効求人倍率は1.03倍で、前月比0.01ポイントの上昇となった。

月間有効求人数は241.1万人で、前月比0.2%減少した。有効求職者数も178.7万人で、前月比0.2%減少した。新規求人数は79.1万人で、前月比2.2%増加したが、前年同月比では3.7%減少している。

産業別の新規求人の動向をみると、情報通信業(9.3%増)および宿泊業・飲食サービス業(5.2%増)で増加が見られた。一方、生活関連サービス業・娯楽業(8.6%減)、製造業(7.6%減)、運輸業・郵便業(6.1%減)では減少が見られた。

2024年の年間平均有効求人倍率は1.25倍となり、前年の1.31倍を0.06ポイント下回った。有効求人数は前年比3.3%減少し、有効求職者数は1.1%増加した。

Comment

1月の有効求人倍率は1.25倍と横ばいで推移しており、労働市場の需給バランスは安定している。しかし、新規求人数は前年同月比で3.7%減少しており、特に製造業や運輸業・郵便業、生活関連サービス業・娯楽業での採用抑制が続いている。一方で、情報通信業や宿泊業・飲食サービス業では求人が増加しており、産業ごとの雇用動向の違いが鮮明になっている。
人事コンサルタントとしては、企業に対し、業界ごとの労働需給の変化を踏まえた採用戦略の最適化を提案すべきである。人材獲得競争が激しくなる業界では、報酬制度やキャリアパスの充実を図ることで優秀な人材の確保を支援する必要がある。また、人事コンサルティングを通じて求職者の増加傾向を踏まえ、企業の魅力を高めるブランディング戦略や、多様な働き方を可能にする人事制度設計が求められる。さらに、雇用が減少している業種においては、リスキリングや異業種転職支援を通じて、労働市場全体の流動性を高める施策を講じることが不可欠である。

(2025年3月4日発表)

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