一般職業紹介状況

厚生労働省が毎月発表している公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめた求人倍率などの雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2024年10月分

Summary

10月の有効求人倍率は1.25倍となり、前月比0.01ポイント上昇した。新規求人倍率は2.24倍となり、前月比0.02ポイント、正社員有効求人倍率は1.02倍となり、前月比0.01ポイント、それぞれ上昇した。

月間有効求人数は243.8万人となり、前月比0.2%増加したが、一方で月間有効求職者数は192.2万人となり、前月比0.7%減少している。新規求人件数は91.9万人となり、前月比1.2%増加したが、就職件数は9.9万件で前月比2.5%減少した。

産業別に見ると、学術研究・専門技術サービス業(8.9%増)、情報通信業(6.4%増)、医療・福祉(3.4%増)で新規求人が増加した一方、宿泊業・飲食サービス業(6.5%減)、教育・学習支援業(4.9%減)、生活関連サービス業・娯楽業(2.4%減)で減少が見られた。

Comment

10月の一般職業紹介状況では、有効求人倍率が1.25倍、新規求人倍率が2.24倍といずれも上昇し、労働市場の需給が引き締まりつつあることを示している。特に、正社員有効求人倍率が1.02倍と安定的に推移しており、企業が正規雇用の拡充に引き続き取り組んでいることが伺える。一方で、就職件数が減少しており、求人と求職のミスマッチが解消されていない現状も浮き彫りになっている。人事コンサルティングの観点では、成長産業である学術研究・専門技術サービス業や情報通信業、医療・福祉分野における人材確保支援が急務である。これには、スキルマッチングを高める教育プログラムや、職場定着を促進する施策の提案が含まれる。また、宿泊業や飲食サービス業などで求人が減少している背景には、経済環境の不安定さやコスト負担増がある。これらの業種では、労働条件改善や業務効率化の支援が重要となる。全体として、業種ごとのニーズに応じた柔軟な人材戦略の構築が必要である。

(2024年11月29日発表)

2024年9月分

Summary

9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で前月から0.01ポイント上昇した。有効求人数は236万602人と0.1%増加した。有効求職者数は0.1%減少の190万2916人だった。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月と比べて5.9%減少した。業種別では生活関連サービス・娯楽業が13.3%減と落ち込みが目立った。温泉施設やレストランで燃料費や光熱費が膨らみ、求人を見送る動きがあった。

製造業も9.1%減でマイナスが続いた。物価高や円安による原材料費の高止まりに加え、人件費の増加も収益を圧迫している。中小企業を中心に、人手不足でも求人を控える企業も少なくない。

宿泊・飲食サービス業ではインバウンド需要の拡大を背景に求人が改善した。マイナス幅が前月から大きく縮小した。大手飲食チェーンが多数の求人を出したことも寄与した。

Comment

9月の有効求人倍率が1.24倍に上昇したものの、新規求人数が前年同月比で5.9%減少していることは、企業が採用活動に慎重な姿勢を示していることを浮き彫りにしている。特に、生活関連サービス・娯楽業や製造業で求人抑制が見られるが、これは燃料費や原材料費の高騰、人件費の負担増が主な原因である。こうした状況では、人事コンサルティングにおいて、企業の採用戦略の見直しや、既存従業員のスキル開発を通じた内部リソースの有効活用が求められる。また、インバウンド需要を受けた宿泊・飲食サービス業の求人回復を機に、多業種連携を通じた採用シナジーを図ることも有効であろう。企業が長期的に競争力を維持できるよう、経済情勢を反映した人材戦略の構築が重要である。

(2024年10月29日発表)

2024年8月分

Summary

8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍となり、前月と比べて0.01ポイント低下した。

8月は有効求人数が233万6666人となり、前月比で0.8%減少した。有効求職者数も0.3%少ない190万6785人だった一方で、有効求人数の減少率の方がやや大きく求人倍率が小幅低下した。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)も前年同月から6.5%減少した。業種別では宿泊業・飲食サービス業(23.5%減)の落ち込みが目立ったが、これは複数の大手飲食チェーンが前年同月に多数の求人を出した反動もあったようだ。

Comment

8月の有効求人倍率は1.23倍とわずかに低下したが、新規求人数の減少傾向が続いており、特に宿泊業・飲食サービス業での求人減が顕著である。この背景には前年の特需による反動や、平日日数の減少などが影響している。人事コンサルタントとしては、企業が不安定な採用環境に柔軟に対応できるよう、採用計画の再評価や、限られたリソースでの生産性向上を支援することが必要である。また、人材の定着と育成に注力し、特に技能向上や従業員のモチベーション維持を図る戦略が求められる。

(2024年10月1日発表)

2024年7月分

Summary

7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月と比べ0.01ポイント上昇した。賃上げに踏み切る企業が増え、労働者の間で現在働いている職場にとどまろうとする動きが出て、職を求める人が減少した。

7月は有効求職者数が前月比で0.9%少ない196万3101人だった。有効求人数も236万5244人と0.3%減少したが、有効求職者数の減少率が大きく、有効求人倍率の上昇につながった。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月から1.2%増加した。厚労省によると、前年と比べて平日の日数が多かったことが影響したという。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業(20.7%増)や複合サービス事業(16.5%増)で伸びが目立った。

Comment

7月の有効求人倍率が1.24倍に上昇した背景には、有効求職者数の減少が大きく影響している。しかし、有効求人数自体も微減しており、企業の採用意欲が依然として慎重であることが伺える。このような状況下で、人事コンサルタントとしては、企業の採用戦略を見直すことが重要である。特に、電気・ガス業や複合サービス業などで新規求人数が増加している業種においては、競争力のある採用ブランディングや迅速な選考プロセスの導入が求められる。また、求職者の減少に対応するためには、労働市場の動向を的確に把握し、潜在的な候補者にリーチするリクルーティング手法の多様化が必要である。

(2024年8月30日発表)

2024年6月分

Summary

6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍となり、前月から0.01ポイント低下した。物価上昇が続き、より収入が高い企業に転職する人が増えている一方、コスト増から企業が求人を手控える動きもある。有効求人倍率は3か月連続の低下となり、2022年3月以来、27か月ぶりの低水準となった。

6月の有効求人数は前月比で0.1%減の233万6101人、有効求職者数は0.6%増の202万1057人だった。新規求職の申込件数は4.8%減った。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月から9.4%減少した。業種別にみると、製造業が14.6%減、生活関連サービス業・娯楽業が13.7%減のほか、建設業が12.8%減と落ち込みが大きかった。

Comment

6月の有効求人倍率は1.23倍と低下し、特に製造業や建設業などで顕著な求人数減少が見られた。企業が収益性を考慮して求人を抑制する一方で、物価上昇に対応するため転職希望者が増加している。人事コンサルタントとしては、企業に対し、求人戦略の再評価と柔軟な労働力確保の方法を提案することが重要である。また、業界ごとの特性に応じたスキルマッチングの強化や、エンゲージメントの向上策も検討すべきである。特に、企業が円安や物価高によるコスト増を管理しつつ、競争力を維持するためには、効果的な人材マネジメントが不可欠である。

(2024年7月30日発表)

2024年5月分

Summary

5月の有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍となり、前月から0.02ポイント低下した。物価上昇が続くなか、収入がより高い企業への転職や、掛け持ちの仕事を探す求職者が増えた。

5月の有効求人数は前月比0.1%増の236万2973人だった、有効求職者数は1.9%増の206万8269人だった。新規求職申込件数は1.4%増加した。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月から0.6%減少した。業種別にみると生活関連サービス・娯楽業(10.6%減)や製造業(7.4%減)で落ち込みが目立つ。

厚生労働省によると、円安などに伴うコストの上昇を価格に転嫁できていない企業で、求人を手控える動きが出ているという。

Comment

有効求人倍率が1.24倍とわずかに低下した一方で、求職活動が活発化している状況は、物価上昇と円安によるコスト増が企業の採用意欲に影響を与えていることを示している。このような経済環境下での人事コンサルティングでは、企業のコスト管理と労働市場の需給バランスを見据えた採用戦略が求められる。人事コンサルタントとして、柔軟な雇用形態の導入やスキル再訓練プログラムを提案し、企業の競争力強化と労働者のキャリア支援を両立させることが重要である。

(2024年6月28日発表)

2024年4月分

Summary

4月の有効求人倍率は1.26倍で前月から0.02ポイント低下した。

有効求人数(季節調整値)は前月に比べて1.3%減となった。人手不足が続いているものの、原材料や高熱費の高騰の影響で企業が求人を手控える動きが引き続き出ている。

有効求職者数(同)は0.3%減。新規求職者は増加したが、3月の減少が大きかったためマイナスとなった。足元では物価高を理由に転職やダブルワークを希望したり、より良い処遇や環境を求めて転職を希望する傾向がみられるという。

今回は有効求人者数、有効求職者数ともに減少する中で、求人者数の減少がより大きかったことから有効求人倍率が低下した。

Comment

4月の有効求人倍率は、企業の求人抑制と求職者の増加が相まって低下した。人手不足が継続する中、原材料や高熱費の高騰が企業の採用意欲を抑えたことが影響している。新規求職者の増加は、物価高や処遇改善を求める労働者の動きを反映しており、人事コンサルタントとしては、企業が競争力を維持するために、柔軟な雇用条件や福利厚生の充実が急務であると考える。

(2024年5月31日発表)

2024年3月分

Summary

3月の有効求人倍率は1.28倍となり、前月比0.02ポイントの上昇となった。新規求人倍率は2.38倍に上昇し、前月から0.12ポイント増加した。正社員向けの有効求人倍率も1.03倍となり、こちらも前月から0.02ポイントの上昇となった。

一方で、有効求人数は前月比0.9%の減少となり、有効求職者数も1.9%減少した。新規求人の原数値では前年同月比で7.4%の減少が確認されており、産業別では学術研究、専門・技術サービス業が1.6%増加する一方で、製造業や生活関連サービス業、娯楽業、教育,学習支援業では10%以上減少した。

Comment

有効求人倍率の上昇や産業別の求人動向は、人事コンサルタントにとって重要な洞察を提供している。これらは戦略的な人材確保と配置の計画に不可欠であり、正社員と非正規雇用の動向を考慮に入れ、効果的な人事コンサルティングを行うことが企業の競争力を高める鍵となる。

(2024年4月30日発表)

2024年2月分

Summary

2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍となり、前月から0.01ポイント低下した。求職者数が求人数を上回って伸びた。

有効求人数は0.5%増の254万2576人だった。2023年12月まで減少傾向が続いていたが、2024年1月以降は前月比で増加に転じている。有効求職者数は1.0%増の190万2943人となり、求人数を上回って伸びたことが求人倍率を押し下げた。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)を産業別に見ると、製造業で前年同月比8.7%減、宿泊・飲食サービス業で8.4%減とマイナスが目立った。

Comment

有効求人倍率のわずかな下降は、労働市場の人手不足の緩和を示しているように見えるが、特定の業種では求人の減少が続いている。企業は柔軟な人事戦略と質の高い職場環境の提供を重視する必要がある。人事コンサルタントとしては、これらの市場の状況に応じた戦略的なアドバイスが重要だと考えている。

(2024年3月29日発表)

2024年1月分

Summary

1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.27倍となり、前月から横ばいとなった。1月の有効求職者数は前月と比べて0.1%減少し、3か月ぶりの減少となった。有効求人数は0.2%増となり、11か月ぶりに増加した。

景気の先行指標とされる新規求人数(原数値)は前年同月比で3.0%減少した。原材料や光熱費が上がった影響で、製造業は11.6%減少、宿泊・飲食サービス業も8.8%減少となった。生活関連サービス・娯楽業は理容・美容などの利用が増えて5.7%増加した。

Comment

新型コロナウイルスの5類移行後初の年始は人の流れが活発で、生活関連サービス業・娯楽業で求人増につながった。企業の採用需要は旺盛で、弊社の人事コンサルティングの関与先でも採用活動が活発になっている。

(2024年3月1日発表)