米労働省から毎月発表される米国の雇用統計データに人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。
2016年12月の非農業部門雇用者数は前月から15万6000人増加した。前月は20万4000人増となり、速報値の17万8000人増から上方修正された。
12月の失業率は4.7%となり、前月の4.6%から若干上昇した。労働参加率が上昇した。
平均時給は前年同月比で2.9%増加と、2009年6月以来で最大の伸びだった。
12月はヘルスケア・社会扶助関連の雇用が6万3300人増となり、2015年10月以来の大幅増だった。製造業や娯楽・ホスピタリティ関連の雇用も増加した。
年間ベースで雇用は216万人の増加となった。前年は約270万人の雇用増だった。雇用者の増加幅が6年連続で200万人を超えたのはクリントン政権時代の1999年以降で最長となる。
製造業の雇用は1万7000人増となり、前月の7000人減からプラスに転じた。小売りは6300人増、娯楽・ホスピタリティは2万4000人増加した。
週平均労働時間は34.3時間で前月から変わらずだった。
フルタイムでの職を望みながらもパートタイム就労を余儀なくされている労働者や職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は9.2%となり、前月の9.3%から0.1ポイント低下した。
12月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が堅調に増加し、特にヘルスケアや社会扶助分野での雇用拡大が顕著であった。しかし、失業率が若干上昇し、雇用の伸びが前年よりも鈍化している点には注意が必要である。このような経済環境下で、人事コンサルタントとして企業に提案すべきは、成長分野への人材集中と、報酬戦略の見直しである。特に、平均時給の伸びが2009年以来の高水準であることから、労働市場での競争が激化していると考えられるため、優秀な人材の確保と維持に向けた施策が重要である。
(2017年1月6日発表)
11月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が17万8000人増となり、市場予想を上回る伸びとなった。失業率も4.6%となり、2007年8月以来約9年ぶりの水準に改善した。
9、10月分の雇用者数は当初発表から2000人下方修正された。
時間当たり平均賃金は前月比0.1%(0.03ドル)減となり、前月の0.4%増からマイナスに転じた。前年比では2.5%増となり、約7年半ぶりの大幅増となった前月の2.8%増から伸びは鈍化した。
労働参加率は0.1%ポイント低下の62.7%となった。
正社員になりたいがパートタイムで就業している人などを加えたより広義のU6失業率は0.2ポイント低下の9.3%と、2008年4月以来の低水準となった。
業態別では建設が1万9000人増、製造は4000人減、小売は8300人減となった。
11月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数の増加と失業率の改善で市場予想を上回る結果であるが、賃金の伸びは鈍化している。この状況は、人事コンサルタントにとって、組織が市場の変動に適応するための人材戦略の重要性を示している。また、人事コンサルティングでは業種別の雇用動向を踏まえ、特定の分野における人材確保や育成の戦略を検討することが求められる。
(2016年12月2日発表)
10月の非農業部門雇用者数は16万1000人増となった。前月は19万1000人増となり、速報値の15万6000人増から上方修正された。
10月の失業率は4.9%に低下した。失業者が減少したものの、就業者も減り、労働力人口は19万5000人減少した。
労働力人口の減少を背景に労働参加率は62.8%と、前月の62.9%から低下した。
フルタイムでの職を望みながらもパートタイム就労を余儀なくされている労働者や職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は9.5%に低下した。
時給は前月比0.4%増の25.92ドルとなり、対前年比では2.8%増(前月2.7%増)となった。週平均労働時間は34.4時間で前月から変わらずだった。
民間サービス部門では教育・医療サービスの雇用者が5万2000人増加、専門・事業支援が4万3000人増加した。小売りは1100人減少した。電気製品販売店や衣料品店でも雇用が減少した。
製造業は9000人減だった。建設業は1万1000人増、政府職員は1万9000人増加した。
10月の米雇用者数は前月比で増加、安定したペースの雇用増が示された。賃金の増加も加速したが、労働人口が減少し、労働参加率は低下した。労働力人口の減少にもかかわらず、建設業や教育・医療サービス、政府職員の雇用増加は注目に値する。これらのデータは、人事コンサルタントにとって、特定の業界における人材需給の変動に対応する戦略を提案する良い機会を提供する。
(2016年11月4日発表)
9月の非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月比15万6000人増とな利、市場予想を下回った。また、増加幅は5月以降で最も少なかった。
9月の失業率は5.0%となり、労働人口の増加を背景に前月から0.1ポイント上昇した。
9月の民間部門の平均時給は前月比0.06ドル(0.2%)上昇し、25.79ドルとなった。前年同月に比べると2.6%上昇した。
労働参加率は62.9%で、前月から0.1ポイント、前年同月からは0.5ポイント上昇した。
やむなくパートタイム職に就いている人や職探しを諦めた人も含めた広義の失業率は9.7%だった。前月比横ばい、前年同月(10%)からは低下した。
週平均労働時間は、前月から0.1時間増加して34.4時間となった。
9月の非農業部門就業者数は市場予想を下回り、増加幅は5月以降で最も少なかったものの、失業率や平均時給の上昇は安定した成長を示している。人事コンサルタントは、この環境で組織の採用戦略を再評価し、パートタイムや広義の失業者を含めた潜在労働力の活用を検討すべきである。人事コンサルティングでは、柔軟な労働条件の提供や平均時給の上昇に合わせた給与戦略を整備し、労働参加率の上昇を支える取り組みが重要である。
(2016年10月7日発表)
8月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数の伸びが15万1000人と、市場予想の18万人を下回った。7月の雇用者数は27万5000人増に上方修正され、これで6、7月分をあわせた雇用者数の伸びは54万6000人となった。
失業率は前月から横ばいの4.9%だった。
時間当たり賃金は前月比0.1%増となり、7月の0.3%増から伸びが鈍化した。前年比でも2.4%増となり、前月の2.6%増から鈍化した。
平均週間労働時間は34.3時間となり、前月の34.4時間から減少した。
労働参加率は横ばいの62.8%だった。
内訳では、製造業および建設部門の雇用者数の減少が目立った。
製造業は1万4000人減となり、3か月ぶりに減少に転じた。建設は6000人減、鉱業は4000人減だった。
一方、専門職は2万2000人増、小売は1万5100人増、レジャー・接客は2万9000人増、政府部門は2万5000人増だった。
雇用の伸びの鈍化は、製造業や建設業の雇用者数の減少が影響している。しかし、専門サービスやレジャー・接客業などのサービス部門では雇用が堅調に増加しており、この対照的な動向は人事コンサルティングにおいて重要な洞察を提供する。人事コンサルタントは、産業ごとの雇用の変動を理解し、それに基づいた効果的な人材確保と育成戦略を企業に提案する必要がある。特に減少傾向にある産業に対しては、スキルの再配置や再教育のプログラムを推進することが求められる。
(2016年9月2日発表)
7月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月から25万5000人の増加となり、市場予想を大幅に上回った。前月は29万2000人増(速報値28万7000人増)に上方修正された。
7月の失業率は4.9%で前月と変わらずだった。
労働参加率は62.8%と、前月62.7%から上昇した。
平均時給は前月から0.3%増して25.69ドルとなった。伸び率は市場予想を上回り、4月以降で最大となった。前年比では2.6%増で、6月と変わらずだった。
週平均労働時間は6分伸びて34.5時間となった。
7月は製造業やヘルスケア、小売り、人材派遣、娯楽・ホスピタリティなど幅広い分野で雇用の伸びが見られた。政府機関は3万8000人増となり、2014年9月以来最大の伸びとなった。
一方で、経済悪化でパートタイム就労を余儀なくされている労働者や職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は9.7%に上昇(前月9.6%)した。経済的理由からパートタイムで働いている人の数は594万人(前月584万人)に増加、職探しをあきらめた人は59万1000人に増加し、5カ月ぶり高水準だった。
7月の雇用者数の大幅な増加は市場予想を上回り、経済の回復力を示していますが、広義の失業率の上昇やパートタイム労働の増加は、一部の労働者にとって依然として困難が続いていることを示している。このような状況は、企業が戦略的な人事コンサルティングを求める理由となる。特に、製造業、ヘルスケア、小売、人材派遣など、幅広い分野での雇用増加を背景に、企業は効果的な人材管理戦略を開発し、多様な労働市場のニーズに応じる必要がある。人事コンサルタントは、これらの課題に対する具体的な解決策を提供し、企業の持続的な成長と労働者の満足度向上を支援する役割を担っている。
(2016年8月5日発表)
5月の非農業部門雇用者数は前月比3万8000人の増加となった。増加幅は2010年9月以来で最少となり、市場予想を大幅に下回った。前月は12万3000人増と、速報値の16万人増から下方修正された。
5月の失業率は労働参加率の低下が影響して4.7%となり、2007年11月以来の水準に低下した。
5月は建設や製造業、鉱業などを中心に幅広い部門で雇用が減速した。建設は1万5000人減、人材派遣は2万1000人減少した。
フルタイム勤務を希望しながらもパートタイム職を余儀なくされている労働者は640万人(前月は600万人)と、昨年8月以来の最高に達した。前月は600万人だった。
5月の平均時給は0.2%増となり、前月の0.4%増から減速した。前年比では2.5%増となった。
雇用の伸び減速はあらゆる業界に広がっているようだ。米国の経済成長の勢いや今後の見通しに懐疑的にならざるを得ない数字となった。人事戦略や採用戦略に関して人事コンサルティング会社や人事コンサルタントの力量が試される局面に入ろうとしている感がある。米通信会社ベライゾン・コミュニケーションズで約3万5100人が関わったストライキも5月の数字に影響したと見られる。
(2016年6月3日発表)
4月の非農業部門雇用者数は前月比16万人増となった。前月は20万8000人増(速報値21万5000人増)に下方修正された。
4月の失業率は5%となり、前月から横ばいだった。労働参加率は62.8%となり、前月の63%から低下した。就業者数が2013年10月以来の大幅減となったことが影響した。
4月の平均時給は前月比0.3%増(前月0.2%増)となり、前年同期比では2.5%増(前月2.3%増)だった。
民間部門の週平均労働時間は6分伸びて34.5時間だった。
雇用者数を業種別に見ると、小売業は3100人減となり、2014年2月以来の大幅な落ち込みとなった。建設業は1000人増となり、前月の4万1000人増から急減速した。娯楽・ホスピタリティ部門も2万2000人増となり、1年ぶりの低い伸びだった。政府部門の雇用者数は1万1000人減少した。
労働参加率が62.8%に低下し、就業者数の減少が影響した。特に小売業と建設業での雇用減少が顕著であり、娯楽・ホスピタリティ部門も低い伸びを示した。このような状況において、人事コンサルタントとしては、企業が労働市場の変動に対応するための戦略的アプローチが求められる。人事コンサルティングの観点から、特に低迷する業種における人材再配置とスキルアップを促進し、労働参加率の向上を図る施策が重要である。
(2016年5月6日発表)
3月の非農業部門雇用者数は前月比21万5000人の増加だった。前月は24万5000人増(速報値24万2000人増)に修正された。
3月の平均時給は前月比0.3%増となった。前月はマイナス0.1%だった。前年同月比では2.3%増となった。
一方で3月の失業率は5.0%となり、前月の4.9%から上昇した。
業種別では、建設業が3万7000人増加して3カ月ぶりの大幅な伸びとなった。一方で製造業は2万9000人減少した。
労働参加率は63%に上昇し、2014年3月以来の高水準となった。
民間部門の週平均労働時間は前月から変わらずの34.4時間だった。
米非農業部門雇用者数は21万5000人増加し、建設業の大幅な伸びが目立った一方、製造業は減少した。失業率は5.0%に上昇したが、労働参加率は2014年3月以来の高水準となった。人事コンサルティングの観点からは、変動する市場に迅速に対応し、中長期的な人材戦略を補強することが不可欠だと考える。
(2016年4月1日発表)
2月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が24万2000人増となり、伸びは市場予想の19万人増を大きく上回った。
失業率は4.9%と前月から横ばいとなり、8年ぶりの低水準を維持した。
業種別では小売りが5万5000人増となり、2カ月連続で堅調な伸びを示した。ヘルスケアは5万7400人増だった。製造業は1万6000人減(前月2万3000人増)、建設業は1万9000人増だった。労働参加率は0.2%ポイント上昇の62.9%となり、約1年ぶりの高水準となった。
就業率は前月の59.6%から59.8%に上昇して2009年4月以来の高水準となった。
人事コンサルティングにおいては、小売りとヘルスケアの堅調な伸びに対しては、効率的な人材配置とキャリアパスの明確化が重要である。製造業の雇用減少に対しては、労働力の再配置や技能向上プログラムの導入が必要である。建設業の増加に伴い、適切な技能を持つ人材の確保が求められる。労働参加率の上昇を受け、人材獲得戦略を強化し、多様な人材を引き付ける施策が重要である。人事コンサルタントとして、これらのデータを基にした戦略的な人材管理を提案し、企業の競争力を向上させるべきである。
(2016年3月4日発表)
1月の非農業部門雇用者数は15万1000人の増加となり、市場予想を下回った。異例の暖冬による追い風が弱まった。
一方、失業率は4.9%となり、2008年2月以来の低水準となった。
雇用の伸びは低調だったが、時間当たり賃金は0.12ドル増加した。前年比では2.5%増となった。失業率は大半のアナリストが完全雇用と見なす水準にあることから、賃金の伸びは今年加速する可能性がある。
また平均週間労働時間も34.6時間に増加した。
1月の雇用統計は、雇用者数の増加が市場予想を下回ったものの、失業率は2008年以来の低水準である4.9%に達し、完全雇用に近づいていることを示している。このような状況下で、人事コンサルタントとして企業に提案すべきは、賃金上昇圧力に対応した適切な報酬戦略の構築である。特に、平均賃金が前年比2.5%増加しており、今後さらなる賃金上昇が見込まれるため、競争力を維持するために、従業員の満足度向上と優秀な人材の流出防止に向けた施策が求められる。
(2016年2月5日発表)
12月の非農業部門雇用者数は前月比29万2000人増となり、市場予想を上回る増加となった。前月は25万2000人増に上方修正された(速報値21万1000人増)。 労働省は10月分も上向きに修正し、11月との合計で5万人の上方修正となった。
12月の失業率は5%で前月から横ばいだった。
2015年全体の雇用者数の増加は265万人となり、2014年(310万人)との2年間では、1998-99年以降で最も大きな伸びだった。
12月の平均時給は前月比変わらずで、前年比では2.5%増だった。週平均労働時間は34.5時間で前月比横ばい。
労働参加率は62.6%となり、前月から0.1ポイント上昇した。
このような状況下で人事コンサルティングとして企業に提案すべきは、まず労働市場の好調を活かした戦略的な人材確保と育成である。特に成長が期待される分野での優秀な人材の獲得とスキルアップのための研修プログラムの導入が重要である。また、労働参加率の上昇を踏まえ、柔軟な勤務形態やリモートワークの推進を検討すべきである。賃金の伸びが鈍化している中で、従業員の満足度向上のための福利厚生の充実やキャリアパスの明確化も重要である。企業が持続可能な成長を実現し、安定した雇用環境を提供できるよう、人事コンサルタントはこれらの施策を支援する役割を果たすべきである。
(2016年1月8日発表)
11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が21万1000人増加して、市場予想を上回る増加となった。9、10月分は3万5000人の上方修正となった。
失業率は7年半ぶりの低水準となる前月と同じ5.0%だった。
時間当たり賃金は前月比0.2%増となり、10月の0.4%増から伸びが鈍化したものの、時間当たり賃金は前年比では2.3%増となった。
平均週間労働時間は34.5時間となり、前月の34.6時間から若干減少した。
労働参加率は62.5%となり、約38年ぶりの低水準をつけていた前月の62.4%から若干上昇した。
米経済の底堅さをあらためて示す内容となった。失業率は市場予想と一致し、米連邦準備理事会FRBが完全雇用とみなす水準を維持した。時間当たり賃金や週平均労働時間は前月からやや低下したものの高い水準を維持している。
(2015年12月5日発表)
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