2026年6月分:民間部門の雇用者数は9万8000人増
概要
6月の民間雇用者数は前月比9.8万人増と、市場予想(11万~12万人増)を下回り、5月の数値からも減少した。
各業種の内訳を詳しく見ると、教育・医療サービスが引き続き雇用市場を下支えする主力で、単月で4.8万人増と、全体の増加数の約半分を占めた。貿易・運輸・公益事業は1.5万人増、金融関連は1.4万人増、その他サービス業は8000人増だった。しかし、消費の勢いが注目される中、レジャー・ホスピタリティはわずか2000人増と、6カ月連続で低調に推移しており、最終消費需要が予想ほど強くない可能性を反映している。また、天然資源・鉱業は5000人減と、当月で唯一雇用が減少した産業となった。
企業規模別では、中小企業が雇用吸収の中心となった。従業員数50人未満の小規模事業所が5.3万人増、中堅企業が2.9万人増だったのに対し、従業員数500人超の大企業は2.5万人増にとどまった。
賃金上昇の硬直性も依然として注目に値する。同一職種にとどまった労働者の年収上昇率(中央値)は前年同月比4.4%で横ばいだったのに対し、転職者の年収上昇率は6.6%に小幅上昇した。
人事コンサルタントの視点
民間雇用の伸び悩みは、米国経済が景気後退を回避しつつも、消費主導の拡大力を失いつつあることを示す。教育・医療と中小企業への依存は、産業別・規模別の人材競争力格差を浮き彫りにしている。
人事コンサルタントとしては、企業に採用数の拡大を追求するだけでなく、職務等級、評価制度、報酬レンジをスキル価値に即して再設計することを促す必要がある。人事コンサルティングを通じて、内部育成、配置転換、定着施策を統合し、外部労働市場の賃金上昇圧力に左右されにくい、持続的な人材基盤を構築することが重要である。
(2026年7月1日発表)
2026年5月分:民間部門の雇用者数は12万2000人増
概要
5月の民間雇用者数は12万2000人増で予想を上回る伸びとなった。前月は10万9000人増から10万5000人増に下方改定された。
雇用増はあらゆる規模の幅広い業種でみられた。業種別ではサービス業が9万9000人増と全体をけん引し、財生産部門は2万3000人増にとどまった。最も伸びが大きかったのは教育・医療サービス業で5万7000人増だった。商業・運輸 ・公益事業は3万6000人増、専門・ビジネスサービス業は1万1000人増と続いた。一方、情報分野と天然資源・鉱業では雇用が減少した。
企業規模別では、従業員50人未満の小規模事業者が3万5000人増、中規模企業が4万6000人増、大企業が4万1000人増と、幅広いセクターで雇用が拡大した。
人事コンサルタントの視点
5月の米民間雇用は市場予想を上回り、教育・医療サービスを中心に幅広い業種・企業規模で雇用拡大が確認された。特に小規模事業者でも雇用が増加しており、労働市場の底堅さがうかがえる。一方で、情報業や天然資源・鉱業では雇用減少が続いており、産業構造の変化が進行している点には留意する必要がある。
人事コンサルタントとしては、この局面における人事コンサルティングの重点テーマを「成長分野への人材シフトと組織能力強化」に置くべきである。教育・医療分野をはじめとする人材需要の高い領域では、採用競争力の向上に加え、定着率向上やキャリア開発支援が重要となる。一方、雇用が縮小する情報分野などでは、AI活用を前提とした職務再設計やリスキリングを推進し、成長分野への人材転換を支援することが求められる。
(2026年6月3日発表)
2026年4月分:民間部門の雇用者数は10万9000人増
概要
4月の米国の民間部門雇用者数(季節調整値)は前月比10万9000人増加し、2025年1月以来で最大の伸びとなった。3月は当初発表の6万2000人増から6万1000人増に小幅下方修正された。
雇用拡大は教育・医療サービス業が6万1000人増と大きく牽引したほか、貿易・運輸・公益事業も2万5000人増と回復がみられた。財生産部門は1万5000人増で、建設業が1万人増、製造業も2000人増となり、前月までの弱さから持ち直しがみられる。一方、専門・ビジネスサービス業は8000人減と減少した。
規模別では、小規模企業が6万5000人増、大企業が4万2000人増となった一方、中規模企業は2000人増にとどまり、中堅企業の弱さが続いている。
賃金動向では、在職者の賃金上昇率は前年比4.4%と前月からやや鈍化したが、転職者の賃金上昇率は6.6%で横ばいを維持した。特に金融業では5.1%増、製造業では4.8%増と比較的高い伸びが続いている。
人事コンサルタントの視点
4月の米民間雇用は2025年初以来の高い伸びを示し、教育・医療サービスや物流関連が雇用回復を牽引した。建設・製造業にも持ち直しの兆しが見られる一方、専門・ビジネスサービスや中規模企業では依然として弱さが残り、労働市場の回復は均一ではない。賃金上昇率は在職者でやや鈍化したものの、転職者では高水準を維持しており、専門人材への需要は底堅い。
人事コンサルタントとしては、この局面における人事コンサルティングの重点テーマを「成長分野への人材集中」と「中堅企業の競争力再構築」に置くべきである。特に、医療・物流分野では採用力と定着力を両立させる制度設計が重要となる。一方、専門サービス分野ではAI活用を前提とした職務再設計とリスキリングを進め、生産性向上と人的資本の最適配置を実現する戦略が求められる。
(2026年5月6日発表)
2026年3月分:民間部門の雇用者数は6万2000人増
概要
3月の米民間雇用者数は前月比6万2000人の増加となり、市場予想を上回った。2月は6万6000人増(速報値6万3000人増)に下方修正された。
雇用増は主に教育・医療サービス(5万8000人増)や建設業(3万人増)など特定の分野に集中しており、財生産部門は3万人増、サービス部門は3万2000人増となった。一方、運輸・倉庫・公益では5万8000人減と大きく減少し、製造業も1万1000人減となるなど、業種間のばらつきが顕著となった。
企業規模別では、小規模企業(1~49人)が8万5000人増と雇用拡大の中心となる一方、中規模企業は2万人減、大企業も4000人減と減少した。
賃金動向では、在職者の賃金上昇率は前年比4.5%で安定推移し、転職者は6.6%増と伸びがやや加速した。
人事コンサルタントの視点
3月の米民間雇用は市場予想を上回ったが、雇用増加は教育・医療や建設に偏っており、運輸・倉庫や製造業の減少が示すように、回復はなお限定的である。さらに、小規模企業が雇用を牽引する一方、中規模・大企業では減少しており、企業規模間の格差も拡大している。賃金動向からは、人材流動性の回復兆候もうかがえる。
人事コンサルタントとしては、この局面における人事コンサルティングの重点テーマを「分断された労働市場への適応」に置く必要がある。具体的には、成長分野への人材シフトを促進するリスキリングを進めるとともに、小規模企業には採用力強化と定着施策の両立を支援し、中堅・大企業には人材再配置と生産性向上を軸とした組織再設計を提案すべきである。
(2026年4月1日発表)
2026年2月分:民間部門の雇用者数は6万3000人増
概要
2月の米国の民間部門雇用者数(季節調整値)は前月比6万3000人増となり、市場予想を上回って2025年11月以来の大きな増加となった。1月は1万1000人増(速報値2万2000人増)に下方修正された。
雇用の増加は建設業および教育・医療サービス業が主導し、特に教育・医療サービス業では5万8000人の増加と大きく伸びた。一方で、専門・ビジネスサービス業では3万人減少し、製造業でも5000人の減少がみられ、業種間で雇用動向の差が確認された。財生産部門全体では1万6000人増、サービス提供部門では4万7000人増となり、雇用増はサービス部門が牽引した。
企業規模別では、小規模企業が6万人増と雇用拡大の中心となり、中規模企業は7000人減少、大企業は1万人増となった。
また、賃金動向では、同一企業にとどまる労働者の賃金上昇率(前年比)は4.5%と前月と同水準で推移した一方、転職者の賃金上昇率は6.3%と伸びがやや鈍化した。
人事コンサルタントの視点
2月の米民間雇用は6万3000人増となり、持ち直しを示したが、産業間の雇用格差は依然として大きい。小規模企業が雇用増の中心となる一方、中規模企業では減少が見られ、企業規模による人材戦略の差も浮き彫りとなった。賃金は在職者で4.5%増と安定する一方、転職者の賃金上昇は鈍化し、転職プレミアムが縮小しつつある。
人事コンサルタントとしては、この局面における人事コンサルティングの重点テーマを「成長分野への人材再配分」と「中小企業の人材競争力強化」に置くべきである。特に教育・医療や建設など人材需要が高い分野では、採用体制の高度化と定着施策の強化が不可欠である。一方、専門職の縮小が進む分野では、リスキリングを通じた職務転換を推進することが、企業の持続的成長を支える鍵となる。
(2026年3月3日発表)
2026年1月分:民間部門の雇用者数は2万2000人増
概要
1月の米民間雇用者数は前月比2万2000人増となり、市場予想を下回り、引き続き低水準となった。昨年12月は3万7000人増(速報値4万1000人増)に下方修正された。
教育・医療サービスが7.4万人増となり雇用増を押し上げた一方、専門・ビジネスサービスは5.7万人減と2025年6月以来の大幅な落ち込みとなった。製造業も.8千人減と減少基調が続いた。
企業規模別では、中規模企業(50~499人)が4.1万人増と雇用を支えた一方、大企業(500人以上)は1.8万人減少し、雇用調整の動きがみられた。
賃金動向では、在職者の年収中央値は前年同月比4.5%増と前月からほぼ横ばいで推移した。転職者の賃金上昇率は6.4%と前月の6.6%からやや鈍化した。
人事コンサルタントの視点
1月の米民間雇用は低水準が続き、雇用回復の力強さを欠く状況がうかがえる。また、大企業で雇用調整が進み、中規模企業が雇用を支える構図は、経営環境の不確実性を反映している。
人事コンサルタントとしては、この局面における人事コンサルティングの重点テーマを「採用抑制下における競争力維持」に置くべきである。具体的には、専門職の役割再定義や業務プロセス改革を通じた生産性向上、成長分野への人材再配置が重要となる。また、転職プレミアムの縮小を踏まえ、賃金に依存しないキャリア形成支援や学習機会の設計を企業に提案し、中長期的な人的資本価値の最大化を図る必要がある。
(2026年2月4日発表)