全米雇用報告(2021年)

ADP(オートマティック・データ・プロセッシング)から毎月発表される米国の雇用に関する指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2021年12月分

Summary

12月の米民間雇用者数は前月比80万7000人の増加となり、市場予想を大幅に上回った。前月は50万5000人増(速報値53万4000人増)に下方修正された。

サービス部門の雇用者数は66万9000人増加し、昨年6月以来の大幅な伸びとなった。娯楽・ホスピタリティー分野が24万6000人増加したほか、貿易・運輸・公益事業分野が13万8000人、プロフェッショナル・ビジネスサービス分野は13万人それぞれ増加した。

財生産部門の雇用は13万8000人増加し、2020年9月以来の大幅な伸びを示した。製造業は7万4000人、建設業は6万2000人それぞれ増加した。

規模別では、従業員数500人以上の大企業は38万9000人増加し、2020年6月以来の大幅な増加となった。小規模企業は20万4000人増加し、6か月ぶりの大幅な増加となった。

Comment

市場予想を大幅に上回り、特にサービス部門や大企業での雇用増加が顕著であることから、人事コンサルタントは大規模な人材需給動向に敏感であるべきである。特に娯楽・ホスピタリティー分野や製造業、建設業などの増加が目立つ業種に注目し、これらのセクターでの戦略的な人材確保や育成が重要となる。

(2022年1月6日発表)

2021年11月分

Summary

11月の米民間雇用者数は前月から53万4000人増加した。前月は57万人増加(速報値57万1000人増加)へと小幅に下方修正された。

サービス部門の雇用者数は42万4000人増加した。娯楽・ホスピタリティー分野が13万6000人増加したほか、プロフェッショナル・ビジネスサービス分野も11万人増加し2020年6月以来の増加幅となった。貿易・運輸・公益も7万8000人増加した。

財生産部門の雇用は11万人増加した。建設業が5万2000人増加し、製造業が5万人増加した。

企業の規模別では、従業員数500人以上の大企業は27万7000人増加、50人~499人の中規模企業は14万2000人増加、49人以下の小規模企業は11万5000人増加した。

Comment

11月の全米雇用報告は、労働市場全体における明確な回復を示している。特に娯楽・ホスピタリティーやプロフェッショナル・ビジネスサービス分野の顕著な伸びから、パンデミック後の経済回復に向けた人材需要が強まっていることがわかる。人事コンサルタントとしては、各セクターでの人材争奪戦を見据えた採用戦略の強化が不可欠だ。さらに、企業規模を問わず全体的な雇用増加が進む中、組織の規模に応じた人材開発プランの策定と、新たな人材配置の最適化が人事コンサルティングにおける重要な課題である。

(2021年12月1日発表)

2021年10月分

Summary

10月の米民間雇用者数は前月から57万1000人増加し、市場予想を上回った。前月は52万3000人増(速報値56万8000人増)に下方修正された。

サービス部門の雇用は45万8000人増加となり、6月以来最大の伸びとなった。娯楽・ホスピタリティー分野が18万5000人増加、プロフェッショナル・ビジネスサービス分野が8万8000人増加した。

財生産部門の雇用は11万3000人増加した。建設業が5万4000人増加、製造業が5万3000人増加し、2020年9月以来最大の伸びとなった。

企業の規模別では、従業員500人以上の大企業が34万2000人、50~499人の中規模企業が11万4000人、1~49人の小規模企業が11万5000人、それぞれ増加した。

Comment

ADPの調査による民間雇用者数の合計は依然として新型コロナウイルス禍前を下回る水準にある。これは求職者の間で仕事をえり好みする傾向が強まり、賃金引き上げや入社時の手当支給だけでは採用や引き留めに不十分であることを示しており、従業員のエンゲージメントを高め、長期的なキャリアパスの構築が重要となる。人事コンサルティング会社、人事コンサルタントの腕の見せ所とも言えそうだ。

(2021年11月3日発表)

2021年9月分

Summary

9月の米国の民間雇用者数は前月比56万8000人増加し、市場予想を大幅に上回った。前月は34万人増加(速報値37万4000人増)に下方修正された。

サービス部門の雇用は46万6000人増。娯楽・ホスピタリティー分野で22万6000人増えたことが寄与した。このほか教育・ヘルスケア分野が6万6000人、プロフェショナル・ビジネスサービ分野が6万1000人増加した。

財生産部門の雇用は10万2000人増加した。製造業では4万9000人、建設業では4万6000人がそれぞれ増加し、過去1年で最大の伸びとなった。

企業の規模別では、従業員500人以上の大規模企業が39万人増加、50人から499人の中規模企業が11万5000人増加、49人未満の小規模企業が6万300人増加した。

Comment

9月のデータは、人事コンサルティングにおいて重要な洞察を提供する。特に大規模企業の雇用増加が目立つ中、中小企業も健闘しており、これら全ての企業に対して適切な人材戦略の策定と実施が必要である。人事コンサルタントは、各企業が直面する特有の課題に応じたカスタマイズされたアプローチを提供し、持続可能な成長を促進するための重要な役割を果たす必要がある。

(2021年10月6日発表)

2021年8月分

Summary

8月の米民間雇用者数は前月比37万4000人の増加となり、市場予想を大幅に下回った。前月は32万6000人増(速報値33万人増)に下方修正された。

サービス部門の雇用は32万9000人増加した。娯楽・ホスピタリティー分野は20万1000人増加、教育・ヘルスケア分野では5万9000人増加した。

財生産部門の雇用は4万5000人増加した。建設業が3万人増加、製造業は6000人増加した。

7-8月の雇用の伸びは2か月の増加幅としては年初以来の最小だった。

8月の雇用はあらゆる規模の企業で幅広く増加した。従業員500人以上の大企業では13万8000人、小規模企業では8万6000人、小規模企業では8万6000人増加した。

Comment

人事コンサルタントの立場で注目すべきは、サービス部門、特に娯楽・ホスピタリティーと教育・ヘルスケア分野の雇用増加である。これらのデータは、これらのセクターにおける人材需要の高まりを示しており、専門知識を活かして、企業がこれらの変化に効果的に対応するための人材戦略を提供する必要がある。

(2021年9月1日発表)

2021年7月分

Summary

7月の米国の民間雇用者数は前月比33万人増となり、市場予想を大幅に下回り2月以来の低い伸びとなった。前月は68万人増(速報値69万2000人増)に下方修正された。

サービス部門の雇用は31万8000人増加しが、娯楽・ホスピタリティー分野は13万9000人増となり、2月以来の低い伸びとなった。財生産部門の雇用は1万2000人増となり、建設業の伸びは1000人にとどまった。

企業の規模別では、従業員数500人以上の大規模企業では10万6000人、中規模企業では13万2000人、49人以下の小規模企業では9万1000人増加した。

Comment

7月の米国民間雇用者数は、サービス部門や娯楽・ホスピタリティー分野の雇用増が鈍化し、市場予想を大幅に下回る結果となった。これは経済の回復に一時的な減速が見られる兆候であり、特にパンデミックの影響を受けやすい産業における回復の不均衡が浮き彫りになっている。人事コンサルタントとしては、企業が不安定な経済環境に適応できるよう、柔軟な人材戦略を提案することが求められる。特に、サービス業や建設業においては、季節的な変動やパンデミックの影響を考慮した労働力の調整が必要である。

(2021年8月4日発表)

2021年6月分

Summary

6月の米民間雇用者数は前月比69万2000人増加し、市場予想を上回った。前月は88万6000人増(速報値97万8000人増)に下方修正された。

サービス部門の雇用は62万4000人増加して。このうち半数以上の33万2000人は娯楽・ホスピタリティー分野で増加した。このほか教育・ヘルスケア分野では12万3000人増加した。

財生産部門の雇用は6万8000人増加した。このうち建設業が4万7000人増加したのが目立った。

6月は全ての規模の企業でほぼ同等に増加した。従業員数500人以上の大規模企業では24万人、中規模企業では23万6000人、49人以下の小規模企業では21万5000人増加した。

Comment

人事コンサルタントとして、このデータから業界特有の労働市場の回復速度を読み解き、戦略的な人材確保と人材育成に関する助言・提案が急務であると考えられる。

(2021年6月30日発表)

2021年5月分

Summary

5月の米民間雇用者数は前月比97万8000人増加し、2020年6月以来の大幅な伸びとなり、市場予想を大幅に上回った。前月は65万4000人増(速報値74万2000人増)に下方修正された。

財生産部門の雇用は12万8000人増加した。建設業が6万5000人、製造業が5万2000人それぞれ増加した。サービス業では85万人増加した。最も伸びが大きかったのは娯楽・ホスピタリティーで44万人増加した。教育・健康サービスが13万9000人、貿易・輸送・公益事業サービスが11万8000人それぞれ増加した。

雇用は全ての規模の企業で増加。小規模企業では33万3000人、中規模企業では33万8000人、大規模企業では30万8000人増加した。

Comment

米民間雇用者数は2020年6月以来の大幅な伸びを記録した。特に娯楽・ホスピタリティー分野での雇用増加が顕著であり、経済再開とともに需要が急速に回復したことを示している。こうした動向を受け、人事コンサルタントとしては、企業が柔軟な労働力管理を通じて急速な需要変動に対応する必要性を提案する。人事コンサルティングの視点からは、特にサービス業における人材の迅速な再配置や教育・研修プログラムの強化が求められる。

(2021年6月3日発表)

2021年4月分

Summary

4月の米民間雇用者数は前月から74万2000人増となり、7か月ぶりの大幅な増加となった。前月は56万5000人増(速報値51万7000人増)に上方修正された。

調査対象とする業種では1業種を除き全てで雇用が改善した。サービス部門は63万600人増加した。娯楽・ホスピタリティー分野では23万7000人増となり、昨年6月以来の大幅な増加となった。貿易・輸送・公益事業サービスは15万5000人増加した。

財生産部門は10万6000人増加した。製造業は5万5000人増、建設業は4万1000人増加した。

規模別では大企業が27万7000人増、中規模企業が23万人、小規模企業が23万5000人増加した。

Comment

米民間雇用者数の大幅な増加は、パンデミック後の経済再開に伴うものである。特にサービス業、娯楽・ホスピタリティー分野の急回復は顕著であり、消費者需要の回復を示している。人事コンサルタントとしては、企業の人材確保が急務であり、効果的な採用戦略と人材開発が求められる。このデータからも、経済回復期における人事コンサルティングの重要性が一層増していることが分かる。

(2021年5月5日発表)

2021年3月分

Summary

3月の米民間雇用者数は前月比51万7000人増加となり、6か月ぶりの大幅増加となった。前月は17万6000人増(速報値11万7000人増)に上方修正された。

サービス部門の雇用は43万7000人増となった。娯楽・ホスピタリティー分野で16万9000人増加したほか、貿易・輸送・公益事業サービスでは9万2000人増加、プロフェショナル・ビジネスサービス分野でも9万3000人増加した。

財生産部門では8万人増加した。製造業が4万9000人、建設業が3万2000人増加した。

規模別では、小規模企業の雇用は17万4000人増加、中規模企業では18万8000人増加、大企業では15万5000人増加した。

Comment

3月の米民間雇用者数の大幅増加は、パンデミック後の回復基調を示している。特にサービス部門における雇用増は、消費者の需要回復と経済活動の再開を反映している。人事コンサルティングにおいては、企業の人材戦略を柔軟に対応させる必要がある。娯楽・ホスピタリティー分野の顕著な増加は、労働力の確保と定着に向けた対策が求められる。また、中小企業の雇用増加は、スキルマッチングや人材育成プログラムの強化を示唆している。製造業や建設業の成長もあり、専門技能を持つ人材の確保が重要である。人事コンサルタントとして、これらの動向を踏まえた包括的な人材戦略を提案し、企業の成長を支援すべきである。

(2021年3月31日発表)

2021年2月分

Summary

2月の米民間雇用者数は前月比11万7000人の増加となり、市場予想を大幅に下回った。前月は19万5000人増(速報値17万4000人増)に上方修正された。

サービス部門の雇用は13万1000人増加した。貿易・輸送・公益事業サービスが4万8000人増加、教育・医療サービスが3万5000人増加した。

一方、財生産部門は1万4000人減少した。製造業が1万4000人減少、建設業が3000人減少した。

雇用は全ての規模の企業で増加した。小規模企業が3万2000人増加、中規模企業が5万7000人増加、大企業が2万8000人増加した。

Comment

このような状況下、人事コンサルティング会社として企業に提案すべきことは以下の通りである。まず、成長が見込まれるサービス部門においては、効果的な人材獲得戦略を策定し、優秀な人材を確保することが必要である。また、製造業や建設業など減少が続く部門では、労働力の再配置やスキルアップのための研修プログラムを提供することが重要である。さらに、企業の規模に応じた柔軟な雇用戦略を導入し、特に中小企業の成長を支援する施策を強化すべきである。これにより、企業が持続可能な人材戦略を構築し、経済環境の変化に対応できるよう支援することが人事コンサルタントの役割である。

(2021年3月3日発表)

2021年1月分

Summary

1月の米国の民間雇用者数は前月から17万4000人の増加となり、市場予想を上回った。

前月分は7万8000人減(速報値12万3000人減)に上方修正された。

サービス部門の雇用は15万6000人増加した。教育・ヘルスケア分野が5万4000人増加、プロフェッショナル・ビジネスサービス分野が4万人増加、娯楽・ホスピタリティー分野が3万5000人増加した。

財生産部門は1万9000人増加した。建設業がこのうち1万8000人を占め、昨年11月以来の大きな伸びを示した。

雇用は全ての規模の企業で増加した。小規模企業が5万1000人増加、中規模企業が8万4000人増加、大企業が3万9000人増加した。

Comment

人事コンサルタントとしては、特にサービス業や建設業における人材の確保と維持に向けた戦略の提案が重要である。労働市場の回復に伴い、企業は迅速な採用プロセスや人材育成プログラムの強化を通じて、持続的な成長を目指すべきである。また、すべての規模の企業が恩恵を受けている状況を踏まえ、スケーラブルな人材管理の仕組みを提案し、各企業がその成長を最大限に活用できるよう支援することが求められる。

(2021年2月3日発表)