雇用統計
米労働省から毎月発表される米国の雇用統計データに人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。
2025年2月分
Summary
2月の非農業部門雇用者数は15万1000人の増加となり、市場予想を下回った。1月の非農業部門雇用者数は12万5000人増(速報値14万3000人増)に下方改定された。
失業率は4.1%と、1月の4.0%から上昇した。
業種別では、病院や介護施設など医療関連の雇用が5万2000人増、金融が2万1000人増、運輸・倉庫が1万8000人増、社会扶助が1万1000人増となった。一方で連邦政府が1万人減、小売は6000人減少した。その他の主要産業(建設、製造、卸売、情報、専門・ビジネスサービス、レジャー・ホスピタリティ)では大きな変動は見られなかった。
週平均労働時間は34.1時間となり、5年ぶりの低水準となった。経済的な理由でパートタイムで働く人は46万人増の490万人となった。増加数は2023年6月以来の高さだった。働く意思があるものの就職活動をあきらめた人や、フルタイムの仕事が見つからずパートタイムで働いている人などを含む、より広範な失業率は8.0%に大きく上昇し、2021年10月以来の高水準となった。
約38万5000人が労働市場から離脱した。労働力参加率は62.4%と、前月の62.6%から低下し、2年ぶりの低水準となった。経済の雇用創出能力の尺度とされる就業率は59.9%と、1月の60.1%から低下した。
Comment
2月の非農業部門雇用者数は15万1000人増と、市場予想を下回り、労働市場の減速が鮮明となった。失業率は4.1%に上昇し、労働力参加率も62.4%に低下するなど、労働市場の縮小傾向が見られる。さらに、週平均労働時間が34.1時間と5年ぶりの低水準となり、経済的理由でパートタイム勤務を余儀なくされる労働者も増加するなど、雇用の質の面でも懸念が強まっている。人事コンサルタントとしては、労働力参加率の低下やフルタイム雇用の減少に対応し、企業が多様な労働力を活用できる環境を整備することが重要である。具体的には、パートタイム労働者やシニア層、育児・介護と両立を希望する労働者をターゲットにした柔軟な雇用制度の導入を提案すべきである。また、労働時間の短縮が進む中で、従業員の生産性向上を支援するための研修プログラムやスキルアップ施策の強化が必要である。加えて、医療や金融といった雇用が拡大している分野においては、競争力のある採用戦略を打ち出し、優秀な人材の確保を支援することが求められる。
(2025年3月7日発表)
2025年1月分
Summary
非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比14万3000人増となり、市場予想を下回った。前月は30万7000人増(速報値25万6000人増)に上方修正された。失業率は4.0%(前月4.1%)に低下した。
雇用は医療(4万4千人増)、小売(3万4000人増)、政府(3万2000人増)、社会福祉(2万2000人増)で増加した。一方で、鉱業・採掘・石油・ガス産業(8000人減)では減少した。その他の主要産業(建設、製造、卸売、運輸・倉庫、情報、金融、専門職・ビジネスサービス、レジャー・ホスピタリティ)では大きな変動は見られなかった。
平均時給は35.8ドルとなり、前月比0.5%増、対前年同月比4.1%と堅調に推移した。労働参加率、雇用人口比率、パートタイム就業者数は前月からほぼ変わらずだった。
Comment
1月の非農業部門雇用者数は14万3000人増と、2024年の月平均に近い水準を維持しつつも、業種間でばらつきが見られる。医療・社会福祉、小売、政府部門が雇用増加を牽引した一方で、鉱業・採掘分野は減少し、製造業や金融、専門職・ビジネスサービスではほぼ横ばいとなった。賃金は前年同月比4.1%増と堅調で、失業率は4.0%に低下したものの、労働力参加率や雇用人口比率には変化がなく、労働市場は全体的に小康状態にあると言える。人事コンサルタントとしては、まず成長産業における人材確保戦略の強化が求められる。特に、医療・福祉分野では高い人材需要に対応するため、研修制度の充実や外国人労働者の活用を提案すべきである。一方で、採用が伸び悩む製造業や金融分野では、既存従業員のエンゲージメント向上策を強化し、人材流出を防ぐ必要がある。また、賃金上昇が続く中、企業は給与だけでなく、柔軟な労働環境の提供や福利厚生の充実を通じて、魅力的な雇用条件を整備することが重要である。
(2025年2月7日発表)
2024年12月分
Summary
12月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比25万6000人の増加となり、市場予想を大幅に上回った。前月は21万2000人増(速報値22万7000人増)に下方修正された。失業率は4.1%に低下(前月4.2%)した。
12月は業種別で見ると、ヘルスケア・社会扶助、小売り、娯楽・ホスピタリティーなどで雇用が増加し、政府部門でも増加した。一方、製造業は過去5か月で4度目の減少となり、昨年は計8万7000人の雇用減少となった。
労働参加率は62.5%で横ばいだった。今回の統計では、恒久的な失業者が減少し、自発的な離職者が増えたことも示された。失業期間の中央値は若干短くなった。
平均時給は前月比0.3%の増加だった。前年同月比では3.9%増加した。労働者の大半を占める非管理職の賃金上昇率は前月比0.2%増、前年同月比では3.8%増となり、2021年半ば以来の低い伸びにとどまった。
Comment
高い借り入れコストや根強いインフレ、政治的な不透明感にもかかわらず、労働市場が昨年も持ちこたえたことを今回の統計は示した。12月はヘルスケアや小売りなどで雇用が拡大した一方で製造業の雇用減が続くなど産業間格差が際立っている。労働参加率の横ばいや賃金上昇率の鈍化は、労働市場の過熱感が和らぎつつある兆候と考えられる。人事コンサルタントとしては、業種ごとの人材需要の違いと国際的なサプライチェーン変動を踏まえた戦略的アプローチが必須である。報酬制度の見直しや研修プログラムの強化、人事コンサルティングによる人材ポートフォリオの最適化など、多面的な施策を通じて企業は市場の変動に迅速に対応し、長期的な競争力を維持できるであろう。
(2025年1月10日発表)
2024年11月分
Summary
11月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比22万7000人増となり、ほぼ市場予想どおりとなった。前月は3万6000人増(速報値1万2000人増)に上方修正された。
雇用者数の伸びをけん引したのは、医療と社会補助、 娯楽・ホスピタリティー、政府機関だった。一方で小売りは約1年ぶリの大幅減となった。ボーイングでのスト終結により、耐久財製造業は2万6000人増加した。
労働参加率は62.5%に低下し、5月以来の低水準となった。25歳から54歳の年齢層ではほぼ変動がなかった。
失業率が上昇したのは、一時的レイオフよりも解雇が多かったことが影響したとみられる。自発的離職者や、すぐに仕事を見つけられなかった人も増加した。27週間以上の失業者数は約3年ぶりの高水準に増加した。
平均時給は前年同月比4%増となり、2か月連続で同じ伸び率となった。労働者の大半を占める生産・非管理職の賃金上昇率は前月比0.3%増だった。賃金の伸びは総じて鈍化傾向となった。
Comment
11月は医療・社会補助、娯楽・ホスピタリティー、政府機関が雇用拡大をけん引した一方、小売業の大幅な減少が全体の伸びを抑えた。労働参加率は62.5%に低下し、失業率の上昇は解雇の増加や長期失業者数の増加によるものとみられる。賃金の伸びは前年同月比4%増にとどまり、労働市場全体の賃金上昇圧力が緩和されている。人事コンサルタントとしては、雇用のばらつきに応じた業界別の戦略が不可欠である。医療やホスピタリティー業界では積極的な採用と人材育成の強化が求められる一方、小売業では構造的な人材戦略の見直しが必要である。長期失業者の増加に対しては、再就職支援プログラムの導入やリスキリングの促進を企業に提案し、労働参加率の回復を支援するべきである。賃金の伸びが鈍化する中、福利厚生や柔軟な働き方の導入も有効な施策となる。
(2024年12月6日発表)
2024年10月分
Summary
10月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比1万2000人増となり、市場予想を大幅に下回った。前月は22万3000人増(速報値25万4000人増)に下方修正された。
10月は特に医療と政府部門で雇用が増加したが、他の業種ではほぼ横ばいないし減少となった。小売りや運輸・倉庫、娯楽・ホスピタリティーなどは全て減少した。これらは9月下旬から10月上旬にかけて南東部を襲った2つのハリケーンが影響した可能性が高い。
製造業の雇用は4万6000人減となり、2020年4月以来の大幅な落ち込みとなった。ボーイングの従業員3万3000人などストが影響した部分が大きい。
失業率は4.1%となり、前月から横ばいとなった。失業率は横ばいだったが、職を失った人は2月以来の大幅な増加となり、離職者数は減少した。労働参加率は小幅に低下。25歳から54歳では83.5%となり、4月以来の水準に下げた。
平均時給は前年同月比4%増だった。2022年の早い段階では6%近い増加率だった。
Comment
10月の非農業部門雇用者数が1万2000人増と市場予想を大幅に下回った背景には、ハリケーンやストライキの影響が大きい。製造業の大幅減少や小売、運輸・娯楽部門での雇用減少は、景気減速と一部地域・業種の不安定さを示唆している。さらに、労働参加率の低下と、失業率が横ばいながら職を失う人の増加は、企業にとってタレントプールの縮小と、求職者の採用コスト上昇のリスクを示している。人事コンサルタントとしては、採用・定着戦略の見直しが必要である。特に、柔軟な雇用形態の導入や従業員スキル開発を強化することで、不安定な労働環境に適応した持続的な人材戦略を提案すべきである。
(2024年11月1日発表)
2024年9月分
Summary
9月の非農業部門雇用者数は25.4万人増加し、失業率は4.1%で前月からほとんど変動がなかった。
主な雇用増加は、飲食サービス業、医療、政府、社会福祉、および建設業において見られた。飲食サービス業では6.9万人の雇用が増加し、過去12か月の平均月間増加数を大きく上回った。医療分野では4.5万人の増加があり、特に在宅医療サービスや病院での雇用増加が目立った。政府部門でも3.1万人の雇用が増加し、特に地方政府と州政府での増加が顕著であった。
一方で、製造業や小売業、運輸倉庫業などでは雇用の変化はほとんどなく、全体としては安定した動きを示している。
9月の平均時給は0.4%増加し、35.36ドルとなった。これは過去12か月で4.0%の上昇を示している。また、労働時間はわずかに減少し、全労働者の平均労働時間は34.2時間となった。
Comment
9月の非農業部門雇用者数は25.4万人増加し、特に飲食サービス業や医療、政府部門での雇用拡大が顕著であった。失業率は4.1%で安定しているものの、労働市場における産業間での雇用動向のばらつきが見られる。飲食サービス業や医療分野では人材需要が高まっている一方、製造業や小売業ではほとんど変化がない。このような状況下で人事コンサルタントは、成長産業向けの採用戦略を強化すると同時に、労働時間の減少や賃金の緩やかな上昇に対応した柔軟な労働条件の提案を行う必要がある。
(2024年10月4日発表)
2024年8月分
Summary
8月の非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増で予想を下回った。ただ失業率は4.2%となり、前月の4.3%から小幅低下した。
7月の非農業部門雇用者数は11万4000人増から8万9000人増に下方改定され、6・7月分の雇用者数は計8万6000人減少した。
業種別では、建設が3万4000人増となり、全体の伸びを主導した。医療関連は3万1000人増加したものの、伸びは鈍化し、過去12か月の月間の伸び平均である6万人の約半分程度にとどまった。社会扶助は1万3000人増加したものの、過去1年間の平均月間増加数の2万1000人を下回った。金融、レジャー・接客も増加、政府も2万4000人増加した。一方、製造業は2万4000人減少。小売業でも1万1100人減少した。
時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇、前年比3.8%上昇となり、それぞれ前月の0.2%上昇、3.6%上昇から伸びが加速し、堅調な賃金の伸びが引き続き消費支出を通じ経済を支えていることがうかがわせた。
Comment
8月の非農業部門雇用者数は予想を下回る増加にとどまり、雇用市場は勢いを欠くものの、失業率は小幅に改善した。業種別では建設業が引き続き強い成長を示す一方、医療や社会扶助は鈍化しており、過去のトレンドに基づいた戦略的な人材配置が必要である。特に、製造業や小売業での雇用減少は、これらの分野の企業がスキルギャップ対策やリスキリングを進めるべき緊急性を示唆する。また、賃金上昇は引き続き堅調であり、人事コンサルタントとしては、給与体系や報酬戦略の見直しが優先課題となる。全体として、労働市場の分極化に対応した柔軟な採用と人材育成が求められる。
(2024年8月2日発表)
2024年7月分
Summary
7月の失業率は4.3%に上昇し、非農業部門の雇用は11.4万人増加した。失業者数は720万人に増え、一時解雇者は110万人に達した。長期失業者は150万人であり、全失業者の21.6%を占めた。労働力参加率は62.7%、就業者人口比率は60.0%で大きな変化はなかった。パートタイム就業者数は34.6万人増加し、経済的理由によるパートタイム就業者は460万人に達した。
非農業部門の雇用増加は平均の21.5万人を下回ったが、医療、建設、運輸倉庫業では増加が続いた。医療部門では5.5万人の雇用が増え、在宅医療サービスや病院での増加が顕著であった。建設業では2.5万人、運輸倉庫業では1.4万人の雇用増加が見られた。一方、情報部門では2万人の雇用減少があった。
政府部門の雇用は1.7万人増加したが、鉱業、製造業、小売業、金融活動、専門職サービス、レジャーやホスピタリティなど他の主要産業では大きな変化はなかった。平均時給は0.2%増の35.07ドルであり、製造業の平均労働時間は39.9時間に減少した。
全体として、雇用市場は緩やかな回復を示しつつも、一部の産業では厳しい状況が続いていることが報告されている。
Comment
非農業部門の雇用増加が11.4万人と低調だった一方で、医療、建設、運輸倉庫業は依然として堅調である。特に医療部門の雇用増加は、在宅医療サービスの需要拡大を反映しており、企業は人材育成と採用戦略を見直す必要がある。また、情報部門の雇用減少はDXの進展による影響と考えられ、スキルの再訓練が急務である。さらに、パートタイム就業者数の増加と平均時給の緩やかな上昇は、経済的理由による労働力の流動性を示唆している。人事コンサルタントとして、企業が競争力を維持するためには、柔軟な労働環境の整備と共に、労働者の多様なニーズに応える包括的な人事戦略の提案が求められる。
(2024年8月2日発表)
2024年6月分
Summary
6月の米国の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は6月に前月比20万6000人の増加となり、市場予想を上回った。前月は21万8000人増(速報値27万2000人増)に下方修正され、過去2か月分では計11万1000人下方修正された。
失業率は4.1%に上昇し、市場予想(4%)を上回った。
平均時給は前月比0.3%増となり、過去3年間の最低水準と並んでいる。前月は0.4%増だった。
雇用者数の伸びは、過去3か月平均では2021年初め以来のペースに減速しており、4-6月(第2四半期)の労働市場が当初予想よりも冷え込んだことを反映した。
労働参加率は62.6%に上昇した。25-54歳の労働参加率は83.7%となり、22年ぶりの高水準に上昇した。
6月は雇用者数増加の約4分の3が、ヘルスケアと政府部門によるものだった。製造業の雇用者数は8000人の減少となり、2月以来の大きな落ち込みとなった。
Comment
米非農業部門雇用者数は市場予想を上回る増加となったが、失業率は4.1%に上昇し、平均時給の増加も低水準にとどまった。労働市場の冷え込みを反映し、特に製造業での雇用減少が目立つ。人事コンサルタントとしては、労働市場の変動に対応するため、柔軟な雇用形態や人材確保戦略の提案が重要である。企業の長期的な人材戦略を強化し、競争力を維持するための取り組みが不可欠となる。
(2024年7月5日発表)
2024年5月分
Summary
5月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比27万2000人の増加となり、市場予想を上回った。前月は16万5000人増(速報値17万5000人増)に下方修正された。
5月の失業率は4%に上昇した。失業率が4%となるのはこの2年余りで初めてとなる。
5月の平均時給は前月比0.4%増、前年同月比4.1%増となった。
労働参加率は62.5%に低下した。一方で25-54歳は2002年以来の高水準に上昇した。
雇用は広範な業種で拡大。裾野の広さは昨年1月以来の水準となった。業種別では、ヘルスケア関連で6万8000人の雇用が創出され、全体の増加をけん引した。政府部門の雇用者数は4万3000人増加、レジャー・接客業は4万2000人増加、専門・ビジネスサービス部門では3万2000人増加した。一方、百貨店や家庭用家具小売店では小幅に減少した。
Comment
5月の米雇用報告は、予想を上回る雇用増加にもかかわらず、失業率の上昇と労働参加率の低下が示すように、労働市場の不均衡を浮き彫りにしている。インフレ圧力下での賃金上昇が続く中、人事コンサルタントは企業に持続可能な人材戦略の再考を促し、長期的な成長を支える柔軟な労務管理を提案する必要がある。
(2024年6月7日発表)
2024年4月分
Summary
4月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比17万5000人の増加となり、市場予想を大幅に下回った。前月は31万5000人増(速報値30万3000人増)に上方修正された。
4月の失業率は3.9%となり、前月から0.1ポイント上昇した。
平均時給は前月比0.2%増加し、市場予想を下回った。前年同月比では3.9%増加し、2021年6月以来の小幅な伸びにとどまった。
雇用の伸びは娯楽・ホスピタリティーと建設、政府で減速した。一方でヘルスケアと運輸、小売では雇用が増加した。
労働参加率は62.7%で横ばいだった。25-54歳の年齢層では83.5%に小幅上昇し、約20年ぶり高水準に並んだ。
Comment
非農業部門の雇用者数が市場予想を下回る一方で、失業率のわずかな上昇や平均時給の伸びの鈍化は、人事コンサルタントによる人事戦略の再評価の必要性を示唆している。特に、労働参加率の上昇が賃金抑制に寄与する可能性から、戦略的な報酬設計やタレントマネジメントが求められる。
(2024年5月3日発表)
2024年3月分
Summary
3月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比30万3000人の増加となり、市場予想を大幅に上回った。前月は27万人増(速報値27万5000人増)に下方修正された。
失業率は3.8%となり、前月の3.9%から0.1ポイント低下した。
平均時給は前月比0.3%増となり、前月の0.2%増から0.1ポイント上昇した。
3月の雇用増は、ヘルスケアや娯楽・ホスピタリティー、建設業がけん引した。雇用が増えた業種と減少した業種との比率を示す雇用DIは上昇した。
労働参加率は昨年11月以降で初めて上昇し、62.7%になった。25-54歳の年齢層では83.4%に低下したが、なお20年ぶりの高水準近くにある。
Comment
3月の米雇用者数はほぼ1年ぶりの大幅増となり、失業率は低下した。力強い労働市場が景気を押し上げていることを示す内容となり、金融当局が最初の利下げをさらに遅らせる可能性を高めたと考えられる。また、労働参加率の改善は労働市場の強さを示しており、企業は労働力を最大限に活用するための革新的な人事コンサルティングを必要としている。人事コンサルタントは企業の成長を支え、市場変動に対応するための革新的な人材戦略の提案が必要となる。
(2024年4月5日発表)
2024年2月分
Summary
2月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比27万5000人の増加となり、市場予想を上回った。前月は22万9000人増(速報値35万3000人増)に下方修正された。
2月の失業率は3.9%となり、前月(3.7%)を上回り、市場予想も上回った。労働市場に参加したもののすぐに職を得られない人が増えたことから失業率は上昇した。
平均時給は前月比0.1%増、前年同月比では4.3%増となった。
雇用の伸びは医療や娯楽・ホスピタリティー、政府部門などで特に目立った。
Comment
2月の非農業部門雇用者数は27万5000人増と市場予想を上回り、医療、娯楽・ホスピタリティー、政府部門が成長をけん引した。一方、失業率は3.9%に上昇し、労働市場に新規参入したものの職を得られない人が増えていることが示された。賃金の伸びは前年同月比4.3%増と堅調だが、前月比では0.1%増にとどまり、上昇ペースが鈍化している。人事コンサルタントとしては、企業に対し、新規求職者の活用を促進するための採用戦略の強化を提案すべきである。特に、医療やホスピタリティーなど成長分野では、迅速な採用プロセスと研修制度の整備が求められる。また、賃金の伸びが鈍化する中で、企業は給与以外のインセンティブ(柔軟な勤務形態、福利厚生の充実、スキルアップ機会の提供)を強化し、優秀な人材の確保・定着を図ることが重要である。さらに、労働市場への新規参入者が増えている状況を踏まえ、再就職支援や適切な職業マッチングの強化が必要となる。
(2024年3月8日発表)
2024年1月分
Summary
1月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比35万3000人増となり、市場予想を大幅に上回った。前月は33万3000人増(速報値21万6000人増)に上方修正された。
失業率は3.7%となり、前月から3.7%横ばいとなった。
平均時給は前月比0.6%増(前月0.4%増)となり、2022年3月以来の大幅な伸びとなった。賃金は労働時間の減少によって押し上げられた可能性が高い。1月分の調査が実施された週は、米国の多くの地域で厳冬が続き、経済活動が混乱した。悪天候のために就労しなかった労働者数は50万人を超え、ほぼ3年ぶりの高水準となった。
Comment
1月の非農業部門雇用者数は35万3000人増と市場予想を大幅に上回り、労働市場の強さが示された。前月も上方修正されており、特に1月の雇用増加は天候要因による影響を受けながらも力強い伸びを見せた。一方、失業率は3.7%で横ばいとなり、平均時給は前月比0.6%増と2022年3月以来の高い伸びを記録した。これは労働時間の減少が賃金上昇を押し上げた可能性を示唆している。人事コンサルタントとしては、企業に対し、天候や外的要因による労働市場の変動への対応策を提案すべきである。特に、柔軟な勤務体制の導入や労働時間の管理を最適化することで、業務の安定性を確保することが重要である。また、賃金上昇が進む中、単なる昇給だけでなく、スキル向上の機会提供や福利厚生の充実による従業員エンゲージメントの向上を図る施策が求められる。雇用市場の不確実性を踏まえ、戦略的な人材確保と維持に注力することが、企業競争力の維持・強化につながる。
(2024年2月2日発表)