2026年 雇用統計

2026年の米雇用統計を1ページに集約。最新月の動向と、人事戦略や労務管理などに与える示唆を専門家視点で解説します。
最終更新日:2026-07-09

2026年6月分:非農業部門雇用者は5万7000人増

概要

6月の非農業部門雇用者数は5万7000人増加となり、市場予想を大幅に下回った。前月分と前々月分もそれぞれ下方修正された。4月と5月の非農業部門雇用者数は、従来発表から合計7万4000人分下方修正された。ただそれでも、第2・四半期(4─6月)の伸びの月平均は11万1000人と、前年同期の3万4000人を大きく上回った。

失業率は4.2%となり、前月の4.3%から低下した。ただ、約72万人が労働市場から離脱したことが背景にあり、労働参加率は61.5%で2021年3月以来、約5年ぶりの低水準に落ち込んだ。失業率は5月まで3か月連続で4.3%で横ばいだった。

業種別では、専門・企業サービスが3万6000人増と最も伸びた。社会扶助は2万5000人、建設は1万1000人、製造は3000人、それぞれ増加した。ただ、医療は2万2000人増にとどまり、過去1年間の月平均3万8000人増を下回った。レジャー・接客は6万1000人減だった。サッカーのワールドカップ(W杯)北⁠中米大会による雇用増への期待に反し、2020年12月以来の大幅な落ち込みとなった。

賃金の伸びはやや加速。時間当たり賃金は前年比3.5%増となり、5月の3.4%増からやや上昇した。ただ、賃金上昇率は物価上昇率をなお下⁠回っており、賃金の伸びはインフレを加速させない水準を維持している。

人事コンサルタントの視点

雇用者数の急減と過去分の下方修正は、米国労働市場の底堅さが、量的な雇用拡大から質的な人材選別へ移りつつあることを示している。失業率は低下したものの、労働参加率の低下を伴っており、人材供給制約はむしろ強まっているとみられる。

こうした環境下で人事コンサルタントには、企業の採用計画を景気感応度や職種別の需給状況に応じて見直す支援が求められる。あわせて、職務等級、評価制度、報酬設計を生産性やスキルの希少性と連動させ、低成長下でも競争力を維持できる人材ポートフォリオ改革を主導することが重要である。

(2026年7月2日発表)

2026年5月分:非農業部門雇用者は17万2000人増

概要

5月の非農業部門雇用者数(季節調整値)は17万2000人増加し、市場予想を大きく上回った。

失業率は4.3%となり、3か月連続の横ばいとなった。

雇用増加をけん引したのはレジャー・接客業で、7万人増となり、過去12か月平均の月間1万4000人増を大きく上回った。うちレストラン・バーで4万8000人増えており、サッカーのFIFAワールドカップに備えた採用とみられる。地方政府は5万5000人増、ヘルスケアは3万5000人増。社会福祉、鉱業、⁠採石、石油・ガス採掘でも雇用が増加した。

一方、金融業は2万2000人減でとなり2025年5月のピークから10万7000人減少した。保険・関連業務や商業銀行で減少が目立った。

労働力人口が昨年12月以降で約140万人減少する中、労働参加率は61.8%と横ばいで、4年半ぶりの低水準にとどまった。

時間当たり賃金は前年比3.4%増となり、伸びは4月の3.6%から鈍化した。

人事コンサルタントの視点

強い雇用拡大の裏側では、消費関連業種の一時的な需要増や、公的・医療分野への雇用増加の偏りが目立つ。金融業の縮小や労働力人口の減少は、産業間・職種間で構造的な人材再配置が求められていることを示している。

物価高で実質所得が圧迫される局面において、人事コンサルタントとしては、企業に対し、一律的な賃上げにとどまらず、職務価値に基づく等級制度、成果と市場価値を反映する評価制度、リスキリングやスキル転換を組み込んだ報酬設計を提案すべきである。人事コンサルティングを通じて、短期的な採用対応と中長期の人材ポートフォリオ改革を統合することが重要である。

(2026年6月5日発表)

2026年4月分:非農業部門雇用者は11万5000人増

概要

4月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比11万5000人増加となり、市場予想を大幅に上回った。2か月連続での増加は約1年ぶりとなり、2か月間の伸びとしては2024年以来の大きさとなった。3月は18万5000人増(速報値は17万8000人増)に上方修正された。

4月の失業率は4.3%で、前月から横ばいだった。

業種別では特に、医療と運輸・倉庫、小売りで雇用が拡大した。運輸・倉庫と小売りはいずれも2024年以来の大幅な伸びとなった。宅配便・メッセンジャーサービスは約3万8000人増となり、2020年以来の大きな伸び。一方、製造業は小幅に減少した。情報業界の雇用は16か月連続で減少した。

就業者数は4か月連続の減少となった。労働参加率は61.8%となり、2021年10月以来の水準に低下した。主に55歳以上の層で低下した。

平均時給は前月比0.2%増、前年同月比3.6%増で、いずれも市場予想を下回った。

人事コンサルタントの視点

4月の米雇用統計は、労働需要の底堅さを示した。一方で、労働参加率は2021年以来の低水準まで低下し、情報産業では16か月連続の雇用減少が続くなど、構造的な人材需給の変化も鮮明である。賃金上昇率は鈍化傾向にあり、企業は人件費抑制と人材確保の両立を迫られている。

人事コンサルタントとしては、人事コンサルティングの重点テーマを「成長分野への人材再配置」と「高齢化を見据えた労働力戦略」に置くべき局面である。特に物流・医療分野では、採用競争力と定着力を高める制度改革が不可欠である。一方、情報産業では、AI活用を前提とした職務再設計とリスキリングを通じて、人的資本の再構築を進める必要がある。

(2026年5月8日発表)

2026年3月分:非農業部門雇用者は17万8000人増

概要

3月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比17万8000人の増加となり、市場予想を大幅に上回った。2月は13万3000人減(速報値は9万2000人減)に下方修正された。

3月の失業率は4.3%となり、前月から0.1ポイント低下した。

雇用者数の増加は医療分野が主導した。雇用の増加は幅広い業種にわたっており、採用の広がりを示す指標は約2年ぶりの高水準となった。2月に減少していた建設業や娯楽・ホスピタリティーも増加に転じた。天候要因による反動の可能性がある。製造業は2023年11月以来の大幅増となった。

3月の失業率は4.3%に低下したが、その一因は労働市場から離れる人が見られたことにある。就業者と求職者が人口に占める割合を示す労働参加率は61.9%へ低下し、2021年以来の低水準となった。

平均時給は前月比0.2%上昇。前年同月比では3.5%上昇と、ほぼ5年ぶりの低い伸びとなった。

人事コンサルタントの視点

2月の非農業部門雇用は市場予想を大幅に下回り、労働市場の減速感が強まった。幅広い分野で雇用が減少し、景気敏感部門を中心に調整圧力が強まっている。失業率は4.4%へ上昇し、労働参加率も2021年以来の低水準に低下した。一方、賃金は前年比3.8%増と底堅く、企業が人材確保に慎重になりつつも、処遇水準の維持に努めている状況がうかがえる。

人事コンサルタントとしては、この局面における人事コンサルティングの重点を「雇用調整期の人材戦略」に置くべきである。具体的には、採用抑制を前提とした職務再設計、スキルの可視化とマルチタスク化による人材再配置、景気循環に耐えうる人材ポートフォリオの構築が重要となる。また、賃金上昇が続く中で人件費効率を高めるため、報酬制度の見直しや柔軟な勤務制度の導入を提案し、組織の生産性と従業員エンゲージメントを両立させる戦略が求められる。

(2026年4月3日発表)

2026年2月分:非農業部門雇用者は9万2000人減

概要

2月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比9万2000人減少とり、市場予想を大幅に下回った。1月は12万6000人増(速報値は13万人増)に下方修正された。

2月の失業率は4.4%にとなり、前月から0.1ポイント悪化した。

雇用減はほぼ全ての業種に及び、中でも医療部門が最も大きく落ち込んだ。医療部門は1月に大幅に増加した反動もあり、2万8000人⁠減となった。ストライキと悪天候が影響したとみられている。情報産業は1万1000人減、連邦政府は1万人減、運輸・倉庫は1万1000人減少した。

建設業は悪天候が影響し、1万1000人減。レジャー・接客は2万7000人減となった。製造業は1万2000人減となった。製造業の雇用はこのところ減少が続いている。専門・ビジネスサービス部門も減少した。

週平均労働時間は34.3時間となり、1月から横ばいだった。平均時給は37.32ドル(前月比0.4%上昇)となった。前年同月比では3.8%上昇し、伸びは1月の3.7%からわずかに加速した。労働参加率は62.0%となり、1月の62.1%(下方修正)から低下し、2021年12月以来の低水準となった。

人事コンサルタントの視点

2月の非農業部門雇用は市場予想を大幅に下回り、労働市場の減速が鮮明となった。幅広い分野で雇用が減少し、景気敏感部門を中心に調整圧力が強まっている。失業率は4.4%へ上昇し、労働参加率も2021年以来の低水準に低下した。一方、賃金は前年比3.8%増と底堅く、企業が人材確保に慎重ながらも待遇維持を続けている状況がうかがえる。

人事コンサルタントとしては、この局面では人事コンサルティングの重点を「雇用調整期の人材戦略」に置くべきである。具体的には、採用抑制を前提とした職務再設計、スキルの可視化とマルチタスク化による人材再配置、景気循環に耐える人材ポートフォリオの構築が重要となる。また、賃金上昇が続く中で人件費効率を高めるため、報酬制度の見直しや柔軟な勤務制度の導入を提案し、組織の生産性と従業員エンゲージメントの両立を図る戦略が求められる。

(2026年3月6日発表)

2026年1月分:非農業部門雇用者は13万人増

概要

1月の非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比13万人増となり、市場予想を大幅に上回って約1年ぶりの大幅増となった。昨年12月は4万8000人増(速報値は5万人増)に下方修正された。

失業率は4.3%(前月4.4%)に低下した。

1月の雇用持ち直しは医療分野が主導した。建設業やプロフェッショナル・ビジネスサービスも増加。製造業の雇用は月間ベースで約1年ぶりに増加に転じた。一方、連邦政府の雇用者数は引き続き減少した。

労働参加率は62.5%に小幅上昇した。平均時給は前月比0.4%増と堅調な伸びを示した。

そのほかにも明るい材料があった。経済的な理由からパートタイムでの仕事を余儀なくされている労働者の数は、2022年6月以来の大幅な減少となった。自発的離職者は増え、新しい仕事が見つかるとの自信が強まっていることが示唆された。27週以上にわたって失業している長期失業者も顕著に減少した。

人事コンサルタントの視点

1月の非農業部門雇用は13万人増となり、雇用回復の動きを示した。失業率も4.3%へ低下し、労働参加率の上昇や長期失業者の減少など、労働市場の質的改善も確認された。自発的離職の増加は、労働者のキャリア選択意識や転職への自信が回復しつつあることを示唆している。

人事コンサルタントとしては、企業に対して、守りの雇用維持から攻めの人材戦略への転換を促すべき局面である。採用再加速に備え、成長分野への重点投資、タレントパイプラインの再構築、リスキリングの高度化を推進することが重要である。同時に、賃金上昇圧力に備え、報酬制度の再設計とエンゲージメント強化策を通じて、持続的な競争力を確立すべきである。

(2026年2月11日発表)

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