労働力調査(2022年)
総務省が毎月発表する日本の就業状況、失業者、失業率に関する雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。
2022年12月分
Summary
2022年12月の完全失業率(季節調整値)は、2.5%で前月と同水準だった。2022年暦年の完全失業率は2.6%となり、前年に比べ0.2ポイント改善した。男性は2.7%となり、前月に比べ0.1ポイント低下した。女性は2.2%で前月から横ばいだった。
就業者数(季節調整値)は6719万人となり、前月から6万人増加した。
完全失業者数(同)は171万人となり、前月から2万人減少した。内訳は「新たに求職」が4万人増、「自発的な離職(自己都合)」が2万人減、「非自発的な離職」が3万人減だった。
2022年の完全失業率は2.6%、失業者数は179万人となり16万人減となり、3年ぶりに減少した。
Comment
12月の完全失業率は2.5%となり、前年に比べ改善傾向を示したが、依然として低水準に留まっている。就業者数の増加や失業者数の減少は、労働市場の回復を示唆するものの、男女間や業種別の格差が依然として存在する点に注視すべきである。特に、女性の失業率が横ばいであることから、ジェンダー平等の推進や育児・介護との両立支援策の強化が求められる。人事コンサルティングにおいては、これらの課題を解決するための多様性・包摂性を重視した人材戦略の構築が企業にとって重要である。
(2023年1月31日発表)
2022年11月分
Summary
11月の完全失業率(季節調整値)は2.5%となり、前月から0.1ポイント改善した。男性の失業率は2.8%となり、前月から横ばいだった。女性は2.2%となり、前月から0.1ポイント低下した。
就業者数(季節調整値)は6713万人となり、前月から23万人減少した。
完全失業者数(同)は173万人となり、前月から5万人減少した。「自発的な離職(自己都合)」が6万人、「非自発的な離職」が1万人それぞれ増加した。一方、「新たに求職」が8万人減少した。
Comment
完全失業率が2.5%と前月から改善し、女性の失業率が2.2%と低下した一方、就業者数が23万人減少している。自発的な離職が6万人増加し、新規求職者が8万人減少したことは、転職市場が流動的であることを示す。人事コンサルティングにおいては、このようなトレンドを考慮し、企業が自社の採用戦略を見直し、組織力強化のための人材確保に重点を置くべきである。
(2022年12月27日発表)
2022年10月分
Summary
10月の完全失業率は2.6%となり、前月から横ばいだった。失業率を男女別では、男性が2.8%で前月から横ばい、女性は2.3%で前月から0.1ポイント低下した。
就業者数(季節調整値)は6736万人となり、前月に比べ7万人減少した。
完全失業者数(同)は178万人となり、前月から5万人減少した。内訳は「自発的な離職(自己都合)」が8万人減少、「非自発的な離職」が2万人減少、「新たに求職」が2万人増加となった。休業者(実数)は174万人と、前月に比べて20万人減少した。
Comment
完全失業率が横ばいであるものの、就業者数の減少と完全失業者数の減少は労働市場における微妙なバランスの変動を示している。特に自発的な離職の減少は、従業員の安定志向が高まっていることを示唆している。このような状況では、人事コンサルタントは、企業が労働力を維持し、従業員のエンゲージメントと生産性を向上させるための戦略的な人事コンサルティングを提供することが重要である。
(2022年11月29日発表)
2022年9月分
Summary
9月の全国の完全失業率(季節調整値)は2.6%となり、前月から0.1ポイント上昇し、4か月ぶりに悪化した。男性の失業率は2.8%、女性は2.4%となり、ともに前月から0.1ポイント上昇した。
就業者数(季節調整値)は6743万人で前月に比べ13万人増加した。完全失業者数(同)は183万人となり、前月から8万人増加した。内訳では「自発的な離職(自己都合)」が4万人増加、「非自発的な離職」、「新たに求職」はともに前月と同数だった。
休業者(実数)は194万人となり、前月から74万人減少した。このうち「宿泊業、飲食サービス業」と「教育、学習支援業」がそれぞれ13万人減少した。前月に比べて新型コロナウイルスの感染者数が減少したことが背景にあるとみられている。
Comment
失業率のわずかな上昇にも関わらず、就業者数が増加している現状は、労働市場の潜在的な活力を示している。人事コンサルタントとしては、企業がこの状況に適応するために、採用戦略の見直しと従業員のスキルマッチングを顧客企業に提案するタイミングのようだ。
(2022年10月28日発表)
2022年8月分
Summary
8月の完全失業率(季節調整値)は2.5%となり、前月から0.1ポイント改善した。男性の失業率は2.7%となり、前月から0.1ポイント低下した。女性は2.3%で前月と同率だった。
就業者数(季節調整値)は6730万人となり、前月に比べて4万人減少した。
完全失業者数(同)は175万人となり、前月に比べて1万人減少した。内訳では「自発的な離職(自己都合)」が6万人減少した。「非自発的な離職」は前月と同数だった。「新たに求職」は5万人増加した。
休業者(実数)は268万人となり、前月に比べて10万人増加した。新型コロナウイルスの感染が再拡大し、陽性者や濃厚接触者が増えたことが背景とみられている。
Comment
8月の完全失業率は2.5%と改善が見られるものの、就業者数の減少や休業者の増加が労働市場に影を落としている。特に、コロナウイルス感染再拡大に伴う休業者の増加は、企業の労働環境や従業員の健康管理に大きな課題を突きつけている。男性の失業率が改善した一方で、女性の失業率が横ばいであることは、依然として女性労働者が不安定な雇用環境に置かれている可能性を示唆している。人事コンサルティングにおいては、感染症対策を踏まえた柔軟な働き方の導入や、職場での安全対策の強化が求められる。また、離職率の減少を踏まえ、企業は人材の定着と再スキルアップの支援を強化し、労働市場の変動に柔軟に対応可能な人事戦略を構築する必要がある。
(2022年9月30日発表)
2022年7月分
Summary
7月の完全失業率(季節調整値)は2.6%となり、前月から横ばいだった。男性の失業率は2.8%となり、前月から0.1ポイント上昇した。女性の失業者は2.3%となり、前月から0.2ポイント低下した。
就業者数(季節調整値)は6734万人となり、前月に比べ2万人減少した。
完全失業者数(同)は176万人となり、前月に比べて4万人減少した。内訳では「非自発的な離職」が3万人減少、「自発的な離職(自己都合)」が2万人増加した。「新たに求職」は前月と同数だった。
休業者数(実数)は258万人となり、6月の157万人から約101万人増加した。
Comment
上記データを人事コンサルタントは重要な示唆として捉えるべきである。人事コンサルティングの専門知識を活かし、企業は従業員の離職動機を解析し、より効果的な人材維持戦略を立てることが求められる。特に、自発的離職が増加している現状では、職場の環境改善やキャリアアップの機会を提供することが、従業員の満足度を高め、組織の安定に寄与すると考えられる。
(2022年8月30日発表)
2022年6月分
Summary
6月の完全失業率(季節調整値)は2.6%となり、前月から横ばいだった。
就業者数は6759万人となり、前年同月に比べて21万人増加し、3か月連続の増加となった。
完全失業者数は186万人となり、前年同月に比べて21万人減少して12か月連続の減少となった。勤め先や事業の都合による離職が11万人減少した。自発的な離職(自己都合)も5万人減少した。
一方、仕事を持っていながら休んでいる「休業者」は先月157万人となり、前年同月に比べて27万人減少し、新型コロナの感染が拡大する前、3年前の水準まで低下した。中でも「宿泊業・飲食サービス業」の先月の休業者は9万人となり、前年同月の25万人から大きく減少した。
総務省は「新型コロナで厳しい状況にあった就業状況に持ち直しの動きが見られる。今後も休業者などの動向を注視していきたい」とした。
Comment
6月の完全失業率は横ばいながら、就業者数は3か月連続で増加し、完全失業者数も減少が続いている。離職者の減少と休業者の減少が、新型コロナ後の労働市場の持ち直しを示している。一方で、休業者の動向には引き続き注視が必要だ。人事コンサルタントは、宿泊・飲食サービス業のように回復基調にある産業での積極的な人材採用戦略を提案する一方で、他産業における休業者への再訓練やスキルアッププログラムの提供を支援し、労働市場の再構築と安定化を図る役割が求められる。
(2022年7月29日発表)
2022年5月分
Summary
5月の完全失業率(季節調整値)は2.6%となり、前月から0.1ポイント上昇した。
就業者数(季節調整値)は6724万人となり、前月から14万人減少した。4月は27万人増加したためにその反動が出た。
完全失業者数(同)は180万人となり、前月から4万人増加した。内訳では「自発的な離職(自己都合)」が6万人増加し、「新たに求職」は前月と同数だった。また、「非自発的な離職」は5万人増加した。
休業者数は164万人となり、前月から26万人減少し、2019年11月以降で最も低い水準となった。
Comment
新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着き、社会経済活動が正常に向かう中、より良い条件を求めて自発的に離職する人が増えたことなどにより、完全失業率が上昇した。このような状況下での人事コンサルティングでは、企業が労働者の雇用安定を図るための施策が求められる。人事コンサルタントとしては、離職防止策の強化や、柔軟な働き方の導入を提案し、労働者の不安を軽減しつつ企業の生産性を向上させることが重要である。
(2022年7月1日発表)
2022年4月分
Summary
4月の完全失業率(季節調整値)は2.5%となり、前月から0.1ポイント改善して2020年3月以来の水準となった。これで完全失業率は3か月連続の改善となり、総務省は「就業状況は持ち直しの動きがみられる」とした。男性の失業率は2.8%となり、前月から0.1ポイント上昇した。女性は2.2%で前月から0.2ポイント低下した。
就業者数(季節調整値)は6738万人となり、前月に比べ27万人増加した。
完全失業者数(同)は176万人となり、前月に比べて3万人減少した。内訳では「非自発的な離職」が12万人減少し、「自発的な離職(自己都合)」が6万人増加した。「新たに求職」は前月と同数だった。休業者数(実数)は190万人となり、前月から53万人減少した。
Comment
完全失業率が2.5%に改善し、就業者数が27万人増加するなど、労働市場の持ち直しを示している。特に女性の失業率が低下し、労働参加が促進されている点が注目される。一方で、自発的離職者の増加は、より良い職場環境を求める労働者の動きを反映している。人事コンサルタントは、企業に対し、従業員に柔軟な労働環境とキャリア開発の機会を提供し、優秀な人材の確保と定着を図ることを提案する必要がある。
(2022年5月31日発表)
2022年3月分
Summary
3月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月(2.7%)から0.1ポイント改善した。男性の失業率は2.7%となり、前月から0.3ポイント低下した。女性は2.4%となり、前月と同水準だった。
就業者数(季節調整値)は6711万人となり、前月に比べ18万人増加した。完全失業者数(同)は179万人となり、前月に比べて9万人減少した。内訳では「自発的な離職(自己都合)」が7万人減少、「非自発的な離職」が5万人の減少、新たに求職」が1万人の増加だった。
休業者数(実数)は243万人となり、前月から1万人増加した。例年、年度変わりにあたる3月は教育関連などで休業者が増える傾向にあるが、それを踏まえても高い水準となった。
2021年度平均の完全失業率は2.8%で、前年度に比べ0.1ポイント改善した。完全失業者数は191万人と、前年度に比べて8万人減少した。
Comment
完全失業率が2.6%に改善し、就業者数が18万人増加したことは、企業にとって前向きな兆候である。特に、男性の失業率が大幅に低下した点は注目に値する。一方、休業者数が高水準で推移しており、特に教育関連での休業が多いことから、業種別の課題も浮き彫りになっている。人事コンサルタントとしては、離職防止と休業者の復職支援を重点的に進めるべきである。具体的には、キャリア開発プログラムの強化や、リスキリングといった職業訓練の充実を通じて、従業員の市場価値を高める施策が必要である。また、女性の失業率が横ばいである点から、女性の就業環境の改善にも引き続き注力するべきである。企業に対しては、柔軟な働き方の導入や、育児・介護支援の充実を提案し、長期的な人材確保を図ることが求められる。人事コンサルティングのテーマとして、持続可能な雇用環境の整備と、多様な働き方の推進を掲げ、企業の競争力向上と従業員の満足度向上を目指すべきである。
(2022年4月26日発表)
2022年2月分
Summary
2月の完全失業率(季節調整値)は2.7%となり、前月(2.8%)から0.1ポイント低下した。男女別では男性3.0%、女性2.4%となり、いずれも前月と同率だった。
就業者数(同)は6693万人で前月と同じ、完全失業者数(同)は188万人で、前月から3万人減少した。雇用者数(同)は6008万人。前月に比べ22万人(0.4%)の増加となった。
完全失業者数(同)は188万人。前月に比べ3万人(1.6%)の減少となった。内訳をみると、「新たに求職」は4万人(8.2%)の減少、「非自発的な離職」は1万人(1.7%)の増加、「自発的な離職(自己都合)」は3万人(4.2%)の増加となった。
Comment
「非自発的な離職」や「自発的な離職」が増加しており、職場環境やキャリアパスの再評価が求められる。人事コンサルタントとして、企業には雇用の質を高める取り組みが重要である。具体的には、従業員の働きやすい環境を整え、キャリアアップの機会を提供することが求められる。また、離職を防ぐためのメンタルヘルス対策や、柔軟な働き方の導入も検討すべきである。企業が持続的に成長するためには、従業員のエンゲージメント向上と安定した雇用環境の確保が不可欠である。
(2022年3月29日発表)
2022年1月分
Summary
1月の完全失業率(季節調整値)は2.8%となり、前月に比べて0.1ポイント上昇した。完全失業率を男女別にみると、男性が前月比0.1ポイント上昇の3.0%、女性は横ばいの2.4%だった。
完全失業者数(季節調整値)は前月比4万人増の191万人となり、2か月ぶりに増加した。うち自己都合による「自発的な離職」は1万人増、雇い主や事業都合による「非自発的な離職」は6万人増となった。「新たに求職」は横ばいだった。
就業者数は6693万人となり、前月から19万人減少した。減少は3か月ぶりとなり、非労働力人口は5万人増加して4176万人となった。
休業者数の実数値は249万人となり、前月の190万人から増加した。新型コロナの新規感染者数が増加傾向にあった2021年8月(250万人)と同水準だった。
Comment
1月の完全失業率は2.8%に上昇し、特に男性の失業率が3.0%に達したことは、労働市場の不安定さを示している。また、就業者数の減少や非労働力人口の増加は、コロナウイルスの影響が続く中で、雇用環境が厳しさを増していることを示唆している。特に「非自発的な離職」の増加は、企業が依然として厳しい経営環境に直面していることを反映しており、人材の定着と再配置が急務である。人事コンサルティングにおいては、コロナ禍に対応した柔軟な雇用形態の提案や、雇用の安定性を高める施策が求められる。また、休業者数の増加に対しては、従業員の健康管理やメンタルヘルス支援の強化が必要であり、企業は総合的な人材戦略を再構築することが重要である。
(2022年3月4日発表)