2026年 米求人・労働移動状況(JOLTS)

2026年の米求人・労働移動状況(JOLTS)を1ページに集約。最新月の動向と、人事戦略や労務管理などに与える示唆を専門家視点で解説します。
最終更新日:2026-6-09

2026年5月分:求人件数は759万人に増加

概要

5月の求人件数(季節調整値)は759万年となり、前月確定値(758万件)から微増となった。

求人率は4.6%で前月と同率となり、企業の労働需要は高水準ながら伸びは一服している。

産業別では、卸売業の求人が7万1,000件増加した一方、教育・医療サービスや金融関連では減少がみられ、業種による濃淡が残る状況となっている。

採用件数(季節調整値)は517万人となり、前月から4万5,000件減少したものの、採用率は3.3%となり、前月と同水準だった。連邦政府では採用が1万1,000件増加したが、民間部門全体では小幅に減少しており、求人は維持される一方で、実際の採用は慎重に進められている。

離職者総数は510万1,000件、離職率は3.2%となり、前月から大きな変化はなかった。このうち、自発的離職を示す退職件数は310万人、退職率は1.9%で横ばい、解雇・一時解雇も170万人、解雇率1.1%で概ね安定している。

人事コンサルタントの視点

求人水準はなお強いが、採用・離職が安定していることから、企業が成長期待よりも不確実性管理を優先し、労働需要を慎重にさせていることを示している。

高金利とインフレ再燃懸念が残る経済環境下において、人事コンサルタントとしては、企業に対し、業種別の人材需給差を前提に、職務別の採用優先度の再定義を促すべきである。そして、人事コンサルティングを通じ、職務等級、評価制度、報酬レンジを市場連動型へ刷新し、欠員補充型採用からスキルポートフォリオ起点の戦略的人材配置へ転換させる必要がある。

(2026年6月30日発表)

2026年4月分:求人件数は761万人に増加

概要

4月の求人件数(季節調整値)は761万8,000件となり、前月から73万1,000件増加した。

求人率も4.6%となり、前月の4.2%から上昇しており、企業の人材需要は再び強まる動きを示した。特に専門・ビジネスサービス業では66万8,000件増となり、大幅に増加した一方、金融・保険業では13万5,000件減少した。

一方、採用件数(季節調整値)は511万6,000件となり、前月から41万9,000件減少した。採用率も3.2%へ低下しており、多くの業界で企業が求人を増やしながらも実際の採用には慎重な姿勢を維持していることがうかがえる。

離職者総数(季節調整値)は497万8,000件となり、前月から39万9,000件減少し、離職率は3.1%となった。このうち、自発的離職は297万7,000件、退職率は1.9%でほぼ横ばいであった。解雇・レイオフ件数は169万2,000件、解雇率は1.1%となり、大きな変動はみられなかった。

人事コンサルタントの視点

求人の急増に対し採用が縮小する構図は、不透明な景気、根強いインフレ、金利高止まりを前に、企業が量的確保から質的選別へ軸足を移したことを示している。

人事コンサルタントは、専門人材需要の偏在と金融分野の調整を踏まえ、企業に職務定義を精緻化し、等級、評価基準、報酬レンジを市場価値と連動させることを提案すべきである。同時に、採用計画、配置転換、育成投資を一体で再設計することが重要となる。

(2026年6月2日発表)

2026年3月分:求人件数は686万人に減少

概要

3月の米求人件数は686万6000件に減少した。2月は692万2000件(速報値688万2000件)に上方修正された。

求人件数は、専門・ビジネスサービスで31万8000件減少した一方、小⁠売業、金融、医療・社会福祉の各分野では増加した。求人率は4.1%と、2月の4.2%から低下した。

採用件数は65万5000件増の555万4000件となり、2024年2月以来の高水準となったほか、増加幅は2020年5月以来の大きさとなった。小売業、運輸・倉庫・公益事業、専門・ビジネスサービス、レジャー・ホスピタリティなど幅広い分野で増加した。採用率は3.5%と2月の3.1%から上昇し、24年5月以来の高水準となった。

一方、解‌雇件⁠数は15万3000件増の186万7000件となった。解雇の大半は専門・ビジネスサービス分野が占めた。解雇率は1.2%となり、2月の1.1%から上昇した。失業者1 人当たりの求人 数は0.95となった。

人事コンサルタントの視点

3月の労働需要はなお弱含みで推移している。一方で採用件数は2024年2月以来の高水準となり、特に小売り、運輸、レジャー分野で増加が見られたことから、企業が厳選採用へシフトしている実態がうかがえる。専門・ビジネスサービスでは求人減少と解雇増加が同時に進み、ホワイトカラー領域の構造調整が鮮明となった。

人事コンサルタントとしては、人事コンサルティングの重点を「採用数の拡大」ではなく「採用精度と内部人材活用の高度化」に置くべきある。特に、成長分野への戦略的人材移動、リスキリングによる職務転換、AI活用を前提とした組織再設計を支援し、景気減速局面でも生産性を維持できる人的資本戦略を提案する必要がある。

(2026年5月5日発表)

2026年2月分:求人件数は688万人に減少

概要

2月の米求人件数は688万2000件に減少した。前月は724万件(速報値694万6000件)に上方修正された。

業種別では、宿泊・飲食サービス、医療・社会支援、製造業などで求人件数の落ち込みが目立った。

採用率は2020年4月以来の水準に低下した。一方、レイオフ率は小幅に上昇した。

失業者数が求人件数を上回る状況が続いており、労働市場がインフレ圧力の主因ではないとする米連邦準備制度理事会(FRB)の見方を改めて裏付けた。労働需給のバランスを示す指標である失業者1人当たりの求人件数は0.9件に低下。2022年のピーク時には2件に達していた。

人事コンサルタントの視点

2月の米求人件数は減少し、採用率も2020年4月以来の低水準となるなど、労働需要の鈍化が一段と明確になった。宿泊・飲食、医療・社会支援、製造業での落ち込みは、広範な業種で採用抑制が進んでいることを示している。先行きについては、イラン戦争に伴う原油価格の高騰が企業のコストを押し上げ、さらに採用を抑制する恐れがある。

人事コンサルティングにおいては、企業に内部人材の再配置やリスキリングによる戦略的人材活用を提案すべきである。また、AI投資へのシフトが進む中で、職務再設計とスキル転換を体系的に進めることが不可欠となる。さらに、採用市場が緩和する今こそ、人事コンサルタントは中長期的な人材ポートフォリオの再構築と、生産性向上を軸とした組織改革を主導する必要がある。

(2026年3月31日発表)

2026年1月分:求人件数は695万人に増加

概要

1月の米求人件数は695万件に増加した。前月は655万件(速報値654万件)に上方修正された。

求人件数の増加は、金融・保険、医療・社会扶助、小売り、宿泊・飲食サービスなど幅広い業種にけん引された。製造業の求人は2024年半ば以来の高水準となった。

採用率は横ばいだった一方、レイオフ率は低下した。

労働需給のバランスを示す指標である失業者1人当たりの求人件数は0.9件で横ばいだった。2022年のピーク時には2件に達していた。

自発的離職者の割合である離職率は低水準で横ばい。これは労働者の間で、新たな職を見つけられるとの自信が弱まっていることを示唆している。

人事コンサルタントの視点

1月の米求人件数は695万件へ増加し、金融・保険、医療・社会扶助、小売り、宿泊・飲食サービスなど幅広い分野で回復が見られた。製造業でも求人が2024年半ば以来の高水準となり、労働需要には一定の底堅さが確認される。一方で採用率は横ばい、離職率も低水準にとどまり、失業者1人当たりの求人件数も0.9件と低く、労働市場の活力は依然として限定的である。

人事コンサルタントとしては、この局面では人事コンサルティングの焦点を「慎重な採用環境下での人材戦略」に置く必要がある。求人が増えても採用が拡大しない状況では、企業は即戦力人材の選別採用と内部人材の育成を並行して進めるべきである。特に金融や医療など需要が回復している分野では、採用競争力を高めると同時に定着施策を強化することが重要となる。また離職率が低い今こそ、人事コンサルタントはキャリア開発やリスキリング、マルチタスク化を通じて組織内部の人的資本価値を高める戦略を提案すべきである。

(2026年3月13日発表)

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