労働力調査

総務省が毎月発表する日本の就業状況、失業者、失業率に関する雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2025年4月分

Summary

4月の完全失業率は2.5%で前月と同率だった。男女別では男性2.7%、女性2.3%となり、女性のみ0.1ポイント上昇した。

就業者数は6,804万人となり、前月比4万人(0.1%)減少した。男女別では、男性が3,704万人、女性が3,098万人となった。雇用者数は6,163万人で、前月比2万人増加となり、男性が3,313万人、女性が2,849万人だった。

正規の職員・従業員数は3,673万人で前月比8万人増加したが、非正規の職員・従業員数は2,142万人で16万人減少した。

完全失業者数は176万人となり、前月比3万人(1.7%)増加した。内訳として、非自発的な離職は46万人で5万人増加、自発的な離職(自己都合)は74万人で3万人減少した、新たに求職した者は50万人となり、5万人増加した。

Comment

全体の就業者数が微減しつつも、正規雇用が増加し非正規雇用が大幅に減少するなど、雇用の質的な転換が進行している。一方で、完全失業者数が増加し、特に「非自発的離職」と「新たな求職」の増加が目立つことから、雇用調整の兆候が現れているといえる。非労働力人口の減少は、潜在的な労働供給の増加を示唆しているが、受け皿となる雇用機会とのマッチングが課題である。
人事コンサルタントとしては、企業に対し、雇用形態の見直しを含む戦略的な人材ポートフォリオの再構築を提案する必要がある。特に正規雇用の増加を好機と捉え、定着支援や能力開発の強化を通じて人的資本の価値を高める取り組みが求められる。また、非自発的離職者の増加に対しては、離職リスク要因の可視化と早期対応策を講じ、組織の安定性を確保する必要がある。人事コンサルティングの視点からは、変動する労働市場に柔軟かつ先見性を持って対応するための人材戦略の策定を支援すべきである。

(2025年5月2日発表)

2025年3月分

Summary

3月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月比0.1ポイント上昇した。男女別では、男性が2.7%で0.2ポイント上昇、女性が2.2%で0.1ポイント低下した。

完全失業者数は173万人で、前月比5万人(3.0%)増加した。完全失業者の内訳としては、非自発的な離職が41万人で前月比2万人(5.1%)増、自発的な離職(自己都合)が77万人で前月比1万人(1.3%)増、新たに求職した者は45万人で前月と同数であった。非労働力人口は3994万人で、前月比3万人(0.1%)増加した。

雇用者数は6161万人で、前月比15万人(0.2%)減少した。雇用者のうち、正規の職員・従業員数は3665万人で前月比1万人減、非正規の職員・従業員数は2158万人で前月比6万人増となった。就業者数(季節調整値)は6808万人で、前月比8万人(0.1%)減少した。

Comment

就業者・雇用者数の減少と完全失業率の上昇が示す通り、全体として雇用環境がやや悪化傾向にある。しかし一方で、非正規雇用が前月比6万人増加し、部分的に雇用を支えている点は注目すべきである。特に非自発的離職者の増加や、男性の失業率上昇が示すように、特定層で雇用不安が高まっていることが示唆される。
人事コンサルタントとしては、企業に対し、非正規人材の安易な採用拡大に依存せず、組織の中核を担う正規人材の育成・定着を重視する戦略的な人事戦略を提案する必要がある。また、男女間で異なる失業動向を踏まえ、多様な人材が活躍できる柔軟な働き方やダイバーシティ推進策を講じることが、企業の競争力強化につながる。人事コンサルティングを通じ、企業が長期的な人材戦略を構築し、変動する労働市場に柔軟に対応できるよう支援することが求められる。

(2025年5月2日発表)

2025年2月分

Summary

2月の完全失業率は2.4%となり、前月より0.1ポイント低下した。男女別に見ると、男性は2.5%で0.1ポイント低下、女性は2.3%で前月と同水準であった。完全失業者数は168万人で、前月比6万人(3.4%)の減少となった。求職理由別では、「非自発的な離職」が39万人と前月比2万人増加し、「自発的な離職(自己都合)」は76万人で前月と同数、「新たに求職」は45万人で3万人減少した。

就業者数は6816万人で前月比11万人減少した。雇用者数も6176万人となり、前月から8万人減少した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員は3666万人で前月比9万人増加した一方、非正規の職員・従業員は2152万人で27万人の減少となった。

一方、非労働力人口は3991万人となり、前月比で10万人増加した。これは、労働市場全体の動きがやや停滞傾向にあることを示している。

Comment

2月の完全失業率は2.4%と前月より低下し、特に男性の失業率改善が見られた。一方で、就業者数・雇用者数はともに減少し、非労働力人口が増加していることから、労働市場全体としては停滞感が強まっている。注目すべきは、正規雇用が9万人増加した一方で、非正規雇用が27万人減少しており、雇用の質的転換が進んでいる点である。人事コンサルタントは、コンサルティングを通じて、企業が変化する労働市場に柔軟かつ戦略的に対応できる体制の構築を支援することが求められる。

(2025年4月1日発表)

2025年1月分

Summary

1月の完全失業率(季節調整値)は2.5%となり、前月と同率だった。男女別では、男性の完全失業率は2.6%で0.1ポイント上昇し、女性は2.3%で0.2ポイント低下した。

完全失業者数は174万人で、前月比2万人増加した。求職理由別では、「非自発的な離職」は3万人減少し、「自発的な離職(自己都合)」は1万人減少、「新たに求職」は5万人増加した。

就業者数は6,827万人で前月比13万人増加した。雇用者数は6,184万人で、前月比19万人増加している。正規の職員・従業員は3,657万人で26万人減少し、非正規の職員・従業員は2,179万人で43万人増加した。

産業別の動向では、医療・福祉(32万人増)、宿泊業・飲食サービス業(22万人増)、生活関連サービス業・娯楽業(17万人増)で就業者が増加した。一方、建設業(25万人減)、製造業(14万人減)、情報通信業(3万人減)では減少が見られた。

Comment

1月の雇用データは、完全失業率が2.5%と横ばいながら、正規雇用が26万人減少し、非正規雇用が43万人増加するなど、雇用の質に変化が見られる。特に、医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業などサービス産業での就業者増加が顕著である一方、建設業や製造業では雇用減少が進んでおり、業種間での雇用の流動化が加速している。
人事コンサルタントとしては、企業に対し、非正規雇用の増加を踏まえた人材定着策の強化や、柔軟なキャリアパスの設計を提案する必要がある。また、人事コンサルティングを通じて成長産業における採用競争の激化が予想されるため、福利厚生や働き方の柔軟性を強化し、企業の雇用ブランドを高める施策が求められる。一方、雇用が減少している業界では、リスキリングを通じた人材の再配置支援や、労働市場の変化に対応できる採用・育成戦略の構築が不可欠である。

(2025年3月4日発表)

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