一般職業紹介状況(平成29年、30年)

厚生労働省が毎月発表している公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめた求人倍率などの雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

平成30年12月分

Summary

12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.63倍だった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.41倍で前月から0.01ポイント上昇した。企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、運輸業・郵便業は前年同月比0.8%増加した。建設業は0.4%増となった。

正社員の有効求人倍率は1.15倍と前月を0.02ポイント上回った。

併せて発表された平成30年平均の有効求人倍率は前年比0.11ポイント上昇の1.61倍となり、45年ぶりの高水準だった。

Comment

引き続き堅調な雇用環境から求人が増加したことが寄与して、12月の有効求人倍率は高水準を維持した。昨年の平均で見ても有効求人倍率は45年ぶりの高水準となり、雇用情勢が着実に改善していることを示した。雇用環境の改善に伴い、人事制度の設計を中心とした人事コンサルティングの需要も伸びているようだ。

(2019年2月1日発表)

平成30年11月分

Summary

11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント上昇の1.63倍だった。上昇は2カ月ぶり。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.40倍で前月と同水準だった。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、建設業が前年同月比7.1%増、運輸業・郵便業は5.2%増、医療,福祉は5.1%増となった。

正社員の有効求人倍率は1.13倍と前月と同水準だった。

Comment

建設業、運輸業・郵便業、医療・福祉業での新規求人の増加は、これらの分野での人材需要が高まっていることを示している。この状況では、人事コンサルタントは企業がこれらの業界で競争力を保ちながら適切な人材を確保するための戦略的な人事コンサルティングを提供することが重要である。正社員の有効求人倍率が安定していることも、雇用の質の維持に向けた企業の努力を反映している。このような市場環境の中で、戦略的な人材管理が企業成長の鍵となる。

(2018年12月28日発表)

平成30年10月分

Summary

10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02ポイント低下して1.62倍となった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.40倍と前月比0.10ポイント低下した。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、運輸業・郵便業が前年同月比11.1%増えた。製造業も7.2%増となった。

正社員の有効求人倍率は1.13倍と前月比0.01ポイント低下した。

Comment

有効求人倍率がわずかに低下したものの、運輸業・郵便業や製造業の新規求人増加は業界の活性化を示している。一方で、新規求人倍率や正社員の有効求人倍率が低下したことから、企業は採用戦略の見直しと人材定着のための職場環境整備が必要である。人事コンサルタントとしては、労働力確保が困難な状況に備え、リスキリングや再訓練プログラムの導入を提案し、人材育成を通じた持続的な成長戦略の構築を支援するべきである。

(2018年11月30日発表)

平成30年9月分

Summary

9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇して1.64倍となり、1974年1月(1.64倍)以来の高水準となった。有効求人倍率が1.6倍台となるのはこれで5か月連続となった。

正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍となり、過去最高となった。

新規求職者数は前年同月から14.9%減少して35万2638人だった。就労が進み、新たに仕事を探す人が減少した。

企業も求人を減らしている。新規求人数は同6.6%減少の93万1362人だった。北海道胆振東部地震の影響で訪日客数が落ち込んだことなどから、採用を控える動きが出たとみられる。

Comment

有効求人倍率が1.64倍に達し、1974年以来の高水準を維持していることは、日本経済の安定成長を反映している。特に正社員の有効求人倍率が過去最高の1.14倍となったことは、企業が長期的な人材確保を重視していることを示している。しかし、北海道胆振東部地震の影響で訪日客数が減少し、観光業や関連業界での採用が一時的に停滞している。人事コンサルタントとして、企業が自然災害などの突発的なリスクに対応できる柔軟な人材戦略を構築することが重要である。

(2018年10月30日発表)

平成30年8月分

Summary

8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.63倍となり、1974年1月(1.64倍)以来の高水準となった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.34倍となり、前月比0.08ポイント低下した。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、運輸業と郵便業が前年同月比8.0%増、製造業は5.9%増となった。一方、教育・学習支援業は5.6%減少した。

正社員の有効求人倍率は前月から横ばいの1.13倍となり、調査開始(2004年11月)以来最高の水準を維持している。

Comment

8月の有効求人倍率は1.63倍となり、1974年以来の高水準を維持している。特に運輸業・郵便業や製造業で新規求人が増加しており、これらの業界での人材需要が高いことがうかがえる。一方で、教育・学習支援業では求人が減少しており、業界ごとの雇用動向にばらつきが見られる。正社員の有効求人倍率も1.13倍と横ばいを維持しており、企業の正社員採用意欲が依然として高いことが確認できる。人事コンサルタントとしては、業界別の求人動向に基づいた戦略的な採用活動の支援が求められる。運輸業・郵便業や製造業では、現場の労働力確保を目指した地域密着型の採用や、労働条件の改善が重要なテーマとなる。また、教育・学習支援業のように求人が減少している分野では、人材定着のための研修やキャリア開発支援が必要となる。さらに、正社員の有効求人倍率が高水準を維持していることを踏まえ、企業には長期的な人材戦略を見直し、柔軟な雇用形態や働き方改革の推進を提案することが、求職者のニーズに応えるために重要である。

(2018年9月28日発表)

平成30年7月分

Summary

7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇して1.63倍となった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.42倍となり、前月比0.05ポイント低下した。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、建設業が前年同月比6.6%増加した。製造業も6.6%増加した。一方、宿泊業・飲食サービス業は4.3%減少した。

正社員の有効求人倍率は1.13倍と前月比と同水準となり、調査開始(2004年11月)以来最高の水準を維持している。

Comment

7月の有効求人倍率が1.63倍に上昇し、新規求人倍率は2.42倍に低下したが、これは堅調な労働市場を示すものである。建設業と製造業で6.6%の増加が見られた一方で、宿泊業・飲食サービス業の4.3%減少が示すように、産業間での求人動向にばらつきがある。正社員の有効求人倍率が1.13倍で最高水準を維持していることから、人事コンサルタントは、各業種の特性と求人動向を理解し、企業が適切な人材配置戦略を立てるようサポートする必要がある。持続的な成長を見据えた人事コンサルティングが、企業の競争力向上に寄与するであろう。

(2018年8月31日発表)

平成30年6月分

Summary

6月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02ポイント上昇して1.62倍となった。1974年1月(1.64倍)以来の高水準だった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.47倍と前月比0.13ポイント上昇した。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、建設業が前年同月比4.0%増、医療・福祉は3.8%増、製造業も3.5%増加した。

正社員の有効求人倍率は1.13倍となり、前月比で0.03ポイント上昇した。調査開始(2004年11月)以来の最高を記録した。

Comment

有効求人倍率および新規求人倍率の上昇は、労働市場の強さを示しており、特に建設業、医療・福祉、製造業での求人増加がその動向を支えている。このような市場環境では、人事コンサルタントは企業に対して、適切な人材を確保し維持するための効果的な採用戦略と人材育成プログラムの設計を提案することが重要である。

(2018年7月30日発表)

平成30年5月分

Summary

5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇して1.60倍となり、1974年1月(1.64倍)以来の高水準を記録した。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.34倍と前月比0.03ポイント低下した。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、製造業が前年同月比9.2%増加した。自動車関連産業や金属製品製造業で求人が活発だった。教育・学習支援業も9.0%増加した。

正社員の有効求人倍率は1.10倍となり前月から0.01ポイント上昇し、調査開始以来の最高を記録した。

Comment

有効求人倍率が微増し、多くの産業で新規求人が増加していることから、労働市場が活発化していることが窺える。特に製造業、建設業、運輸業などの実体経済を支えるセクターでの求人増は、経済の拡大を示唆しており、これに対して人事コンサルティングは重要な役割を果たす。人事コンサルタントは、こうした市場動向を捉え、企業が求める技術力と適応能力を兼ね備えた人材の確保に努めるべきである。

(2018年6月29日発表)

平成30年4月分

Summary

4月の有効求人倍率(季節調整値)は1.59倍となり前月と同水準だった。正社員の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇して1.09倍となり過去最高を更新した。

新規求人は96万6323人となり前年同月比4.6%増加した。産業別にみると製造業(同9.3%増)、建設業(同5.4%増)で伸びが目立った。求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は14.3%となり前月から0.2ポイント低下した。

Comment

有効求人倍率は1.59倍と前月と同水準であったが、正社員の有効求人倍率が過去最高の1.09倍に達したことは注目に値する。新規求人も増加し、特に製造業と建設業で顕著な伸びを見せた。しかし、充足率が低下している点から、求人と求職者のミスマッチが浮き彫りとなっている。人事コンサルタントには、企業が求める人材像に対する適切な採用戦略と、求職者のスキルアップ支援を組み合わせた人事コンサルティングの提供が求められる。

(2018年5月29日発表)

平成30年3月分

Summary

3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント高い1.59倍だった。

企業の求人を業種別にみると、情報通信業の減少が目立った。一方、企業が生産を増やしていることから、製造業の求人は大きく増えた。人手不足が厳しい建設業や運輸業・郵便業も増加した。雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.41倍と前月比0.11ポイント上昇した。

正社員の有効求人倍率は1.08倍となり前月比0.01ポイント上昇し、調査開始以来最高となった。

併せて発表された2017年度平均の有効求人倍率は前年度比0.15ポイント高い1.54倍だった。上昇は8年連続で、昭和48年度(1.74倍)以来44年ぶりの高水準だった。正社員の有効求人倍率も1.03倍となり、初めて求人が求職を上回った。

Comment

人事コンサルティングの視点からは、まず製造業や建設業、運輸業における人手不足への対応が急務である。これらの業界では、労働環境の改善や待遇の見直しを通じて、求職者にとって魅力的な職場づくりを進めることが求められる。特に、柔軟な働き方や福利厚生の充実を図ることで、定着率向上を目指すべきである。情報通信業の求人減少に対しては、技術革新の進展や業界特有のスキル需要に応じた研修プログラムの充実を提案する。また、企業のデジタルトランスフォーメーションを推進し、新たな事業機会を創出することで、求人の増加を図ることが重要である。

(2018年4月27日発表)

平成30年2月分

Summary

2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.58倍となり、前月を0.01ポイント下回った。

新規求人倍率(季節調整値)は2.30倍となり、前月を0.04ポイント下回った。

正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.07倍となり、前月と同水準だった。

有効求人(季節調整値)は前月に比べ1.1%減となり、有効求職者(同)は前月に比べ0.3%減となった。

企業の求人を業種別にみると、宿泊業・飲食サービス業や情報通信業が減少した。一方、運輸業・郵便業や製造業は増加した。雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.30倍と前月比0.04ポイント低下した。

Comment

2月の有効求人倍率は1.58倍と、前月比で僅かに低下したが、依然として高い水準を維持している。新規求人倍率も低下し、正社員の有効求人倍率は横ばいであった。業種別では宿泊業・飲食サービス業や情報通信業の求人が減少する一方、運輸業・郵便業や製造業では求人が増加している。このデータを踏まえ、人事コンサルタントとしては、企業の人材確保戦略を再評価し、業種ごとの特性に応じたアプローチを提案することが重要である。特に、求人が減少している業種に対しては、労働環境の改善や福利厚生の充実を図り、求職者にとって魅力的な職場を提供することが求められる。また、求人が増加している業種においては、効率的な採用プロセスの構築と、入社後の教育・研修プログラムの強化が必要である。

(2018年3月30日発表)

平成30年1月分

Summary

1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.59倍となり、1974年1月以来の高水準となった。

就業者数は6562万人となり前年同月比で92万人増加した。就業者を産業別にみると、飲食・宿泊サービス業で前年同月比23万人増加した。そのほか教育・学習支援業(18万人増)や情報通信業(10万人増)で増加が目立った。

求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率(季節調整値)は14.7%だった。新規求人倍率(季節調整値)は2.34倍となり前月から0.04ポイント低下した。

正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.07倍となり前月から横ばいだった。

Comment

企業は人材の確保が難しく人手不足が深刻になっており、企業は将来の人手不足に備えて正社員の採用を増加させている。既に人手不足が生産やサービスの提供のボトルネックとなる企業も出てきている。少子高齢化の進行に伴う労働力人口の大幅な減少を補うために、在宅勤務、パラレルワークなどの就業形態の多様化は喫緊の課題だ。

(2018年3月2日発表)

平成29年12月分

Summary

平成29年12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.03ポイント上昇して1.59倍だった。上昇は3か月連続となり1974年1月(1.64倍)以来43年11カ月ぶり高水準となった。

正社員の有効求人倍率は1.07倍となり前月から0.02ポイント上昇し、平成16年11月の集計開始以降の最高を記録した。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は前月から0.05ポイント上昇の2.42倍なり過去最高を更新した。

企業の求人を業種別にみると、製造業や宿泊業・飲食サービス業、運輸業・郵便業で求人の増加が目立った。

同時に発表された平成29年平均の有効求人倍率は前年比0.14ポイント上昇の1.50倍だった。上昇は8年連続となり、44年ぶりの高水準となった。

Comment

新規求人数の2か月連続の大幅な増加は人手不足が加速していることを示している。企業は将来の人手不足を見越し、正社員の採用に力を入れており、正社員の有効求人倍率は過去最高を記録した。企業が求める人材と求職者の能力のずれ、いわゆる雇用のミスマッチがボトルネックとなっている。

(2018年1月30日発表)

 

平成29年11月分

Summary

11月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇して1.56倍となり、1974年1月(1.64倍)以来43年10カ月ぶりの高水準となった。企業の求人が増加した一方、求職者数が減少した。

 

正社員の有効求人倍率は1.05倍と前月比0.02ポイント上昇した。2004年11月の集計開始以来で最高を記録した。雇用の先行指標とされる新規求人倍率は前月から0.01ポイント上昇して2.37倍となり、1973年11月(2.36倍)を上回って過去最高を更新した。

 

運輸業・郵便業や学術研究、専門・技術サービス業、製造業などで求人の増加が目立った。

Comment

残業規制などで強まる企業の人手不足感が正社員の有効求人倍率を押し上げた。今後ますます深刻になる人手不足に対峙するために、行政、企業に労働参加率を高める工夫や生産性向上の工夫が求められることになる。最近の人事コンサルティングのシーンでも人事制度にワークライフバランスを加味したいとする企業が増加している。

(2017年12月26日発表)

 

平成29年5月分

Summary

5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇して1.49倍となった。上昇は3か月連続となり、前月に引き続き1974年2月(1.53倍)以来43年3か月ぶりの高水準となった。

企業の求人は0.1%減と前月から小幅に減ったものの、求職者の減少幅(0.9%減)が上回った。業種別では、製造業や運輸・郵便業のほか、職業紹介や労働者派遣業を含む「サービス業(他に分類されないもの)」の伸びが目立った。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.31倍となり、前月と比べ0.18ポイント上昇した。正社員の有効求人倍率は0.99倍となり、前月比0.02ポイント上昇して2004年11月の調査開始以来では過去最高を記録した。

就業地別の有効求人倍率は14カ月連続で全都道府県において1倍を上回った。

Comment

前回もお話ししたとおり、調査開始以来の最高水準となったとか、余り意味がないと考えています。労働力人口の減少が加速する今後は、次々と最高水準が塗り替えられていくことが予想されるからです。それよりも、国のリーダーは日本経済が労働力人口の減少にどのように対峙し、それを乗り越えて行くのかについての具体的なロードマップを示すべきだと思います。国力の衰退は社会保障財源の減少につながり、国民の将来の不安を増長させ、現在消費を抑制することになり、縮小均衡を招きかねないからです。

(2017年6月30日発表)

平成29年4月分

Summary

4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.03ポイント上昇して1.48倍となった。上昇は2か月連続で、バブル期のピークだった1990年7月(1.46倍)を上回り、1974年2月(1.53倍)以来43年2か月ぶりの高水準を記録した。

企業の求人が増加する半面、求職者数が減少した。業種別では、運輸・郵便業や製造業、建設業で求人の増加が目立った。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.13倍となり、前月と同水準だった。正社員の有効求人倍率は0.97倍となり、前月から0.03ポイント上昇して2004年11月の調査開始以来の最高水準となった。

就業地別の有効求人倍率は13カ月連続で全都道府県で1倍を上回った。

厚生労働省は雇用動向について「改善している」との見方を示した。

Comment

完全失業率と同様に、有効求人倍率が上昇することイコール景気が改善していることを示すという従来のスタンダードが通用しない時代になったと考えています。ですから、43年ぶりの高水準だとか、調査開始以来の最高水準となったとか、余り意味がないのではないかと思います。労働力人口の減少が加速する今後は、次々と最高水準が塗り替えられていくことが予想されるからです。完全失業率や有効求人倍率に一喜一憂するのではなく、日本経済が労働力人口の減少にどのように対峙し、それを乗り越えて行くかについての具体的なロードマップを示してほしいと思います。ただ、近年の経済政策についての総括もなされていない現状を鑑みると期待薄ではありますが・・・。

(2017年5月30日発表)

平成29年3月分

Summary

3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02ポイント上昇して1.45倍となり、1990年11月(1.45倍)以来26年4か月ぶりの高水準となった。

業種別では製造業や建設業、運輸・郵便業で求人の増加が目立った。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.13倍となり、前月から0.01ポイント上昇した。正社員の有効求人倍率は0.94倍となり、0.02ポイント上昇した。就業地別の有効求人倍率は12か月連続で全都道府県で1倍を上回った。

同時に発表された2016年度の有効求人倍率は1.39倍となり、前年度から0.16ポイント上昇して、1990年(1.43倍)以来26年ぶりの高水準となった。

Comment

企業の求人が増加する半面、求職者数が減少し、3月の有効求人倍率は26年4ヶ月ぶりの高水準となりました。完全失業率のところでも述べたように、雇用指標の改善は少子高齢化による生産年齢人口比率の低下によるところが大きいわけで、有効求人倍率が26年ぶりの高水準となったからといって、手放しで喜んでいられないと考えています。減少する生産年齢人口を補う労働力を確保することが喫緊の課題なのです。

(2017年4月28日発表)

平成29年2月分

Summary

2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて横ばいの1.43倍となった。企業の求人と求職者数がともに減少した。業種別では情報通信業が減少し、製造業やサービス業は増加が目立った。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.12倍となり、前の月に比べて0.01ポイント低下した。

新規求人数(原数値)は、製造業(前年同月比10.7%増)や運輸・郵便業(5.6%増)などで増加が目立った。

正社員の有効求人倍率は0.92倍となり、前の月と同じだった。

就業地別の有効求人倍率は11カ月連続で全都道府県1倍を上回った。

Comment

日本は既に完全雇用の状態にあるものの、人口が減少しているので総需要が減少していて消費は増えない、という負のスパイラルに陥っていると考えることができる。これから日本経済が中国経済みたいな成長率で成長することなど奇跡なのです。縮小するパイをどう分配して行くのか、パイが縮小する中でも最大の消費を実現するために国民の安心をサポートする年金等の社会保障をどうして行くのか等、今こそ国の現実的な確かな方向性を示す必要があるのだと痛感するのです。

(2017年3月31日発表)

平成29年1月分

Summary

1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍となり、前月と同じだった。

企業からの求人は高止まりしている。ハローワークに提出された仕事の数を示す有効求人数(季節調整値)は前月に比べ、0.6%増えた。

新規求人数(原数値)を産業別にみると運輸・郵便業(4.8%増)や社会福祉・介護事業(6.5%増)などで増加している。製造業でも人手不足は深刻で、新規求人は前年同月比7.7%増加した。

当面、人手不足は解消しそうにない。雇用の先行指標とされる新規求人倍率(季節調整値)は2.13倍で、前月を0.06ポイント下回った。下落は7カ月ぶりとなるが、2倍を超える高い水準で推移している。

Comment

雇用情勢は1990年代半ば並みの水準となり、サービス業を中心に人手不足が深刻な状況となっている。ヤマト運輸が宅配便サービスの料金を含めた見直しを検討したり、外食産業が深夜営業を止める状況となっている。少子高齢化の進行で生産年齢人口が減少しているという構造的な問題も人手不足の背景にあると考えられる。

(2017年3月3日発表)

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