一般職業紹介状況(2019年)

厚生労働省が毎月発表している公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめた求人倍率などの雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2019年12月分

Summary

12月の有効求人倍率(季節調整値)は4か月連続横ばいの1.57倍となった。

正社員の有効求人倍率も4か月連続横ばいの1.13倍となった。

雇用の先行指標となる新規求人倍率は前月から0.11ポイント低下して2.43倍だった。

新規求人数は前年同月比2.1%増加して88万7713人となった。米中貿易戦争の影響を受けている製造業が11.6%減少となり、11か月連続の減少となった。

また、同時に発表された2019年の有効求人倍率は平均で1.60倍となり、前年より0.01ポイント低下した。2008年のリーマン・ショック後の急落から、2018年まで9年連続で上昇していたが、10年ぶりに低下した。

Comment

12月の有効求人倍率は4か月連続で横ばいとなり、新規求人倍率が低下する中、製造業の減少が際立っている。米中貿易戦争の影響が製造業の採用意欲に影を落としており、11か月連続の減少はその深刻さを示している。人事コンサルタントとしては、製造業における人材の柔軟な再配置や再訓練を支援し、他産業への転職を見据えたリスキリング戦略が重要である。

(2020年1月31日発表)

令和元年11月分

Summary

11月の有効求人倍率(季節調整値)は3か月連続横ばいの1.57倍となった。

正社員の有効求人倍率も3か月連続横ばいの1.13倍となった。

雇用の先行指標となる新規求人倍率は前月から0.12ポイント低下して2.32倍だった。

新規求人数は前年同月比6.7%減少して90万1638人となり、4か月連続で減少した。米中貿易戦争の影響を受けている製造業が19.3%減少となり、10か月連続の減少となった。サービス業も13.1%減少した。

厚生労働省は「企業が人手不足に対応するため業務の合理化を進めて求人を減らす一方、仕事を求める人は65歳以上で増えている。このため有効求人倍率は依然高い水準にあるものの、この半年ほどはやや低下傾向が続いている」としている。

Comment

11月の有効求人倍率は1.57倍で3か月連続の横ばいとなり、正社員の有効求人倍率も同様の横ばいを維持しているが、新規求人倍率の低下や新規求人数の減少が見られる。特に、米中貿易戦争の影響を受けた製造業やサービス業での求人減少が顕著で、企業が人手不足に対応するため業務の合理化を進めていることが背景にある。一方で、65歳以上の労働者が増加しているため、有効求人倍率は依然として高水準を保っているが、全体的にはやや低下傾向にある。人事コンサルティングの観点からは、企業が人手不足に対応するための業務合理化が進んでいることを踏まえ、効果的な業務プロセスの見直しと同時に、人材の多様化に対応した柔軟な雇用戦略の構築が求められる。また、製造業においては、外部要因によるリスクを考慮した人材配置やスキルアップの推進が重要である。高齢者の労働力増加を見据え、年齢層に応じた職務設計や働き方改革の導入も、今後の人材確保において重要なテーマとなるだろう。

(2019年12月27日発表)

令和元年10月分

Summary

10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.57倍となり、前月と同水準となった。有効求人倍率が1.6倍を下回るのは4か月連続。

新規求人倍率(季節調整値)は2.44倍となり、前月を0.16ポイント上回った。

正社員有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍となり、前月と同水準となった。

有効求人数(同)は前月に比べ0.9%減となり、有効求職者(同)は0.9%減となった。

新規求人(原数値)は前年同月と比較すると4.0%減となった。産業別にみると、医療,福祉(3.2%増)、建設業(2.5%増)などで増加となり、製造業(15.6%減)、サービス業(8.6%減)、運輸業,郵便業(8.0%減)、情報通信業(7.3%減)などで減少した。

厚生労働省は「雇用情勢の改善は進んでいる」とした。

Comment

有効求人倍率が一定水準を保ちつつ、新規求人倍率が上昇していることは、一部の業界での求人活動が活発化している兆しである。特に医療や福祉、建設業での求人増加は、これらの分野での安定した需要が反映されている。人事コンサルタントは、企業に対して各産業の動向に応じた適切な採用戦略を提案することが重要である。また、製造業やサービス業などでの求人減少に対しては、人事コンサルティングを通じて戦略的な人材配置やスキル開発の支援が求められるであろう。

(2019年11月29日発表)

令和元年9月分

Summary

9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02ポイント低下して1.57倍となった。新たに職探しをする人が増加したことが原因となり、6か月ぶりに悪化した。

正社員の有効求人倍率は0.01ポイント低下して1.13倍、雇用の先行指標となる新規求人倍率は0.17ポイント低下して2.28倍となり、前月より悪化した。

新規求人数は前年同月比1.5%減の91万7174人だった。産業別でみると製造業が前年同月比11%減となり、8か月連続で減少した。サービス業や卸売・小売業なども減少が続いた。

Comment

9月の有効求人倍率が1.57倍に低下し、6か月ぶりの悪化を示した背景には、新たに求職活動を始める人の増加がある。特に、製造業の新規求人数が前年同月比で11%減少し、8か月連続で減少している点は注目すべきである。これに加えて、サービス業や卸売・小売業などの減少傾向も顕著である。人事コンサルティングの視点からは、経済の先行き不透明感が影響し、多様な産業で人材需要の減退が見られることから、企業は柔軟な人材戦略を採用する必要がある。人事コンサルタントは、こうした厳しい市場環境において、採用・配置の適切なバランスを見極めるアドバイスを提供することが、企業の持続的成長を支える要となる。

(2019年11月1日発表)

令和元年8月分

Summary

8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.59倍となった。

7月まで3か月連続で低下していたが8月は下げ止まった。正社員の有効求人倍率は禅が津から横ばいの1.14倍だった。

雇用の先行指標となる新規求人倍率は前月から0.11ポイント上昇して2.45倍だった。

8月の新規求人数は前年同月比5.9%減の91万7772人だった。教育・学習支援業(1.5%増)を除く全産業で減少した。特に米中貿易摩擦の影響で製造業は15.9%減と減少幅が最も大きく、7か月連続で減少した。

Comment

新規求人数の減少と特に米中貿易摩擦の影響で製造業の求人が大幅に減少していることは懸念材料である。教育・学習支援業のみが増加している点も注目に値する。人事コンサルタントとして、企業が外部環境の変動に柔軟に対応し、人材確保の戦略を再考することが重要である。特に、製造業など影響を受けやすい産業では、従業員のスキルアップと再配置を推進し、持続可能な成長を図るべきである。

(2019年10月1日発表)

令和元年7月分

Summary

7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02ポイント低下して1.59倍となり、1年4か月ぶりに1.6倍を割り込んだ。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.34倍となり、前月から0.02ポイント低下した。正社員の有効求人倍率は1.14倍となり、前月から0.01ポイント低下した。

新規求人数は前年同月比2.5%増の98万223人となった。業種別では人手不足の建設業や医療・福祉業などが増加した。一方、半導体関連の市況悪化の影響などで製造業は同5.9%減と6か月連続で減少した。

Comment

有効求人倍率は1.59倍となり、1.6倍を割り込んだ。新規求人倍率も低下し、特に製造業が半導体関連の市況悪化により減少している。一方で、建設業や医療・福祉業は人手不足が続いており、求人が増加している。これらの動向は、業種間での人材需給のミスマッチを示しており、人事コンサルタントにとっては、業界特有の課題に対応したコンサルティングの重要性が増している。

(2019年8月30日発表)

令和元年6月分

Summary

6月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント低下して1.61倍だった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.36倍と前月比で0.07ポイント低下した。

企業の求人を業種別に見ると、企業の生産活動の弱さを背景に「製造業」で12.5%減となり、「卸売業、小売業」では6.1%減となった。

正社員の有効求人倍率は1.15倍で、前月と同水準だった。

Comment

年金だけでは、老後の生活資金が2000万円不足するとする金融庁の報告書が物議を醸したが、そうした報道が影響したのか65歳以上の求職者数が増え、6月の有効求人倍率が低下した。人事コンサルタントの視点からは今後の日本経済は女性と高齢者の労働参加が経済成長を維持する絶対条件となると考えられる。

(2019年7月30日発表)

令和元年5月分

Summary

5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント低下して1.62倍となった。

正社員の有効求人倍率は前月から0.01ポイント低下して1.15倍となった。雇用の先行指標とされる新規求人倍率は0.05ポイント低下して2.43倍となった。

新規求人数は前年同月比2.5%減の93万8680人だった。米中貿易摩擦の影響で業績悪化の懸念がある製造業は8.8%減となり、4か月連続で前年同月を下回った。一方、人手不足が続く宿泊業・飲食サービス業や運輸業・郵便業などでは前年を上回る状況が続いた。

完全失業者数は前年同月比7万人増の165万人となり、2か月ぶりに増加した。

就業者数は6年5か月連続で増え、34万人増の6732万人だった。このうち正社員は24万人増、パートなど非正規で働く社員は27万人増だった。

Comment

有効求人倍率の低下は求職者が増加する一方で求人が減少していることを示し、特に製造業では米中貿易摩擦の影響が大きい。人事コンサルタントとしては、製造業における雇用調整の必要性を見据え、スキル転換やリスキリングのプログラムを推奨する。一方で、宿泊業・飲食サービス業や運輸業・郵便業では引き続き人手不足が課題であるため、効果的な採用戦略や従業員の定着率向上施策を提案することが重要である。また、非正規社員の増加傾向を鑑み、労働条件の改善やキャリアパスの明確化を図ることが企業の競争力強化につながると考える。

(2019年6月28日発表)

平成31年4月分

Summary

4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.63倍となった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.48倍となり、前月から0.06ポイント上昇した。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、「建設業」が5.9%増、「医療、福祉」が4.8%増となった。

正社員の有効求人倍率は1.16倍となり、前月から横ばいだった。

Comment

有効求人倍率が1.63倍で安定しており、特定産業における求人の増加が注目される。この状況は、経済の持続的成長と市場ニーズの変化を反映しており、人事コンサルタントはこれを企業の人材戦略策定に活用すべきである。建設業、医療福祉業、運輸業、そして宿泊飲食業での求人増は、これらの業界での労働力需要が高まっていることを示している。人事コンサルティングにおいては、減少傾向にある業界の企業に対しても、市場動向を踏まえた適切な人材確保戦略を提案し、組織の成長と安定を支援することが求められる。

(2019年5月31日発表)

平成31年3月分

Summary

3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比横ばいの1.63倍だった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.42倍となり、前月から0.08ポイント低下した。

企業の新規求人(原数値)を業種別に見ると、「サービス業(他に分類されないもの)」が11.0%減、「製造業」が10.4%減、「卸売業、小売業」が9.8%減と減少が目立った。

正社員の有効求人倍率は1.16倍となり、前月比0.01ポイント上昇した。

平成30年度平均の有効求人倍率は前年度から0.08ポイント上昇の1.62倍だった。9年度連続の上昇で、厚生労働省は「景気の緩やかな回復を背景に着実に就業が定着し、求職者数が減少したことから有効求人倍率が上昇した」とした。

Comment

3月の有効求人倍率は1.63倍で前月と横ばいであったが、新規求人倍率は2.42倍とわずかに低下した。サービス業、製造業、卸売業・小売業などで新規求人が減少していることが目立つ一方、正社員の有効求人倍率は若干上昇している。これらのデータを踏まえ、人事コンサルタントとしては、企業が持続可能な成長を実現するための人材戦略の見直しを提案すべきである。特に、求人が減少している業種においては、求職者にとって魅力的な職場環境の整備や、従業員のスキルアップ支援が求められる。また、正社員の採用活動を強化することで、企業の安定的な成長を支える人材基盤を築くことが重要である。

(2019年4月26日発表)

平成31年2月分

Summary

2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.63倍だった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.50倍で前月から0.02ポイント上昇した。

企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、教育・学習支援業は10.7%増、建設業は5.8%増、医療・福祉は4.2%増となった。一方、製造業は3.4%減だった。

正社員の有効求人倍率は1.15倍と前月から0.01ポイント上昇した。

Comment

人事コンサルタントとしては、業種ごとに異なる人材ニーズに対応するため、特定分野に焦点を当てた採用戦略の強化が重要である。例えば、教育・学習支援業や医療・福祉分野では、今後も人材需要が高まると予測されるため、これらの業界に特化した人材育成プログラムや、魅力的なキャリアパスの提示が求められる。また、製造業においては、デジタル化や自動化の進展に伴うスキルセットの見直しが必要となり、企業には従業員のリスキリングを促進するための施策が求められる。

(2019年3月29日発表)

平成31年1月分

Summary

1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.63倍だった。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は2.48倍で前月から0.08ポイント上昇した。

正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍となり、前月と同水準となった。

1月の新規求人(原数値)は前年同月と比較すると2.8%増となった。企業の新規求人(原数値)を業種別にみると、建設業は前年同月比7.3%増えた。運輸業・郵便業は7.0%増、医療・福祉は5.0%増となった。

Comment

新規求人倍率も2.48倍と上昇し、特に建設業、運輸業・郵便業、医療・福祉分野での新規求人が増加していることが目立つ。これらの分野は慢性的な人手不足に直面しており、今後も高い求人需要が続くと予想される。正社員の有効求人倍率も1.14倍と同水準を維持し、企業の正社員採用の意欲が根強いことがうかがえる。人事コンサルタントとしては、これらの成長産業における人材確保戦略の強化が重要である。特に、建設業や運輸業・郵便業では、現場の労働力確保が課題となるため、地域特性に応じた採用活動や、技能者の育成プログラムの充実が必要である。また、医療・福祉分野においては、長期的なキャリア支援と働きやすい環境整備が、人材の定着率向上に寄与するだろう。

(2019年3月1日発表)

関連ページ

労働力調査

最新 2023年 2022年 2021年 2020年 2019年 平成29年、30年 平成27年、28年

一般職業紹介状況

最新 2023年 2022年 2021年 2020年 平成29年、30年 平成27年、28年

毎月勤労統計

最新 2023年 2022年 2021年 2020年 2019年 平成29年、30年 平成27年、28年