厚生労働省が毎月発表している賃金、労働時間及び雇用の変動に関する雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。
12月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.8%増の56万7151円だった。基本給にあたる所定内給与が0.9%増、残業代など所定外給与は1.0%減、ボーナスなど特別に支払われた給与は2.7%増となった。
物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.4%増加した。
パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比2.5%増の1150円だった。パートタイム労働者比率は0.03ポイント上昇の31.14%となった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
併せて発表された18年の実質賃金は前年比0.2%増となり、2年ぶりに増加した。名目賃金にあたる現金給与総額は1.4%増だった。所定内給与は0.8%増、所定外給与は0.7%増、特別に支払われた給与は3.7%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.3%増の1136円となった。
企業は、賃金制度の設計において基準賃金を強化しつつ、インセンティブ制度の充実とパートタイム労働者のモチベーションを高める戦略が求められる。人事コンサルタントは、現行の給与体系を見直し、変化する労働市場に合わせた柔軟な賃金戦略を策定することで、企業の人材確保と生産性向上をサポートする役割が重要となる。
(2019年2月8日発表)
11月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比2.0%増の28万3607円となった。増加は16カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.6%増の24万4981円だった。残業代など所定外給与は1.1%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は9.7%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は1.1%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.7%増の1134円。パートタイム労働者比率は0.31ポイント低下の30.71%だった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
名目賃金及び実質賃金の増加が確認されたことは、経済環境の持続的な改善と市場の安定を反映している。こうした環境下において、人事コンサルタントは企業の戦略的な人材管理と報酬設計における核心的な役割を担っている。人事コンサルティングの専門知識を活用し、適切な賃金体系の構築と労働生産性の向上を促進することが、企業の競争力強化に直接的に寄与する。
(2019年1月9日発表)
10月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.5%増の27万1333円となった。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.3%増加して24万4509円となった。残業代など所定外給与は1.9%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は6.8%増だった。
物価変動の影響を除いた実質賃金は0.1%減となった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.0%増の1136円となった。パートタイム労働者比率は0.05ポイント上昇して30.98%だった。
厚生労働省は賃金について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
名目賃金が増加しているものの、物価変動の影響を受けて実質賃金は減少している状況は、労働市場における賃金の購買力が依然として圧迫されていることを示している。このような状況下で、人事コンサルタントは、企業が従業員の実質的な収入向上を目指すための報酬戦略の再検討を支援することが重要である。また、賃金の基調は緩やかに増加しているが、これを実質賃金の向上につなげる戦略的な人事コンサルティングが求められる。
(2018年12月7日発表)
9月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.1%増の27万256円となった。
内訳では、基本給にあたる所定内給与が0.8%増の24万4054円、残業代など所定外給与は0.4%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は13.3%増だった。
物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%減となった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.1%増の1136円、パートタイム労働者比率は0.15ポイント低下の30.63%だった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
名目賃金の増加にもかかわらず、実質賃金の減少が続いていることは、従業員の実質的な生活費へのプレッシャーを示している。人事コンサルタントは、このような環境で企業が労働市場での競争力を維持するために、効果的な報酬戦略と福利厚生の改善を提案する必要がある。
(2018年11月7日発表)
8月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.9%増加して27万6366円となった。
基本給にあたる所定内給与が1.4%増の24万3809円、残業代など所定外給与が1.0%増だった。一方、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.4%減少した。
物価変動の影響を除いた実質賃金は0.6%減となった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.8%増の1137円。パートタイム労働者比率は横ばいの30.70%だった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
人事コンサルタントとしては、特別支給の減少と物価変動に対処しつつ、労働者の購買力向上を図るための戦略が重要である。人事コンサルティングの観点からは、基本給を中心とした賃金体系の見直しとともに、パートタイム労働者を含む全労働者の賃金増加を促進する施策の導入が必要である。
(2018年10月5日発表)
7月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.5%増の37万6338円だった。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.0%増の24万5010円だった。残業代など所定外給与は1.9%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は2.4%増だった。
物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%増となった。
パートタイマーの時給は1.7%増の1130円だった。パートタイマー比率は0.15ポイント低下して30.53%だった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
名目賃金が前年同月比1.5%増加したことは、経済の回復基調を示している。特にボーナスや残業代の増加が顕著で、従業員の労働意欲を高める要因となっている。人事コンサルタントとして、企業がこの賃金増加の流れを維持し、持続可能な賃金体系を構築することが求められる。特にパートタイマーの処遇改善や働き方改革を推進し、全従業員のエンゲージメントを高める戦略が重要である。
(2018年9月7日発表)
6月の現金給与総額は前年同月比で3.6%増加して44万8919円だった。増加は11か月連続となり、1997年1月以来21年5か月ぶりの高水準となった。
基本給にあたる所定内給与が1.3%増加した。残業代など所定外給与は3.5%増加、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.0%増加した。
物価変動の影響を除いた実質賃金は2.8%増だった。消費者物価指数は0.8%上昇したが、名目賃金の伸びが上回った。
パートタイム労働者の時間当たり給与は1.8%増加して1133円だった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額の増加は11か月連続となり、1997年1月以来21年5か月ぶりの高水準となった。当社の人事コンサルティングの関与先でも賃上げに苦心しているが、日本では賃金インフレが急進していると指摘するアナリストも出てきており、今後の賃金の推移には注意が必要だ。
(2018年8月7日発表)
5月の実質賃金は前年同月から1.3%増加し、1年10カ月ぶりの高水準となった。
名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は2.1%増の27万5443円となり、伸び率は14年11カ月ぶりの高水準となった。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は1.5%増え24万4175円となった。残業代など所定外給与は1.6%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は14.6%増加した。
賃金の上昇は、名目賃金のなかで比重の高い基本給が増加していることに起因している。厚労省は「特に正社員で基本給が引き上げられている」としている。
実質賃金が前年同月比1.3%増加し、名目賃金も2.1%増加したことは、賃金上昇が労働者の購買力向上に寄与していることを示している。特に、基本給の増加が賃金全体の上昇を牽引しており、正社員の基本給引き上げが顕著であることは企業の安定的な収益力を反映している。このような状況下での人事コンサルティングでは、賃金上昇を持続可能なものとするための施策が求められる。人事コンサルタントとしては、企業に対し、長期的な視点での賃金政策の設計や、社員のスキルアップとキャリア開発を支援するプログラムの導入を提案することが重要である。
(2018年7月6日発表)
3月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比2.1%増の28万4464円だった。
基本給にあたる所定内給与が1.3%増加、残業代など所定外給与は1.8%増加、ボーナスなど特別に支払われた給与は12.8%増加した。
物価変動の影響を除いた実質賃金は0.8%増となり4か月ぶりに増加に転じた。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が1.3%上昇したものの、名目賃金の伸びがそれを上回った。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.9%増の1121円だった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
実質賃金が前年同月比0.8%増となり、4か月ぶりに増加に転じたことは、企業の人事戦略において前向きな兆候である。基本給や残業代、ボーナスの増加は、労働者の努力に対する適切な報酬を示しており、特にボーナスの12.8%増加は企業業績の好調さを反映している。パートタイム労働者の時給も1.9%増加し、労働市場の需要が高まっていることがうかがえる。人事コンサルタントとしては、この賃金増加の基調を維持し、さらに強化するために、基本給のさらなる改善策とインセンティブ制度の強化を提案すべきである。また、物価上昇が続く中での実質賃金の維持は、労働者の生活の安定に直結するため、持続可能な賃金政策と柔軟な働き方の導入が重要である。人事コンサルティングのテーマとしては、総合的な賃金改善と労働環境の最適化を掲げ、企業の競争力向上と従業員の満足度向上を目指すべきである。
(2018年5月9日発表)
2月の実質賃金は前年同月に比べて0.5%減少し、3か月連続の減少となった。
現金給与総額は26万6466円、基本給を示す所定内給与は24万1532円で、前年同月比0.9%の増加となった。残業代を示す所定外給与は全労働者で1万9787円となり、前年同月比で1.0%増加した。
また、2017年度の冬のボーナスは38万654円となり、前年度を2.8%上回った。
2月は原油などの価格が上昇し、消費者物価指数が前年同月比で1.8%上昇したことから、名目賃金にあたる現金給与総額は1.3%増加したものの、実質賃金はマイナスとなった。名目賃金の伸びが力強さを欠き、物価の上昇に追いついていない現状が鮮明となった。今年も賃上げのシーズンとなり、人事コンサルティングの関与先でも検討が始まっているが、例年並みといったところか。
(2018年4月6日発表)
1月の実質賃金は前年同月比で0.9%減少した。減少は2か月連続で、半年ぶりの減少幅だった。物価上昇が実質でみた賃金を押し下げた。
1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万1640円となり、前年同月比0.7%増加した。名目賃金の内訳をみると、基本給を示す所定内給与は23万8811円で、前年同月比0.2%増加した。基本給を雇用形態別にみると、フルタイム労働者は0.5%増、パートタイム労働者の時間あたり給与は2.7%増と堅調だった。残業代を示す所定外給与は全労働者で1万9315円となり、前年同月と同水準だった。
1月はパートタイム労働者の比率が前年同月に比べて0.33ポイント増と大幅に増え、賃金全体に下押し圧力となった。
1月の実質賃金が前年同月比で0.9%減少し、物価上昇が賃金の実質的な購買力を押し下げた。名目賃金は増加したものの、パートタイム労働者の比率上昇が賃金全体に影響を与えている。人事コンサルタントとして、企業の賃金体系の再評価が必要である。特に、パートタイム労働者の増加が賃金水準に与える影響を考慮し、公正な給与体系の確立が求められる。また、基本給の増加傾向を継続させるための施策が重要である。
(2018年3月9日発表)
平成29年12月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月から0.5%減少した。
12月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.7%増の55万1222円となり5か月連続の増加となった。基本給にあたる所定内給与が0.6%増、残業代など所定外給与は0.9%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は0.7%増加した。
パートタイム労働者の時間給は前年同月比2.1%増の1117円だった。パートタイム労働者比率は0.04ポイント上昇して31.23%となった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
併せて発表された平成29年の実質賃金は前年比0.2%減となり2年ぶりに減少した。名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増となったものの、消費者物価指数が0.6%上昇した。
所定内給与は0.4%増、所定外給与は0.4%増、特別に支払われた給与は0.4%増だった。パートタイム労働者の時間給は2.4%増の1110円となり過去最高となった。
12月の賃金データは、名目賃金が5か月連続で増加しているものの、物価上昇を考慮した実質賃金は前年同月比で0.5%減少しており、実質的な購買力が低下している状況が明らかである。また、平成29年全体でも実質賃金が0.2%減少しており、2年ぶりにマイナスに転じたことは、企業や労働者にとっての課題を示している。名目賃金の増加は基本給、所定外給与、特別給与のいずれもわずかな伸びにとどまっており、インフレの影響を吸収できていないことが背景にある。人事コンサルタントとしては、企業が持続的な成長を実現するために、インフレに対応した賃金体系の強化とともに、従業員の生活水準を維持・向上させるための施策を提案する必要がある。また、パートタイム労働者の時間給が過去最高を記録していることを踏まえ、非正規雇用者への待遇改善を図り、労働市場全体の底上げを目指すことが重要である。
(2018年2月7日発表)
平成29年11月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月に比べて0.9%増の27万8173円となり、4か月連続で増加した。
内訳では、基本給などの所定内給与が前年同月比0.4%増、残業代など所定外給与は2.6%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.5%増と大きく増加した。
物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%増加した。
パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比1.5%増の1109円だった。パートタイム労働者比率は0.27ポイント低下の30.69%だった。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を示した。
消費者物価指数が0.7%上昇したものの、名目賃金の伸びがそれを上回り、平成28年12月以来11カ月ぶりに実質賃金がプラスとなった。今年の春闘で賃上げ3%が実現できるかどうかが本格的な賃金上昇の鍵となる。今春の賃上げ幅については当社の人事コンサルティングのクライアントからも最近問い合わせが増加してきている。
(2018年1月9日発表)
5月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月に比べて0.1%増加した。増加は5か月ぶりとなる。名目賃金は0.7%伸びたが、消費者物価指数が前年同月比0.5%上昇したため、上昇が抑えられた。
名目賃金にあたる現金給与総額は前年同月比0.7%増の27万241円だった。2か月連続の増加で、伸び率は昨年7月(1.2%増)以来10カ月ぶりの高水準だった。
内訳では、基本給にあたる所定内給与が0.9%増加し、2000年3月(0.9%増)以来17年2か月ぶりの大きな伸び率だった。残業代など所定外給与は0.7%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は1.6%減少した。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.0%増の1108円だった。パートタイム労働者比率は30.18%で、前年同月に比べて0.14ポイント低下した。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を示した。
相変わらず実質賃金の増加の勢いは鈍い。人手不足でパートタイム比率が低下し、給与の伸びの加速につながったと考えられる。パートタイム雇用でコスト削減を図ってきた企業が方針を変え、フルタイム雇用を積極化しているようだ。
(2017年7月7日発表)
4月の物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年同月と比べて横ばいとなり、2か月ぶりにマイナスから持ち直した。
1人当たりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万5321円となり、前年同月比で0.5%増加した。
名目賃金の内訳をみると、基本給を示す所定内給与が前年同月に比べて0.4%増加した。通勤手当や賞与を示す特別に支払われた給与は5.6%の大幅増だった。残業代を示す所定外給与は0.2%減だった。
正規社員を含むフルタイム労働者の増加が賃金増に寄与した。パートタイム労働者の比率は30.06%と前年同月に比べて0.23ポイント低下し、2005年12月以来11年4か月ぶりの低下幅になった。雇用形態別の賃金は、フルタイム労働者が前年同月比0.2%増だった。
企業が人手不足に対応するために正社員などフルタイムの雇用を増やしていることが、名目賃金の増加を下支えした。それにしても実質賃金はようやくマイナスを脱してイーブンとなったが、賃金の力強い伸びにはほど遠い状況が続いている。
(2017年6月6日発表)
3月の1人あたりの名目賃金にあたる現金給与総額は27万7512円となり、前年同月比で0.4%減少した。前年を下回ったのは10か月ぶりとなる。
名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年同月と比べて0.8%減少した。減少は2か月ぶりで、3月は消費者物価が上昇し、消費者の購買力につながる実質賃金を押し下げた。
名目賃金の内訳をみると、基本給を示す所定内給与が前年同月に比べて0.1%減少した。残業代にあたる所定外給与は1.7%減、通勤手当や賞与を示す特別に支払われた給与は3.6%減少した。
基本給を雇用形態別にみると、ほぼ正社員に相当する「フルタイム労働者」が0.1%減となり、2014年4月以来およそ3年ぶりにマイナスに転じた。
景気の回復に伴い、人手不足に悩む企業はパートタイム労働者の賃上げに動いており、パートの時間あたり賃金は2.1%増加した。
厚生労働省は3月の賃金について、昨年3月の実績がやや高かったため、その反動で前年割れになったとしている。
今年3月に政府がまとめた働き方改革の実行計画の会議で安倍晋三首相が産業界に賃上げを要請しているだけに、賃上げが広がりを欠けば景気の不安材料となる可能性がある。春季労使交渉で大手企業が表明したベアの広がりが焦点になる。
(2017年5月9日発表)
2月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で横ばいだった。名目賃金にあたる現金給与総額は26万2869円で前年同月比0.4%増となった。
名目賃金の内訳をみると、一時金を示す特別に支払われた給与が前年同月比で5.5%増加して賃金全体の増加に寄与した。基本給を示す所定内給与は0.2%増の23万9313円だった。
実質賃金は名目賃金から物価上昇分を除いた指標で、消費動向を左右する。
基本給を雇用形態別に見ると、フルタイム労働者の所定内給与は横ばいだった。フルタイムの基本給は2014年4月以来2年10か月ぶりに増加が止まった。
厚生労働省は賃金は基調として緩やかに増加していると分析しつつも、「先行きを注視する」とコメントした。
2月は消費者物価指数が前年同月比0.4%上昇したために実質賃金を名目より押し下げた。実質賃金の力強い回復がなければ、消費の拡大にはつながりにくく、デフレからの脱却にはほど遠い状況だ。同時に、賃金の伸びを左右するフルタイム労働者の基本給が伸び悩んでおり、賃金の増加は足踏みする可能性もあるため、今後の動向を注視する必要がある。
(2017年4月7日発表)
1月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べて横ばいだった。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数が前年同月比0.6%上昇したことにより、実質賃金を押し下げた。
厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」とした。
名目賃金にあたる現金給与総額は27万274円となり、前年同月比で0.5%増加した。名目賃金の内訳では、基本給を示す所定内給与は前年同月比0.8%増の23万8737円となり、残業代など所定外給与は1万9396円と0.2%増加した。所定内給与は16年10カ月ぶりの伸び率だった。
今回から月ベースでの発表が始まったパートタイム労働者の時間あたり給与は2.5%増の1111円で、統計をさかのぼれる1993年以降で最高になった。
今年の春季労使交渉で、ベースアップは組合側の要求が昨年並みにとどまるため、増加幅は前年並みの水準になる見通しだ。ただし、物価は原油相場の持ち直しでさらに上昇する見込みだ。実質賃金の力強い回復がなければ消費の拡大は見込めない。
(2017年3月9日発表)
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