毎月勤労統計(2019年)

厚生労働省が毎月発表している賃金、労働時間及び雇用の変動に関する雇用指標に人事コンサルタントの視点からコメントを付けて掲載しています。

2019年12月分

Summary

12月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で0.9%減少となり、3か月連続の減少となった。

名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は56万5779円となり、前年同月比で横ばいだった。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.4%増、残業代など所定外給与は2.6%減、ボーナスなど特別に支払われた給与は0.2%減だった。

パートタイム労働者の雇用環境は引き続き堅調だ。時間あたり給与は2.9%増の1180円だった。パートタイム労働者比率は0.30ポイント上昇の31.71%だった。

同時に発表された19年の実質賃金は前年比0.9%減と、2年ぶりに減少した。

Comment

人事コンサルタントとしては、基本給を中心とした賃金体系の見直しや、パートタイム労働者を含めた柔軟な報酬設計を行い、インセンティブ戦略の強化が必要となる。企業の生産性向上と従業員のモチベーション維持の両立を図るため、変化する労働環境に合わせた人事施策を導入することが求められる。

(2020年2月7日発表)

令和元年11月分

Summary

11月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.9%減少した。

名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.2%減の28万4652円だった。基本給にあたる所定内給与が同0.2%増だった。一方で残業代など所定外給与は1.9%減、ボーナスなど特別に支払われた給与は3.9%減だった。

パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比3.0%増の1176円だった。パートタイム労働者比率は0.31ポイント上昇し31.53%となった。

Comment

このような経営環境において、人事コンサルタントは、人事戦略の見直しと労働効率の最適化を図るために、重要な役割を果たさなくてはならない。組織内の柔軟な働き方の推進と労働者の生産性向上を支援するコンサルティングが求められる。

(2020年1月8日発表)

令和元年10月分

Summary

10月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%増加となり、2か月連続で増加した。

名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額がは、人手不足から賃金を上げて人材を確保しようとする動きがあり、27万3466円と0.5%増となった。

内訳では、基本給にあたる所定内給与が0.6%増で、残業代など所定外給与は横ばいだった。ボーナスなど特別に支払われた給与は4.4%の減少だった。

パートタイム労働者の時間あたり給与は2.8%増の1172円だった。パートタイム労働者比率は0.06ポイント低下の31.12%だった。

Comment

実質賃金のわずかな増加と名目賃金の上昇は、人手不足への対応として賃金を引き上げる企業の動きを反映している。特に基本給の増加は、持続可能な人材確保を目指す企業の意向が表れている。このような状況で、人事コンサルタントは、賃金戦略の最適化と従業員満足度の向上を目指すための人事コンサルティングを提供することが重要である。

(2019年12月6日発表)

令和元年9月分

Summary

9月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で0.6%増加した。プラスになるのは9か月ぶり。

名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額も0.8%増加の27万2937円だった。現金給与総額は3か月ぶりに前年同月比で増加に転じた。

内訳では基本給にあたる所定内給与が0.5%増加の24万5950円、残業代を示す所定外給与は横ばいの1万9087円だった。一時金など特別に支払われた給与は14.2%増加の7900円となり、大幅に増加した。

Comment

実質賃金が前年同月比0.6%増加し、名目賃金も0.8%増加したことは、経済の回復基調を示している。特に一時金の14.2%増加は、企業が利益配分に積極的であることを反映している。しかし、所定外給与の横ばいは残業規制の影響が続いていることを示唆している。人事コンサルタントとして、企業が従業員のモチベーションを維持しながら生産性を向上させるためには、基本給の持続的な引き上げと成果に基づく報酬制度の導入が重要である。

(2019年11月8日発表)

令和元年8月分

Summary

基本給や残業代などを合計した1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は前年同月比0.2%減の27万296円となり2か月連続で減少した。

内訳では、基本給にあたる所定内給与が0.3%増、残業代など所定外給与は0.9%増だった。一方、ボーナスなど特別に支払われた給与は11.4%減だった。

また、8月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.6%減少した。

パートタイム労働者の雇用環境は引き続き堅調だった。時間あたり給与は前年同月比3.4%増の1177円だった。パートタイム労働者比率は0.49ポイント上昇の31.39%となった。

Comment

実質賃金の減少と名目賃金のわずかな下降が示す通り、経済の変動に対応するための人事戦略の見直しが必要となる。人事コンサルタントは、企業に対して適切な報酬戦略を策定し、特にパートタイム労働者の増加に伴う人材管理の最適化を助言することが求められる。

(2019年10月7日発表)

令和元年7月分

Summary

7月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.9%減少となり、市場予想を上回る減少率となった。名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額が37万7334円と0.3%の減少となり、実質賃金を押し下げた。

基本給にあたる所定内給与が0.6%増加、残業代などの所定外給与も0.6%増加した。一方でボーナスなど特別に支払われた給与は2.2%減少した。

パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比2.4%増加して1162円だった。パートタイム労働者比率は0.08ポイント低下して30.82%となった。

Comment

消費者物価指数が堅調に推移した一方で、総実労働時間は0.7%減となるなどして名目賃金は前年同月比でマイナスに転じたことから、実質賃金はマイナスとなった。働き方改革の影響もあると考えられるが、依然として賃金の伸びが勢いを欠いていることが示された。人事コンサルタントの立場からすると何故に今、働き方改革なのか、それが本当に日本企業の生産性向上に繋がるのか、疑問は尽きない。

(2019年9月6日発表)

令和元年6月分

Summary

6月の実質賃金は0.5%減少となり、前年同月を6か月連続で下回った。

一方、名目賃金に当たる現金給与総額は45万1918円となり、前年同月を0.4%上回った。賞与月に当たり、「特別に支払われた給与」が18万5829円となり、前年同月を0.9%上回ったことが寄与した。

パートタイム労働者の時間当たり給与は 1,162 円(2.5%増)となった。

厚生労働省は、賃金動向について「基調として緩やかに増加している」との見方を維持した。

Comment

6月の実質賃金は前年比0.5%減少し、6か月連続で前年割れとなったが、現金給与総額は賞与の増加により0.4%上回った。パートタイム労働者の時間当たり給与も2.5%増加している。人事コンサルティングの視点からは実質賃金の持続的な向上に向けた戦略が必要である。企業は労働者のモチベーションを高めるための報酬体系やインセンティブ制度の再構築を図るべきである。

(2019年8月6日発表)

令和元年5月分

Summary

5月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額が前年同月比0.2%減の27万5597円となった。

内訳では、基本給にあたる所定内給与が0.6%減、残業代など所定外給与は0.8%増だった。ボーナスなど特別に支払われた給与は2.5%増だった。

物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.0%減少した。

パートタイム労働者の時間当たり給与は2.2%増の1160円だった。その一方で「5月の大型連休で平日が少なかったことからパートタイム労働者の労働時間が減った」(厚生労働省)ため、現金給与総額は2.2%減となった。パートタイム労働者比率は0.49ポイント上昇の30.92%だった。

Comment

名目賃金が前年同月比で0.2%減少し、実質賃金も1.0%減少したことは、物価上昇が労働者の購買力を圧迫していることを示している。人事コンサルティングにおいては、企業が労働者のモチベーションを維持し、労働生産性を向上させるための賃金体系の見直しや、柔軟な働き方の導入が求められる。人事コンサルタントは、企業に対し、労働市場の変動に対応した戦略的な人材管理を提案し、従業員の満足度向上と企業の競争力強化を図る施策を推進することが重要となる。

(2019年7月9日発表)

平成31年4月分

Summary

4月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.1%減少した。

名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額27万7261円の内訳を見ると、基本給にあたる所定内給与が前年同月比0.1%増、残業代など所定外給与は1.1%減、ボーナスなど特別に支払われた給与は3.2%減だった。

パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比1.9%増の1151円だった。パートタイム労働者比率は0.56ポイント上昇の30.95%となった。

厚生労働省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。

Comment

実質賃金が前年同月比で1.1%減少したことは、企業の人事戦略において慎重な対応が求められる。名目賃金が微増している一方で、残業代やボーナスが減少し、実質賃金が下がっている現状は、企業の生産性向上と従業員のモチベーション維持に課題があることを示している。人事コンサルタントとしては、基本給の引き上げを中心とした賃金改善策を提案するとともに、パートタイム労働者の比率が上昇している点を踏まえ、パートタイム労働者の賃金体系の整備やキャリアパスの明確化を進めるべきである。また、ボーナスの減少に対しては、業績連動型のインセンティブ制度の導入を検討することで、労働者の士気を高めることが求められる。人事コンサルティングのテーマとして、全従業員の生活水準向上と企業の競争力強化を目指し、持続可能な賃金政策と労働環境の最適化を図るべきである。

(2019年6月7日発表)

平成31年3月分

Summary

3月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比2.5%減少した。

名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.9%減の27万9922円だった。基本給にあたる所定内給与が0.9%減少し、残業代など所定外給与は3.1%減だった。ボーナスなど特別に支払われた給与は12.4%減少した。

パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比2.2%増の1148円だった。パートタイム労働者比率は0.77ポイント上昇の31.56%となった。

Comment

現金給与総額は前年同月比で1.9%減少し、特に所定外給与や特別給与の減少が目立つ。パートタイム労働者の給与減少と労働時間の短縮が顕著であり、これは労働者のモチベーションに影響を及ぼす可能性がある。人事コンサルタントとしては、賃金構造と労働時間管理の改善が必要であり、特にパートタイム労働者に対する公正な評価とキャリアパスの提供を検討すべきである。企業の持続可能な成長には、柔軟な人事戦略と従業員の多様なニーズへの対応が不可欠である。

(2019年5月10日発表)

平成31年2月分

Summary

2月の物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.1%減少した。

名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.8%減の26万4435円だった。基本給にあたる所定内給与が0.1%減、残業代など所定外給与は0.5%減だった。

パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比2.3%増の1155円だった。パートタイム労働者比率は0.56ポイント上昇の31.50%となった。

厚生労働省は賃金動向について、「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。

Comment

ボーナスなど特別に支払われた給与は34.2%減となり、統計不正の影響を受けて再集計ができている2012年までのデータでは、これまでで最大の下げ幅となった。このところ、景気の減速を裏付けるデータも出てきており、賃金の先行きは予断を許さない状況だ。そろそろ弊社の人事コンサルティングの関与先でも今年の賃上げが話題に上っているが、今年はどうなることやら。

(2019年4月5日発表)

平成31年1月分

Summary

1月の名目賃金にあたる1人当たり現金給与総額は、前年同月比1.2%増の27万7001円で、18か月連続のプラスだった。

基本給を示す所定内給与は0.6%増の24万3298円、賞与など特別に支払われた給与は12.7%増の1万4459円だった。

物価変動の影響を除いた実質賃金は、物価の伸びが鈍っていることから、前年同月比で1.1%増加した。

Comment

1月の賃金データは、名目賃金が18か月連続でプラスとなり、実質賃金も前年同月比で1.1%増加するなど、堅調な経済状況を反映している。特に、賞与など特別に支払われた給与が12.7%増加している点は、企業業績の改善や従業員への還元意識の高まりを示している。しかし、基本給の増加率が0.6%と緩やかであることは、持続的な賃金上昇には課題が残ることを示唆している。人事コンサルタントとしては、短期的な賞与支給だけでなく、基本給の引き上げを含む安定的な賃金構造の整備が求められる。また、物価変動に対応した柔軟な賃金調整メカニズムの導入を提案し、従業員の生活の安定と企業の長期的な成長を両立させる戦略を推進する必要がある。

(2019年3月8日発表)

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