人事制度(アパレル)
評価制度の未整備が原因で、社員の評価や処遇に対する不満が表面化し、離職者が増加していた状況を、透明性と公平性の高い人事制度の導入によって解決したアパレル企業(社員数400名)の成功事例をご紹介します。
依頼の背景と課題
このアパレル企業では、明確な賃金制度や評価制度、運用ルールが存在せず、幹部社員の昇給・昇格などの処遇は役員の裁量で決定され、一般社員の処遇も部長などの幹部社員の裁量に委ねられていました。
社員数が少ない頃はこの運用でも問題は顕在化していませんでしたが、組織拡大に伴い、自分の評価や処遇に対する不満から退職する社員が増加していました。特に優秀な社員の離職が目立ち、組織全体のパフォーマンス低下と将来的な成長の足かせになる懸念が高まっていました。
このような状況を打開するため、以下の課題解決を目指しました:
- 処遇の透明性と公平性の確保:明確な人事制度を導入し、評価と報酬のルールを明文化する。
- 幹部社員のマネジメント能力向上:評価者としてのスキルを底上げし、部下育成に繋げる。
- 社員のモチベーション向上と離職率低下:公正な評価と処遇により、社員のエンゲージメントを高める。
人事制度設計のポイント
グレードの再構築
- 役割と貢献度の明示化:職務やグレードごとに期待される役割・貢献レベルを明確に定義し、キャリアパスを可視化しました。
- 多様なキャリアパスの提供:ライン管理職コースに加えて、高度専門職コースを設定し、専門性を追求する社員の成長機会を拡大しました。
評価制度の導入
- 企業の価値観を反映したコアスキルの設定:企業の価値観を反映した行動を明確下し、コアスキルの評価設問とし設定しました。
- 職種別業務スキルの設定:デザイナー、パタンナー、MD(マーチャンダイザー)、営業、販売など多岐にわたる職務ごとに、成果に直結する行動特性を業務スキルとして具体的に設定しました。
- 360度評価の導入:上司だけでなく、同僚や部下からのフィードバックも評価に反映させ、公平性と納得感を高めました。
賃金制度の見直し
- 職種別賃金水準の設定:市場調査を基に、職種ごとの適正な賃金水準を設定し、外部競争力を強化しました。
- 賞与支給率のメリハリ強化:個人およびチームの業績に応じた賞与支給率を設定し、成果主義を推進しました。
- インセンティブ制度の導入:特別な成果や貢献に対して、追加の報酬を提供する仕組みを設けました。
反映ルールの透明化
- 評価結果の公正な反映:評価結果が賃金や賞与にどのように反映されるかを明確にし、全社員に公表しました。
- 評価プロセスの明示化:評価期間や方法、フィードバックのタイミングなど、評価に関する全てのプロセスを透明化しました。
- フィードバック面談の充実:評価結果のフィードバック面談を通じて、社員一人ひとりに対して改善点や期待を具体的に伝達するようにしました。
ガイダンス・研修の強化
- 全社員向け説明会の実施:新人事制度導入時に、全社員を対象とした説明会を複数回開催し、制度の目的や内容、運用方法について広く周知することに努めました。
- 考課者研修の実施:評価者となる幹部社員に対し、評価スキルやフィードバック方法を習得するための研修を実施しました。
- 少人数制マネジメント研修:幹部社員のマネジメント能力を底上げするため、実践的な研修プログラムを集中的に行いました。
- 継続的な教育プログラム:新人事制度の定着と継続的な改善を目的に、定期的な研修やフォローアップを実施しました。
コンサルティングの成果と効果
グレードやスキル評価の導入により、自分に期待される業績貢献や職務行動が明確になり、社員の自己成長意欲が高まりました。これにより、評価や処遇に対する不満が激減し、離職率は前年同期比で30%低下しました。特に優秀な人材の定着率が向上しました。
また、評価結果の賃金や賞与への反映ルールを明確かつダイナミックに設定・公表したことで、社員のモチベーションが向上し、生産性も改善しました。業績は導入前と比較して大幅に伸長し、企業全体の競争力が強化されました。
さらに、人事制度の導入と同時に実施した幹部社員のマネジメント能力向上研修が功を奏し、幹部社員が部下の指導・育成に積極的に取り組むようになりました。これにより、組織内のコミュニケーションが活性化し、チームワークが大幅に改善しました。
本事例は、透明性と公平性の高い人事制度の導入により、組織の活性化と業績向上を実現した成功例です。当社は、このような取り組みを通じて、企業の持続的な成長と社員の幸福を追求するお手伝いをしております。人事制度の見直しや組織改革をご検討の際は、ぜひ当社の人事コンサルティングをご利用ください。