人事制度(広告代理店)

チーム業績評価と賞与制度の導入、チームリーダーへの権限移譲、そしてマネジメント力の強化を同時に行い、業績向上と組織活性化を実現した広告代理店(社員数40名)の成功事例をご紹介します。

依頼の背景と課題

この広告代理店は、昨年まで順調に業績を伸ばしていましたが、ここ半年ほど営業成績が伸び悩み、営業部全体の士気も低下していました。営業部の空気も重く、以前の活気や勢いが感じられない状況でした。

営業職の賃金体系は、社員のやる気を刺激するために歩合給の割合を高く設定していました。歩合給は個人の毎月の営業成績により決定されていましたが、それ以外には特に評価制度と言えるものがなく、社員間の競争が激化し、チームワークが希薄になるという課題が浮上していました。

個人プレーが中心となり、情報共有やチーム全体での戦略的な営業活動が不足していたため、組織としての一体感が失われつつありました。また、営業部のマネジメント力の不足も影響し、若手社員の育成やメンタリングが十分に行われていない状況でした。

経営陣は、人事制度を一新し、営業部の雰囲気を改善して営業成績を回復させ、継続的な業績向上が期待できる体制を整備したいと考えていました。そのため、以下の課題解決が必要とされました:

  • チームワークの強化:個人主義から脱却し、チーム全体で目標達成を目指す文化を醸成する。
  • マネジメント力の向上:チームリーダーの育成と権限移譲により、組織全体のマネジメント力を底上げする。
  • 評価制度の整備:公正で納得感のある評価制度を導入し、社員のモチベーションを向上させる。
  • 賃金制度の見直し:業績に応じた報酬制度を再構築し、持続的な成長を支える仕組みを構築する。

人事制度設計のポイント

グレード制度の再構築

  • 役割・貢献度の明確化:各グレードに期待される役割や貢献度を、現場の業務内容に即して具体的に定義しました。これにより、社員一人ひとりが自身のキャリアパスを明確に描けるようになりました。
  • 複線型キャリアパスの設定:ライン管理職コースと専門職コースを設定し、マネジメント志向の社員だけでなく、専門スキルを追求したい社員の成長も支援できる体制を構築しました。

評価制度の導入

  • スキル評価の導入:人材育成の観点から、営業マンの行動指標として活用可能な当社の行動特性評価「スキル評価」を導入しました。成果に結び付く行動を評価することにより、社員の成長を促進しました。
  • 個人およびチーム業績評価の導入:個人の営業成績だけでなく、チーム全体の業績も評価対象としました。これにより、チームワークの重要性が高まり、組織全体のパフォーマンス向上につながりました。
  • 360度評価の活用:上司だけでなく、同僚や部下からのフィードバックも評価に反映させ、公平性と納得感を高めました。

賃金制度の見直し

  • 歩合給の割合の調整:月給に占める歩合給の割合を引き下げ、固定給部分を増やすことで、安定した収入基盤を提供しました。これにより、短期的な成果だけでなく、長期的な成長を重視する風土を醸成しました。
  • 賞与制度の導入:個人およびチームの業績を反映した四半期ごとの賞与制度を導入しました。これにより、達成度に応じた報酬をタイムリーに提供し、モチベーションを維持・向上させました。
  • 市場競争力のある賃金設定:業界平均や最新の労働市場動向を考慮し、賃金水準を適正化しました。これにより、人材の流出防止と優秀な人材の採用につなげました。

反映ルールの透明化

  • 評価結果の賃金・賞与への反映:評価結果がどのように賃金や賞与に影響するかのルールを明確にし、全社員に公表しました。これにより、評価プロセスの透明性を高め、社員の納得感を向上させました。
  • フィードバックの充実:評価結果のフィードバック面談を実施し、社員が自身の強みや改善点を把握できるようにしました。これにより、社員の自己成長を促進しました。

マネジメント研修の実施

  • リーダーシップ強化研修:チームリーダーへの大幅な権限移譲に伴い、リーダーシップとマネジメント力を強化するための研修プログラムを実施しました。内容は、目標設定、進捗管理、メンバー育成、コミュニケーションスキルなど多岐にわたります。
  • 継続的なサポート体制:研修後もフォローアップを行い、チームリーダー同士の情報共有や問題解決を支援する場を設けました。
成長を加速する人事制度設計コンサルティング

コンサルティングの成果と効果

チーム業績を評価対象としたことで、チームリーダーは自らの役割と責任を再認識し、マネジメント力の強化に積極的に取り組むようになりました。継続的なマネジメント研修と権限移譲により、マネジメントスキルが向上しました。

その結果、チーム内のコミュニケーションが活発化し、メンバー間の協力体制が強化されました。営業部全体の士気が高まり、営業成績は着実に回復し、業績向上が見られました。

また、人材育成志向を明確にしたことで、社員のモチベーションが向上し、離職率も低下しました。社員満足度調査では、職場環境や評価制度に対する満足度が上昇しました。

総合的に見て、人事制度の刷新は組織全体のパフォーマンス向上と持続的な成長基盤の構築に大きく寄与しました。

本事例は、人事制度の全面的な改革によって、組織全体の活性化と業績向上を実現した成功例です。当社は、これまでの経験と最新の知見を活かし、貴社の課題に合わせた最適な人事コンサルティングを提供いたします。組織の持続的な成長と社員の幸せを追求するパートナーとして、ぜひご相談ください。