人事制度(専門商社)

年功序列色の強い人事制度により若年層の活力が低下していた状況を、新たなコースや実力基準の導入、運用ルールの柔軟性を高めることで解決した専門商社(社員数300名)の成功事例をご紹介します。

依頼の背景と課題

この専門商社では、長年の慣習により年功序列色の濃い人事制度が運用されていました。組織としての形式は整っており、安定しているように見えましたが、活気が感じられず、特に現場の若年層のモチベーションが低下していました。

マネジメントクラスはシニア層が占めて固定化されており、若年層にはチャンスやチャレンジの機会がほとんどありませんでした。その結果、優秀な若手社員の離職リスクが高まり、組織全体の活力が低下していました。会社の業績を考えると、早急に実力や成果に見合った処遇を実現させ、活力ある会社に変革する必要がありました。

これらの課題を解決するため、以下のポイントに焦点を当てた人事制度の見直しが求められました:

  • 実力主義の導入:年功序列を排除し、成果や能力に応じて正当に評価される仕組みを構築する。
  • キャリアパスの多様化:若手社員がチャレンジできる環境を整備し、モチベーションを向上させる。
  • 評価制度の透明化:評価基準やプロセスを明確にし、納得感のある制度を導入する。
  • 人材活用の柔軟性向上:社員の適性や志向に応じて多様なキャリアの選択肢を提供する。

人事制度設計のポイント

グレードの見直し

  • 複線型キャリアパスの設定:グレード設定を複線型とし、ライン管理職コースの他に、部下を持たない専門職コースを新設しました。これにより、マネジメント志向の社員だけでなく、専門スキルを深めたい社員もキャリアアップできる道を提供しました。
  • 昇進・昇格基準の明確化:各グレードに求められる役割やスキル、成果を具体的に定義し、社員が目指すべき目標を明確にしました。

評価制度の見直し

  • 成果主義に基づく評価項目の設定:職務ごとに、成果に直結する行動特性をスキル評価の業務スキルとして具体的に設定しました。これにより、社員の業務パフォーマンスを適切に評価できるようになりました。
  • 目標管理(MBO)の導入:業績評価に目標管理を導入し、社員自身が目標を設定し、その達成度を評価する仕組みを整えました。
  • 評価プロセスの透明化:評価基準や方法を全社員に公開し、評価結果のフィードバックを徹底することで、納得感を高めました。
  • 360度評価の検討:上司だけでなく、同僚や部下からのフィードバックも取り入れることで、評価の公平性と客観性を向上させました。

賃金制度の見直し

  • 年功的要素の排除と実力基準への変更:賃金の年功的要素を排除し、能力や成果に基づく実力基準の賃金制度に変更しました。
  • 業績連動型賞与の導入:会社の業績と個人の成果に応じて変動する業績連動型賞与を導入し、社員のモチベーション向上を図りました。
  • 賃金テーブルの透明化:賃金決定の基準やテーブルを明確にし、社員に公開することで、公平性を確保しました。

反映ルールの明確化と柔軟性の向上

  • 評価結果に基づく降給・降格の可能性:評価結果によっては降給や降格もあり得るルールを設定し、公表しました。これにより、社員の緊張感を高め、常に高いパフォーマンスを維持する意識を促しました。
  • キャリア選択の幅の拡大:管理職以上を複線型としたことで、マネジメントを望まない技術系社員やマネジメントに向かない社員が専門職として活躍できる道を提供しました。
  • 人材配置の柔軟性向上:社員の適性や希望に応じて、最適なポジションに配置することで、組織全体のパフォーマンスを最大化しました。
成長を加速する人事制度設計コンサルティング

コンサルティングの成果と効果

人事評価を可視化し、納得性の高い成果主義に移行したことにより、若手社員のモチベーションが全体的に向上しました。自身の努力や成果が正当に評価されることで、仕事への意欲が高まり、生産性の向上にもつながりました。

また、評価結果によっては降給の可能性がある人事制度に移行したことで、現行の管理職層の危機意識が高まり、組織に緊張感が戻りました。これにより、管理職自身も自己研鑽に努め、組織全体のパフォーマンスが向上しました。

さらに、管理職以上を複線型としたことで、もともと部下のマネジメントを望まない職人気質の技術系社員や、マネジメントに向かない社員が専門職として活躍できる道が開かれました。これにより、会社および社員の選択の幅が広がり、人材活用の最適化が実現しました。

総合的に見て、人事制度の改革により、組織の活力が回復し、社員のエンゲージメントが向上しました。これが業績の向上や組織の持続的な成長につながっています。

本事例は、年功序列色の強い人事制度を見直し、実力主義の導入やキャリアパスの多様化、評価制度の透明化などを行うことで、若年層の活力を引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させた成功例です。当社は、企業の課題やニーズに合わせて最適な人事制度の構築をサポートいたします。組織の持続的な成長と社員の幸福を両立させるパートナーとして、ぜひご相談ください。