人事制度(モバイルコンテンツ)

業績の急伸に伴い人事面で課題を抱えていたベンチャー企業に対し、成長期のベンチャー企業に相応しい人事制度を導入し、課題を解決したモバイルコンテンツ制作会社(社員数30名)の成功事例をご紹介します。

依頼の背景と課題

このモバイルコンテンツ制作会社は、業績の急激な伸びに伴い、中途採用を中心に積極的な採用活動を行い、社員数が1年前に比べて3倍に増加しました。しかしながら、人事制度が目標管理が導入されている以外はほとんど整備されていない状況にあり、以下のような課題が浮上していました。

  • 処遇の不公平感:中途採用者が増えた結果、同じ職位にありながら賃金に大きな差が生じており、社員間での不公平感や不満が高まっていました。
  • 組織の一体感の欠如:急激な人員増加により、組織としてのまとまりや一体感が希薄になり、企業文化の浸透やコミュニケーション不足が懸念されていました。
  • 人材定着率の低下:人事制度の未整備により、社員のキャリアパスや評価基準が不明確であり、モチベーションの低下や離職率の増加につながるリスクがありました。
  • IPO(株式公開)に向けた体制整備の必要性:近い将来の株式公開を視野に入れており、ガバナンス強化や法令遵守、人事制度の整備が急務となっていました。

これらの課題を解決し、今後も成長を加速させながら、企業としてのまとまりを保持し、株式公開を実現するために、成長期のベンチャー企業に相応しい人事制度の早急な導入が必要とされていました。

人事制度設計のポイント

グレードの導入

  • フラットなグレードの設定:組織の階層をシンプルにし、意思決定のスピードを高めるために、フラットなグレードを設定しました。これにより、社員一人ひとりが主体的に行動しやすい環境を整備しました。
  • 複線型キャリアパスの設定:ライン管理職コースに加えて、高度専門職コースを設定し、専門スキルを持つ社員がマネジメント以外の道でキャリアアップできるようにしました。これにより、デザイナーやプログラマーなどの専門職の成長機会を拡大しました。
  • グレード要件の明確化:各グレードに求められる役割やスキルを具体的に定義し、社員が自身のキャリアパスを明確に描けるようにしました。

スキル評価の導入

  • 企業の価値観を反映したコアスキルの設定:企業の価値観を色濃く反映したコアスキルを設定し、社員が日常業務の中でそれらを実践できるようにしました。これにより、組織の一体感と企業文化の浸透を促進しました。
  • 職種別業務スキルの具体化:デザイナー、プログラマーなど多岐にわたる職種ごとに、成果に直結する行動特性を業務スキルとして具体的に設定しました。これにより、社員は自身の職務における強みや改善点を明確に把握できるようになりました。

賃金制度の見直し

  • ブロードバンド賃金制度の導入:中途採用者の賃金が前職の賃金をベースに設定されていたため、同じ役職でも賃金に大きなばらつきがありました。そこで、賃金をブロードバンドで括り、一定の範囲内で柔軟に賃金を設定するルールを導入しました。これにより、賃金のばらつきを収斂させ、公正な賃金体系を構築しました。
  • IPOに向けたコンプライアンス対応:株式公開を見据えて、時間外勤務の管理や労働法令の遵守など、労務管理上の課題を解決しました。労働時間の適正な管理や残業代の適切な支払いを徹底し、ガバナンスを強化しました。
  • 業績連動型賞与の導入:会社の業績や個人の成果に応じて変動する賞与制度を導入し、社員のモチベーション向上を図りました。

反映ルールとガイダンスの整備

  • 評価結果の賃金への反映ルールの明確化:評価結果がどのように賃金や賞与に反映されるかのルールをダイナミックに設定し、全社員に公表しました。これにより、評価プロセスの透明性を高め、社員の納得感を向上させました。
  • 社員への徹底的な説明と理解促進:新人事制度導入時に、全社員を対象に複数回の説明会を実施し、制度の目的や内容、運用方法について理解を深めてもらいました。また、マニュアルやFAQを作成し、いつでも参照できるようにしました。
  • 評価者研修の実施:評価者となる管理職に対し、適切な評価方法やフィードバックスキルを習得するための研修を行い、評価の質を向上させました。
成長を加速する人事制度設計コンサルティング

コンサルティングの成果と効果

人事制度の導入により、急成長や人員の急増による社員の不安・不満・ストレスが終息しました。具体的には以下の成果が得られました。

  • 社員の納得性とエンゲージメントの向上:スキル評価や目標管理により、自分に期待される役割や職務行動が明確になったことで、社員の納得性が向上しました。これにより、社員のエンゲージメントが高まり、組織の一体感が強化されました。
  • モチベーションと生産性の向上:評価結果の賃金への反映ルールをダイナミックに設定したことで、努力が報われる仕組みが構築され、社員のモチベーションが向上しました。その結果、業務効率や生産性の向上につながりました。
  • ガバナンスの強化とIPO準備の促進:時間外勤務の管理や労働法令の遵守など、労務管理上の課題を解決したことで、ガバナンスが強化されました。これにより、IPOに向けた体制整備が進み、外部からの信頼性が向上しました。
  • 社員の帰属意識と安心感の向上:現在の価値だけでなく、将来の成長やキャリアパスも考慮した人事制度となったため、社員の帰属意識や安心感が高まり、優秀な人材の定着につながりました。
  • 組織文化の浸透と一体感の醸成:企業の価値観を反映したコアスキルの設定や徹底的な社員への説明により、企業文化の浸透が進み、組織の一体感が醸成されました。

本事例は、急成長するベンチャー企業が人事制度を整備することで、組織の課題を解決し、持続的な成長を実現した成功例です。当社は、これまでの豊富な経験と最新の知見を活かし、貴社の状況やニーズに合わせた最適な人事コンサルティングを提供いたします。企業の成長と社員の幸福を両立するパートナーとして、ぜひご相談ください。