人事制度(情報サービス)
個々の社員が協働して組織全体として機能する「組織力」のある会社を目指し、スキル評価や部門業績評価の導入、管理職のマネジメント力強化を通じて課題を解決した情報サービス企業(社員数150名)の成功事例をご紹介します。
依頼の背景と課題
この情報サービス企業では、現状、業務遂行や組織運営が個々の社員の属人的なスキルや考え方に依存していました。小集団単位ではそれなりに安定していたものの、組織全体としての統制が取れておらず、新しいことへのチャレンジや危機管理に対して弱い部分が露呈していました。
例えば、プロジェクトの進捗状況や課題が部門間で共有されず、情報の滞留や重複作業が発生していました。また、個々の社員が自分の役割や目標を明確に理解していないため、戦略の実行段階で齟齬が生じるケースもありました。これにより、業務効率の低下や顧客満足度の低下といった問題が発生していました。
経営陣は、情報伝達から戦略実行まで、個々の社員が各自の役割を認識し、自分の強みを最大限に活かしながら、組織全体として機能する「組織力」のある会社に変革したいと考えていました。そのためには、以下の課題解決が必要でした:
- 組織的な統制と協働体制の構築:個人プレーから脱却し、チームワークを重視した組織風土を醸成する。
- 人材育成と評価制度の見直し:社員のスキルや貢献度を適切に評価し、成長を促進する仕組みを導入する。
- 管理職のマネジメント力強化:リーダーシップを発揮し、部下の指導・育成や組織の統制を図る能力を向上させる。
- 賃金制度の整備:公正で納得感のある賃金体系を構築し、社員のモチベーションを高める。
人事制度設計のポイント
グレードの再構築
- 複線型キャリアパスの設定:グレード設定を複線型とし、ライン管理職コースの他に、部下を持たない専門職コースを新設しました。これにより、マネジメント志向の社員だけでなく、専門スキルを深めたい社員もキャリアアップできる道を提供しました。
- グレード要件の明確化:各グレードに求められる役割やスキルを具体的に定義し、社員が自分のキャリアパスを明確に描けるようにしました。
評価制度の見直し
- スキル評価の設計:職務・グレード毎に求められる職務行動と現状のギャップを明確化するために、現場レベルで最も必要な行動を具体的にスキル評価の設問に設定しました。これにより、社員は自分がどのスキルを伸ばすべきか明確に理解できるようになりました。
- 「3シップス」の具体化:メンバーシップ、リーダーシップ、フォロワーシップの「3シップス」や協働意識、コミュニケーション能力を職務行動として具体化し、スキル評価の設問に取り入れました。これにより、組織全体での協働やチームワークの強化を図りました。
- 部門業績評価の導入:目標管理ベースの個人業績に加えて、部門の業績指標を設定し、部門業績評価を導入しました。これにより、部門全体での目標達成に向けた一体感を醸成しました。
- 360度評価の検討:上司だけでなく、同僚や部下からのフィードバックも評価に反映させることで、評価の公平性と納得感を高める取り組みも検討しました。
賃金制度の見直し
- 賃金体系のシンプル化:属人的な各種手当を整理・統合し、シンプルで分かりやすい賃金体系に改定しました。これにより、給与計算の効率化と社員の納得感を向上させました。
- 成果主義の導入:評価結果が賃金に反映される仕組みを明確化し、社員のモチベーションを高めました。
マネジメント研修の実施
- 管理職向け研修の強化:新人事制度導入時に、管理職者に対して考課者研修と合わせて少人数制のマネジメント研修を集中的に実施しました。内容は、リーダーシップ、コミュニケーション、部下育成、問題解決力など多岐にわたります。
- 継続的なフォローアップ:研修後も定期的にフォローアップを行い、管理職者同士の情報共有や課題解決を支援しました。
コンサルティングの成果と効果
新しい人事制度の導入により、組織全体の統制が強化され、情報伝達や支援が迅速かつ組織的に行われるようになりました。これにより、業務効率が向上し、現場のストレスも軽減されました。
具体的には、プロジェクトの進捗状況や課題が部門間でスムーズに共有され、重複作業の削減やリソースの最適化が実現しました。また、リスク管理においても、問題発生時の対応が迅速化し、顧客への影響を最小限に抑えることができました。
さらに、スキル評価を行動目標として活用したことで、社員一人ひとりが自分の成長課題を明確に認識し、積極的にスキルアップに取り組むようになりました。その結果、「コスト削減」「業務プロセスの改善」「新規サービスの提案」など、具体的な成果につながりました。
管理職のマネジメント力強化も功を奏し、部下の育成やチームビルディングが進みました。これにより、社員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下にも寄与しました。
本事例は、個人プレーから組織全体で協働する「組織力」のある会社へと変革するために、人事制度の全面的な見直しと組織文化の改革を行い、成功を収めたものです。当社は、これまでの豊富な経験と最新の知見を活かし、貴社の課題に合わせた最適な人事コンサルティングを提供いたします。組織の持続的な成長と社員の幸福を追求するパートナーとして、ぜひご相談ください。