業務特性に応じて業績評価方法を選択・組み合わせる
業績評価制度は、すべての社員に同じ方法を適用するのではなく、職種や役割、成果の生み出し方に応じて設計することが重要です。
一定期間内に実現すべき成果を明確に設定できる業務には、目標管理を活用した目標達成度評価が適しています。
一方、日常業務の安定的な遂行、突発的な課題への対応、チームやプロジェクトでの貢献などは、期初に設定した個人目標だけでは十分に捉えられない場合があります。
当社では、目標達成度評価、役割達成度評価、成果申告、プロジェクト評価などを、企業の事業特性や職種構成に応じて選択・組み合わせます。数値成果だけでなく、期待役割の遂行、業務改善、プロジェクトへの貢献なども含めて、社員の成果と貢献を適切に評価できる仕組みを設計します。
業績評価で捉える成果と貢献
業績評価というと、売上や利益、目標達成率などの数値成果を評価する仕組みと捉えられがちです。しかし、社員が企業へもたらす成果や貢献は、数値だけで表せるものに限られません。
業績評価制度では、職種や役割に応じて、次のような成果と貢献を評価対象として整理します。
- 期初に設定した目標の達成度
- 等級や職務に応じて期待される役割の達成度
- 評価期間中に生み出した成果や業務改善
- プロジェクトにおける成果と担当役割への貢献
- 定常業務の品質、正確性、効率性、安定性
- チームや組織全体への貢献
何を業績として捉えるかを明確にし、それぞれの業務に合った評価方法を設定することで、評価の納得性と実効性を高めることができます。
4つの業績評価方法
目標管理・目標達成度評価
目標管理・目標達成度評価は、評価期間内に実現すべき成果や改善課題を設定し、その達成状況を評価する方法です。本人に一定の裁量があり、成果や期限を明確にできる業務に適しています。
会社目標を部門やチームの目標へ展開し、その内容を踏まえて個人目標を設定することで、会社目標、部門目標、個人目標のつながりを明確にできます。
ただし、上位目標をそのまま細分化するだけではなく、各社員の役割、裁量、専門性、強みなどを踏まえて目標を設定することが重要です。
役割達成度評価
役割達成度評価は、等級、職務、担当業務などに応じて期待される役割や責任を明確にし、その達成状況を評価する方法です。
期ごとに個人目標を設定することが難しい業務でも、期待される役割、担当業務の遂行、品質、改善、周囲への支援などを確認することで、社員の貢献を評価できます。
定常業務や支援業務、チームで成果を生み出す業務などに適しており、目標達成度評価と組み合わせて活用することも可能です。
成果申告
成果申告は、社員が評価期間中に生み出した成果、改善、課題対応、組織への貢献などを自ら整理し、会社へ申告する業績評価方法です。当社では、従来「自己PR型業績評価」として提供してきました。
事業環境の変化が大きい業務や、突発的な課題への対応が多い業務では、期初に設定した目標だけでは、実際に生み出した成果を十分に捉えられないことがあります。成果申告を取り入れることで、当初の目標には含まれていなかった成果や、周囲から見えにくい貢献も評価対象にできます。
成果申告の特徴
- 期初には予測できなかった成果や貢献を評価へ反映できる
- 社員が自らの成果や仕事の価値を振り返る機会になる
- 成果や貢献を整理し、相手へ分かりやすく伝える力を高められる
- 目標達成度評価、役割達成度評価、行動評価などと組み合わせられる
プロジェクト評価
プロジェクト評価は、社員が関与した個々のプロジェクトを評価単位として、成果や担当役割の遂行状況、プロジェクトへの貢献を確認する方法です。複数のプロジェクトに参加するITエンジニア、クリエイター、専門職などの業績評価に適しています。
プロジェクトの成果だけでなく、担当業務の品質、進行への貢献、問題解決、コミュニケーション、チームワークなどを評価することで、期末時点の印象だけに左右されにくい具体的な評価が可能になります。
評価項目は、投入した工数や担当範囲などのインプット、業務遂行や連携などのプロセス、成果物の品質や完成度などのアウトプットを基本に、プロジェクトの特性に応じて設定します。
プロジェクト評価の特徴
- プロジェクトごとの成果や貢献を具体的に確認できる
- 成果だけでなく、遂行過程やチームへの貢献も評価できる
- プロジェクトの節目や終了時に、記憶が新しいうちに評価できる
- 複数のプロジェクト評価を集約し、評価期間全体の業績評価へ反映できる
業務・役割に応じた業績評価方法の組み合わせ
一つの評価方法だけですべての成果や貢献を捉える必要はありません。業務特性や役割に応じて、中心となる評価方法と、それを補完する評価方法を組み合わせます。
| 業務・役割 | 中心となる評価方法 | 補完する評価方法 |
|---|---|---|
| 営業職 | 目標達成度評価 | 役割達成度・重点活動・顧客貢献 |
| 企画・開発職 | 目標達成度評価または成果申告 | 役割達成度・プロジェクト評価 |
| 管理・支援職 | 役割達成度評価 | 成果申告・業務改善実績 |
| ITエンジニア・クリエイター | プロジェクト評価 | 成果申告・役割達成度 |
| 管理職 | 部門目標達成度 | 組織運営・人材育成の役割達成度 |
※実際の評価構成は、企業の事業特性、職種構成、役割分担などに応じて設定します。
目標管理が適する業務を見極める
目標管理は、本人に一定の裁量があり、評価期間内に実現すべき成果や改善課題を明確にできる業務に適しています。
目標管理を活用しやすい業務
- 売上、利益、受注件数などの成果責任を持つ営業業務
- 新商品、新サービス、事業開発などを担う企画・開発業務
- 一定期間内の課題解決や成果創出を担う専門業務
- 改善や変革など、期間内に実現すべき成果を明確にできる業務
- 部門やチームの成果に責任を持つ管理職の業務
目標管理だけでは評価しにくい業務
- 日常業務を正確かつ安定的に遂行することが重視される業務
- 総務、人事、経理など、社内の活動を支える業務
- 複数の社員が協働して成果を生み出す業務
- 突発的な依頼や状況対応が多く、期初に成果を定めにくい業務
- 個人目標の達成よりも、期待役割を着実に果たすことが重視される業務
このような業務に無理に個人目標を設定すると、目標が形式的になったり、本来重視すべき業務が評価されにくくなったりすることがあります。目標管理の適用範囲を見極め、役割達成度評価や成果申告などを組み合わせることが重要です。
目標管理を有効に機能させるための設計ポイント
- 目標を一方的に割り当てない
- 目標管理がノルマ管理に陥ると、社員の納得感や主体性が低下しやすくなります。管理者が部門の方針や重点課題を明確にしたうえで、目標設定面談を通じて本人と話し合い、期待する成果や取り組み方について認識を合わせます。
- 成果と達成基準を明確にする
- 数値化できる目標については、目標値や期限を明確にします。数値だけでは評価しにくい目標については、期待する成果物、実現する状態、完了条件などを具体的に設定します。
- 目標の難易度をそろえる
- 同じ等級や役割でありながら目標の難易度に大きな差があると、評価の公平性が損なわれます。通常期待される成果なのか、一定の挑戦を伴う成果なのかを確認し、等級や役割に応じた目標水準のガイドラインを設けます。
- 目標達成までのプロセスを確認する
- 目標だけでなく、何に取り組むのか、どのような手順で進めるのか、どの時点で進捗を確認するのかを整理します。必要な支援や他部門との連携も確認しておくことで、実行可能性を高めます。
- シンプルに運用できるようにする
- 目標項目や入力欄が多すぎると、目標設定やレビューそのものが負担となり、制度が形骸化しやすくなります。重要な目標に絞り、評価シートや確認手順を簡潔に設計します。
- 期中に進捗と目標を見直す
- 事業環境や業務内容が変化した場合、期初に設定した目標をそのまま維持することが適切とは限りません。定期的に進捗を確認し、前提条件が変わった場合には、目標や達成基準を必要に応じて見直します。
社員の強みを活かしたストレッチ目標
目標管理は、現在の業務を遂行するためだけではなく、社員の成長を促す仕組みとしても活用できます。そのためには、本人の強みや専門性を踏まえ、現在の能力や業務水準を少し超えるストレッチ目標を設定することが有効です。
ストレッチ目標とは、容易には達成できないものの、適切な努力や工夫、周囲からの支援によって達成可能な挑戦的目標です。社員が自身の強みを活かして取り組むことで、新しい能力の獲得や責任範囲の拡大につなげることができます。
ただし、達成方法が見えないほど高い目標や、本人の裁量を超えた目標は、意欲の低下を招く可能性があります。目標の難易度だけでなく、本人が活用できる強み、必要な支援、途中での進捗確認を含めて設計することが重要です。
既存の業績評価制度を見直します
業績評価制度は、導入時には有効に機能していても、事業環境、組織体制、職種構成、社員の役割などが変化することで、制度と実際の業務にずれが生じることがあります。
当社のコンサルティングでは、評価シート、評価基準、運用ルール、実際の評価事例などを確認し、制度と運用の両面から課題を整理します。そのうえで、業務特性に応じた評価方法の選択、評価基準、評価シート、面談方法などを見直します。
業績評価制度の課題例
- 全職種に一律の目標管理を適用している
- 目標を設定しにくい職種で、形式的な目標が作られている
- 会社目標や部門目標と個人目標がつながっていない
- 目標が抽象的で、達成基準が明確になっていない
- 目標の難易度にばらつきがある
- 日常業務や期待役割の遂行が評価へ十分に反映されていない
- 期初には想定できなかった成果や貢献が評価されていない
- プロジェクトでの成果や貢献が期末評価へ反映されていない
- 期中の進捗確認や評価のフィードバックが十分に行われていない
- 業績評価が形骸化し、運用負担が大きくなっている
コンサルティングの進め方(例)
- 評価シート、評価基準、運用ルールの確認
- 経営者、管理者、社員へのヒアリング
- 職種・役割ごとの業務特性と成果の生み出し方の整理
- 制度・運用上の問題点と課題の明確化
- 業績評価方法と評価構成の設計
- 評価基準、評価シート、運用ルールの作成・見直し
- 管理者への説明、導入・運用定着の支援
※実際の支援内容や進め方は、課題やご要望に応じて異なります。
モアコンサルティンググループでは、破壊的変化の中で成長を志向する企業に向けて、 未来志向の人事コンサルティングを提供しています。
人事評価制度の設計全般については人事評価制度コンサルティングを、 評価制度を含む人事制度全体の設計については人事制度コンサルティングをご覧ください。