人事制度(ゲーム制作会社)

職務特性や業務遂行形態に合ったスキル評価やプロジェクト評価を導入し、社員の評価に対する信頼性と納得性を高めたゲーム制作会社(社員数70名)の成功事例をご紹介します。

依頼の背景と課題

このゲーム制作会社では、プランナー、グラフィックデザイナー、プログラマー、サウンドクリエイターなど、多岐にわたる職種の社員がプロジェクトチームを組んでゲームを制作しています。

現状では、昇給・昇格のための能力評価と、賞与を査定するための業績評価を実施していました。しかし、能力評価は職種や管理職・非管理職を問わず、共通の簡易な評価項目を使用しており、各職種の実態に合わないため、社員から不満の声が上がっていました。評価者も評価項目ごとの評価を行わず、A、B、Cの三段階で総合評価を行う形式が実態となっていました。

業績評価に関しても、簡単な自己申告制であり、評価基準が明確でないため、ヒットしたゲームの制作に携わった社員は高評価となる一方、それ以外の社員にはほとんど差がつかない状況でした。

また、ラインの管理職以外のキャリアパスがないため、高度な専門スキルを持っていてもマネジメントに不向きと評価された社員は、肩書きがつかずモチベーションが低下するケースも発生していました。さらに、賃金も評価結果に関わらず全員が毎年昇給しており、会社の業績が今後も上昇し続ける保証がない中で、持続可能な賃金制度への見直しが必要となっていました。

以上の課題を解決するため、以下のポイントに焦点を当てた人事制度の再構築を目指しました:

  • 職種特性に合致した評価制度の導入:各職種の特性や業務内容に合わせた能力評価と業績評価を構築し、社員の納得感を高める。
  • 多様なキャリアパスの提供:高度専門職のコースを設け、専門スキルを持つ社員のキャリアアップを支援する。
  • 持続可能な賃金制度の構築:会社の業績や個人の評価結果に応じて賃金が変動する仕組みを導入する。

人事制度設計のポイント

グレード制度の再構築

  • 複線型キャリアパスの設定:ラインの管理職以外に、高度専門職のコースを設定し、マネジメント以外の道でキャリアアップが可能な体制を整備しました。
  • グレード要件の明確化:各グレードに必要なスキルや成果を具体的に定義し、昇格条件を明確にしました。

スキル評価の導入

  • 企業の価値観を反映したコアスキルの設定:企業の価値観を体現した行動を明確化し、コアスキルの評価設問とし設定しました。
  • 職種別業務スキルの設定:プランナー、グラフィックデザイナー、プログラマー、サウンドクリエイターなど、各職種の特性に応じた業務スキルを詳細に設定しました。
  • 役職別マネジメントスキルの設定:役職ごとに求められるマネジメントスキルを明示し、評価項目に組み込みました。

業績評価の強化

  • プロジェクト評価の導入:プロジェクトにおけるインプット(投入資源)、プロセス(業務遂行)、アウトプット(成果物)を評価する指標を設定し、プロジェクト評価を導入しました。
  • 自己PR制度の導入:将来的なプロフェッショナル型の年俸交渉を見据え、自己PRを評価プロセスに取り入れました。
  • アシスタント職向け評価項目の設定:業務の量と質に関する具体的な評価項目を設け、若手社員やサポート職の成長を支援しました。

賃金制度の見直し

  • 基本給バンドの設定:グレードごとに基本給の範囲(バンド)を設定し、公正な賃金体系を構築しました。
  • 手当の整理と統合:属人的に設定されていた手当を削減・統合し、賃金体系をシンプルで分かりやすいものにしました。
  • 業績連動型賞与の導入:会社業績と個人の評価結果に応じて変動する賞与制度を導入し、社員のモチベーションを高めました。
  • 長期インセンティブ制度の検討:ストックオプションなど、長期的な企業価値向上に貢献した社員への報酬制度を検討しました。
成長を加速する人事制度設計コンサルティング

コンサルティングの成果と効果

行動特性評価:スキル評価の業務スキルが職種ごとの特性を反映したものとなったことで、社員の能力評価に対する信頼性と納得感が大幅に向上しました。評価者も具体的な評価項目に基づいて評価を行えるようになり、評価プロセス自体が組織全体の成長につながるものとなりました。

また、スキル評価は上長が、プロジェクト評価はプロジェクトマネージャーがそれぞれ評価を行う体制としたため、評価者が増加し、評価の客観性と精度が高まりました。これにより、社員は自身の強みや改善点を正確に把握できるようになり、キャリア開発に積極的に取り組むようになりました。

賃金制度の見直しにより、評価結果が賃金や賞与に直接反映される仕組みが確立し、社員の働きがいとエンゲージメントが向上しました。特に、業績連動型賞与の導入は、会社の目標達成に向けた一体感を醸成し、組織のパフォーマンス向上につながりました。

さらに、キャリアパスの多様化により、高度な専門スキルを持つ社員がマネジメント以外の道でキャリアアップできるようになり、専門性の高い人材の定着率が上昇しました。これが組織の技術力向上と競争力強化に寄与しました。

会社業績を賞与に反映するルールの設定により、社員一人ひとりが会社全体の成功に関心を持つようになり、組織としてのまとまりが強化されました。

本事例は、職種特性に合致した評価制度と多様なキャリアパスの提供により、社員の評価に対する信頼性と納得感を高め、組織全体のパフォーマンスを向上させた成功例です。当社は、このような取り組みを通じて、企業の持続的な成長と社員の幸福を追求するお手伝いをしております。人事制度の見直しや組織改革をご検討の際は、ぜひ当社の人事コンサルティングをご利用ください。