評価制度(電気機器メーカー)
評価基準が曖昧で現場の実態に即していない評価制度により、社員の納得を得られていなかった状況を、評価基準を明確化し現場の実態に即した評価制度に改定することで解決した電気機器メーカー(社員数800名)の成功事例をご紹介します。
依頼の背景と課題
この電気機器メーカーでは、役割をベースとした人事制度を導入し、人事評価制度としてコンピテンシー評価と目標管理ベースの業績評価を整備していました。一見すると評価制度の形は整っていましたが、以下のような課題が存在していました。
- コンピテンシーの問題点:職種別に評価シートが細分化されているものの、評価項目が抽象的で現場の実態を反映しておらず、評価者によって解釈が異なるため、評価結果にばらつきが生じていました。
- 業績評価の問題点:目標管理ベースの業績評価において、目標設定や評価基準が曖昧で、評価が「中の上」に集中する傾向がありました。これにより、社員の評価に対する納得性が低下し、モチベーションの低下につながっていました。
- 社員のエンゲージメント低下:評価制度への不信感から、社員のエンゲージメントや生産性が低下し、離職率の増加も懸念されていました。
経営陣は、よりシンプルで社員の納得を得られる人事評価制度を導入し、組織全体の活性化と業績向上を図りたいと考えていました。そのため、以下のポイントに焦点を当てた評価制度の再構築が必要とされました。
- 評価基準の明確化
- 現場の実態に即した評価項目の設定
- 評価プロセスの透明性向上
- 社員の自主性と積極性を引き出す仕組みの導入
人事評価制度設計のポイント
コンピテンシー評価の再構築
- 業務特性にフォーカスした評価項目の設定:シンプルな制度が望ましいという要望から、当社オリジナルのスキル評価の業務スキルを通常の職種別ではなく、業務の特性に着目し、業務を複数のタイプに分類しました。例えば、クリエイティブ系業務、アルゴリズム系業務などの業務タイプごとに必要な行動特性を設定しました。
- 評価設問の具体化:評価の設問を具体的な行動に結びつけやすいものとすることで、評価者と被評価者が共通の理解を持てるようにしました。
- 評価シートの簡素化:評価シートの項目数を適切に絞り込み、評価プロセスを効率化しました。
業績評価の見直し
- 目標設定の定量化:目標管理ベースの業績評価において、目標を可能な限り定量的な指標で設定するようにしました。これにより、評価基準が明確になり、達成度を客観的に評価できるようになりました。
- 評価基準の明確化:各目標に対する評価基準を事前に明示し、評価者と被評価者が同じ基準で評価プロセスに臨めるようにしました。
- 自己PR制度の導入:目標管理で設定した目標以外にも、会社、部門、チームへの貢献を自主申告できる「自己PR」を導入しました。これにより、定量的な目標では拾いきれない貢献度を評価に反映できるようになりました。
- 360度評価の導入:上司だけでなく、同僚や部下からのフィードバックも取り入れることで、評価の公平性と納得性をさらに高める仕組みを導入しました。
評価プロセスの透明性向上
- フィードバック面談の充実:評価結果をもとに、上司と部下が対話を通じて成長課題やキャリアパスを共有できるよう、フィードバック面談の頻度と質を向上させました。
- 評価者研修の実施:評価者となるマネージャーに対し、適切な評価方法やフィードバックスキルを習得する研修を実施しました。
コンサルティングの成果と効果
新しい評価制度の導入により、以下の成果が得られました。
- 社員の納得性の向上:評価がシンプルで分かりやすくなり、評価基準が明確になったことで、社員の評価に対する納得性が格段に高まりました。これにより、社員のモチベーションやエンゲージメントが向上しました。
- 自己PRによる積極性の引き出し:自己PR制度の導入により、社員は目標管理では拾いきれない業務上の成果や貢献を積極的に申告できるようになりました。これが社員の自主性を高め、組織全体の活性化につながりました。
- 評価の公平性と客観性の向上:評価基準の明確化と評価プロセスの透明性向上により、評価結果のばらつきが減少し、公平性と客観性が高まりました。
- 生産性と業績の向上:社員のモチベーション向上と自己成長意欲の高まりにより、生産性が向上し、業績も改善しました。
本事例は、評価基準の明確化と現場の実態に即した評価制度の導入により、社員の納得性を高め、組織全体の活性化と業績向上を実現した成功例です。当社は、このような取り組みを通じて、企業の持続的な成長と社員の幸福を追求するお手伝いをしております。人事評価制度の見直しや組織改革をご検討の際は、ぜひ当社の人事コンサルティングをご利用ください。