人事制度(アウトソーシング)

数年後の株式公開を見据え、経営理念を体現したシンプルで透明性の高い人事制度を導入し、組織の成長に一段と弾みをつけたアウトソーシングサービス企業(社員数80名)の成功事例をご紹介します。

依頼の背景と課題

このアウトソーシングサービス企業は、設立以来、順調に業績を伸ばしており、数年後の株式公開(IPO)に向けた準備を進めていました。この重要なタイミングで、組織基盤を強化し、さらなる成長を促進するために、しっかりとした人事制度を整備したいと考えていました。

同社が求める人事制度には、以下の5つの要件がありました:

  1. 会社の成長を加速すること:人事制度が企業戦略と連動し、組織全体のパフォーマンス向上を促進する。
  2. 社員にとって魅力的であること:働きがいを感じられる環境を提供し、優秀な人材の定着と採用を促進する。
  3. 経営理念を体現すること:企業のビジョンや価値観を社員一人ひとりが共有し、行動に反映できるようにする。
  4. 極力シンプルであること:複雑な制度ではなく、誰もが理解しやすく運用しやすいシステムを構築する。
  5. 透明性が高いこと:評価や報酬の決定プロセスが明確で、公平性と納得感を持てるようにする。

さらに、IPOに向けて、時間外勤務の管理や人事関連の諸規程の整備といった労務管理上の課題も同時に解決する必要がありました。

人事制度設計のポイント

グレードの導入

  • シンプルで明快なグレード設定:組織の階層を簡潔にし、社員が自分の現在位置と将来のキャリアパスを明確に理解できるようにしました。
  • 複線型キャリアパスの構築:ライン管理職コースに加えて、高度専門職コースを設け、専門スキルを持つ社員がマネジメント以外でもキャリアアップできるようにしました。
  • 昇進・昇格基準の明確化:各グレードに必要な役割やスキル、成果を具体的に定義し、社員が目指すべき目標を明確にしました。

評価制度の見直し

  • 経営理念を反映したコアスキルの設定:会社のビジョンや価値観を社員の日々の行動に落とし込むため、コアスキルに経営理念を反映させました。
  • 職務別の業務スキルの具体化:各職務ごとに成果に直結する行動特性を明確にし、スキル評価項目として設定しました。
  • 目標管理(MBO)の導入:社員自身が目標を設定し、その達成度を評価する仕組みを取り入れ、自己成長と組織目標の一体化を図りました。

賃金制度の見直し

  • シンプルな給与体系の構築:属人的な諸手当を最小限にし、基本給と業績連動型賞与を中心とした分かりやすい給与体系を設定しました。
  • 時間外勤務の管理と法令遵守:IPOを見据えて、労働時間の適正管理や法令遵守の強化を図り、労務リスクを低減しました。
  • 業績連動型賞与の導入:会社の業績と個人の成果を反映した賞与制度を取り入れ、社員のモチベーションアップを促進しました。

運用ルールの整備と公表

  • 評価結果の賃金・賞与への反映ルールの明確化:評価がどのように報酬に結びつくかを明示し、社員の納得感を高めました。
  • 社員への徹底した説明と理解促進:新制度導入時に複数回の説明会や研修を実施し、社員の理解と協力を得ました。
成長を加速する人事制度設計コンサルティング

コンサルティングの成果と効果

新たな人事制度の導入により、以下の成果を達成しました。

  • 社員の役割理解と安心感の向上:スキル評価や目標管理を通じて、自分に期待される役割や必要な行動が明確になり、社員自らが中長期的な目標を設定しやすくなりました。これが安心感につながり、離職率の低下にも寄与しました。
  • モチベーションと生産性の向上:ダイナミックな評価反映ルールと昇給・昇格の透明性により、社員のやる気が高まり、生産性も向上しました。これが会社の成長にさらに弾みをつけました。
  • 組織の一体感と企業文化の浸透:経営理念を体現した人事制度により、社員一人ひとりが会社の価値観を共有し、組織の一体感が強化されました。
  • IPO準備の加速とガバナンス強化:時間外勤務の管理や人事関連諸規程の整備など、労務管理上の課題を解決し、コンプライアンス体制を強化しました。これにより、株式公開に向けた準備がスムーズに進みました。

本事例は、経営理念を体現し、社員にとって魅力的で透明性の高い人事制度を導入することで、組織全体のパフォーマンスを向上させ、成長を加速させた成功例です。当社は、企業のビジョンや課題に合わせた最適な人事制度の構築をサポートいたします。

人事制度の見直しや組織改革をご検討の際は、ぜひ当社の人事コンサルティングをご利用ください。組織の持続的な成長と社員の幸福を追求するパートナーとして、全力でお手伝いいたします。