依頼の背景と課題
このWeb制作会社では、現行の人事制度に明確なコンセプトがなく、会社の方向性やルールが不明瞭な状況でした。また、人事評価の構成や内容が平凡で、目指す人材戦略とマッチしておらず、社員のモチベーションやパフォーマンスに課題がありました。
今後の事業展開や市場の変化を考慮すると、人事面での競争力強化は必須であり、経営的にはわかりやすい成果主義を取り入れたいと考えていました。しかし、急激な方向転換は社風に合わず、社員のモチベーションに悪影響を及ぼす可能性がありました。現状、会社の雰囲気は良好であり、そのバランスを崩したくないという懸念もありました。
経営層内でも方法論に対する見解は異なっていましたが、将来に対する危機感は共有されており、メリット・デメリットを納得した上で、バランスよくシフトできる方法を共に考えてほしいというご依頼でした。
人事制度設計のポイント
コンセプト設定
- 現状分析と意見収集:ヒアリングに重点を置き、現状の問題点と解決方法について多くの意見を聴取しました。社員や経営層からのフィードバックを体系化し、大まかな方向性を策定しました。
- 新人事制度のコンセプト策定:現状の課題と目指すべき人材戦略を踏まえ、会社の方向性を明確に示す新人事制度のコンセプトを設定しました。
グレードの見直し
- 実力基準の複線型グレードの導入:社員の能力や成果に応じて評価される実力基準で、複線型(専門職コースを新たに導入)のグレードを設定しました。
- 組織再編の実施:グレードの変更に伴い、組織構造を再編成し、社員のキャリアパスを明確化しました。
評価制度の見直し
- 人材戦略に基づくスキル評価の設計:現状や実態よりも、目指すべき人材戦略に基づいた職種ごとのスキル評価を設計しました。これにより、社員が求められるスキルや行動特性を明確に理解できるようになりました。
- 業績貢献度の評価基準の段階的導入:業績貢献度の評価基準を複数設計し、年ごとに徐々に反映率を高めるように工夫しました。これにより、社員への負担を軽減しつつ、成果主義への移行をスムーズに進めました。
賃金制度の見直し
- 実力ベースの賃金体系への移行:実力ベースの賃金とするために、既存の手当を段階的に廃止し、一部は福利厚生に組み込みました。これにより、賃金体系をシンプルにし、公平性を高めました。
- 業績連動型賞与の導入:会社の業績や個人の成果に応じて変動する業績連動型賞与を導入し、社員のモチベーション向上を図りました。
反映ルールの設定と移行計画
- 3年計画でのシフト:急激な変化による社員への影響を最小限に抑えるため、3年計画で人事制度を段階的に移行する移行案を策定しました。
- コミュニケーションの強化:社員への説明会や質疑応答の場を設け、新制度の目的や内容、移行スケジュールについて丁寧に説明しました。

コンサルティングの成果と効果
目指す人材戦略と人事制度がフィットしたことにより、経営層はもちろん、社員からも高い満足度を得られました。特に、社員の評価に対する納得性が高まり、安心感が増したことが大きな成果でした。
また、大きな混乱もなく、ほぼ計画通りに移行を進めることができました。移行が予想以上にスムーズに進行したことから、もう少し大胆に移行を進めても(計画を短縮しても)問題なかったのではと感じるほどでした。
社員のモチベーションが維持・向上し、会社全体の雰囲気も良好なまま、人事制度の改革を実現できたことは、大きな成功と言えます。
本事例は、明確なコンセプト設定と段階的な移行措置を講じることで、社員の納得性・安心感を高めながら、人事制度の改革を成功させたWeb制作企業の成功例です。当社は、このような取り組みを通じて、企業の人事課題の解決と持続的な成長をサポートしております。
人事制度の見直しや組織改革、社員のモチベーション向上をご検討の際は、ぜひ当社のコンサルティングサービスをご利用ください。貴社のビジョン実現に向けて、最適なソリューションを提供し、全力でお手伝いいたします。
本事例で紹介した制度設計の基本的な考え方は、人事制度コンサルティングのページで詳しく解説しています。