人事制度（ソフトウェア開発）

依頼の背景と課題

このソフトウェア開発会社では、15年前に当時の総務部長が作成した人事制度をそのまま使用していました。しかし、定性評価（能力評価）や業績評価の内容が現場の業務実態と乖離しており、社員から不満が噴出していました。

具体的には、評価基準が古く、現在の業務内容や求められるスキルセットを反映していなかったため、社員は自分の努力や成果が正当に評価されていないと感じていました。また、賃金制度も年功序列の色が強く、上司よりも賃金が高い年上の部下が存在するなど、組織のヒエラルキーが逆転する状況が見受けられました。これにより、社員の士気が低下し、生産性や離職率にも影響が出る懸念がありました。

これらの課題を解決するため、以下のポイントに焦点を当てた人事制度の見直しが必要とされました：

• 業務実態に合った評価制度の導入：現場の業務内容や求められるスキルを正確に反映した評価基準を設定し、社員の納得感を高める。
• 会社への貢献度に応じた賃金制度の導入：年功序列を排除し、実力や成果に基づく賃金体系に変更する。
• 評価プロセスの透明性向上：評価結果の反映ルールや賞与の配分方法を明確にし、社員への説明を徹底する。

人事制度設計のポイント

コンサルティングの成果と効果

スキル評価の導入により、社員は自分に期待される職務行動が明確になり、評価への不満が激減しました。具体的な評価基準に基づき、自分の強みや改善点を正確に把握できるようになり、自己成長に積極的に取り組む姿勢が見られるようになりました。

また、業績評価をプロジェクト評価とリンクさせたことで、チーム全体での目標達成に向けた協力体制が強化されました。これにより、プロジェクトの品質が向上し、顧客満足度も高まりました。

賃金制度から年功的要素を排除し、実力基準に変更したことで、社員の納得感が格段に向上しました。能力や成果が正当に報われる仕組みが整備されたことで、社員のモチベーションが高まり、生産性の向上にも寄与しました。

さらに、評価結果の賃金への反映ルールをできる限り公表したことで、人事制度の透明性が高まりました。社員は自分の評価がどのように処遇に反映されるかを理解できるようになり、人事制度に対する信頼性も向上しました。その結果、社内に活気が戻り、離職率の低下や優秀な人材の定着につながりました。