人事制度(デザイン)

人事制度の導入により、部下の育成・指導などのマネジメントスキル、業務効率や社員の自律性が向上し、組織全体のパフォーマンスを高めたデザイン会社(社員数30名)の成功事例をご紹介します。

依頼の背景と課題

このデザイン会社は、これまで社長の営業力と創業時から在籍するアートディレクターの二人三脚で、優良なクライアントからの仕事を獲得し、順調に売上を伸ばしてきました。アートディレクターはクリエイティブ面でのリーダーシップを発揮し、クライアントとのコミュニケーションやプロジェクトのディレクションを担当していました。

しかし、最近になってそのアートディレクターが退職したことで、クライアントとのコミュニケーションやプロジェクト管理に支障が生じました。社長が一時的にこれらの業務をカバーしているものの、長期的には新たなアートディレクターを育成し、組織全体の安定性と成長を維持する必要がありました。

また、社員の中には常態的に深夜まで会社に残る者が数名おり、その時間の使い方や業務効率に課題がありました。長時間労働が必ずしも生産性向上につながっておらず、働き方の改善が求められていました。

さらに、部下の育成・指導力やプロジェクトマネジメント能力を高め、会社の経営理念や方針を社員全体に浸透させる必要がありました。そのため、新たに人事制度と評価制度を導入し、社員の能力開発と組織力の強化を図りたいとのご依頼をいただきました。

人事制度設計のポイント

グレードの導入

  • 企業規模に合ったシンプルなグレード設定:小規模な組織であることを考慮し、複雑な階層構造を避け、誰もが理解しやすいシンプルなグレード制度を設定しました。これにより、社員が自分の現在の立ち位置と将来のキャリアパスを明確に認識できるようにしました。
  • 昇進・昇格基準の明確化:各グレードに求められる役割やスキル、成果を具体的に定義し、社員が目指すべき目標を明確化しました。

スキル評価の導入

  • アートディレクター向けの評価項目設定:部下の育成・指導、プロジェクトのディレクション、マネジメントスキルに関する評価項目を設定しました。これにより、リーダーとして必要な能力を客観的に評価し、育成することが可能になりました。
  • デザイナー向けの評価項目設定:クリエイティブスキルに加え、業務効率や自律性に関する評価指標を導入しました。具体的には、時間管理能力やタスクの優先順位付け、自己学習意欲などを評価項目に追加しました。
  • 経営理念・方針の浸透:会社の経営理念や方針に関する設問をコアスキルの評価項目に設定し、社員が企業の価値観を理解し、日々の業務に反映できるようにしました。
  • 360度評価の検討:上司だけでなく、同僚や部下からのフィードバックも評価に反映させ、公平性と納得感を高める取り組みも検討しました。

業績評価の強化

  • アートディレクターの業績評価:所掌するプロジェクトのアウトプットの品質、顧客満足度、リソース管理(アサイン・所要工数)などを評価指標として設定しました。これにより、プロジェクト全体の成果とマネジメント能力を総合的に評価できるようになりました。
  • デザイナーの業績評価:業務の量と質に加え、納期遵守やクライアントからのフィードバックなどを評価項目に取り入れ、個人のパフォーマンスを正当に評価できる工夫をしました。
  • 目標管理(MBO)の導入:社員自身が目標を設定し、その達成度を評価する仕組みを取り入れ、自律的な成長を促しました。

賃金制度の見直し

  • シンプルな賃金体系の導入:最もシンプルなシングルレートの洗い替え方式の基本給を導入し、2年間の移行期間を設定しました。これにより、給与計算の効率化と社員の納得感を向上させました。
  • 業績連動型賞与の検討:会社の業績や個人の成果に応じて変動する賞与制度を検討し、社員のモチベーション向上を図りました。

マネジメント研修の実施

  • 少人数制の集中的な研修:新人事制度導入時に、アートディレクター候補者を対象に、少人数制のマネジメント研修を集中的に実施しました。内容は、部下育成、チームビルディング、プロジェクトマネジメント、コミュニケーションスキルなど多岐にわたります。
  • 実践的なトレーニング:ケーススタディやロールプレイングを取り入れ、実際の業務で直面する課題に対処できるスキルを養成しました。
  • 継続的なフォローアップ:研修後も定期的にフォローアップを行い、マネジメントスキルの定着と向上をサポートしました。
成長を加速する人事制度設計コンサルティング

コンサルティングの成果と効果

新しい評価制度の導入と同時に、アートディレクター候補者に対するマネジメント研修を実施した結果、以下のような成果が得られました。

  • 社員の目標意識と積極性の向上:評価制度により具体的な目標が明確になったことで、社員一人ひとりが自身の役割と期待される成果を理解し、積極的に業務に取り組む姿勢が見られるようになりました。
  • マネジメントスキルの向上:アートディレクター候補者は評価とマネジメント研修を通じて、部下の育成・指導やプロジェクトマネジメントに関するスキルを習得しました。これにより、リーダーとしての自覚が芽生え、チーム全体のパフォーマンスが向上しました。
  • 業務効率の改善と時間管理の強化:業務効率や自律性に関する評価項目の導入により、社員は自分の時間の使い方を見直し、生産性向上に取り組むようになりました。結果として、長時間労働が減少し、働き方改革が進みました。
  • 経営理念の浸透と組織文化の強化:コアスキルに経営理念や方針を組み込んだことで、社員全体が会社の価値観を共有し、組織の一体感が高まりました。
  • クライアント満足度の向上:アートディレクターやデザイナーのスキルアップにより、プロジェクトの品質が向上し、クライアントからの信頼と満足度が高まりました。

本事例は、人事制度の導入、そしてマネジメント研修の実施により、社員のマネジメントスキルや業務効率、自律性を向上させ、組織全体のパフォーマンスを高めた成功例です。特に、アートディレクターが退職したという大きな課題に対して、適切な人材育成と組織力の強化を図ることで、組織の安定と成長を実現しました。

当社は、このような取り組みを通じて、企業の課題解決と持続的な成長をサポートしております。人事制度の見直しや組織改革、社員のスキルアップをご検討の際は、ぜひ当社の人事コンサルティングをご利用ください。貴社のビジョン実現に向けて、全力でお手伝いいたします。