変化の時代における人事制度の重要性
広告代理店を取り巻く経営環境は、今まさにかつてないスピードで変化しています。デジタル技術の進展、消費者ニーズの複雑化、SNSによる情報流通の変化、さらにはサステナビリティや多様性への対応など、企業に求められる価値は日々アップデートされています。
環境が変わっても、楽しさや感動、人とのつながりといった本質的な価値は変わりません。これらを生み出すのは、まさに“人”であり、企業の信頼やブランドを支えているのも「社員」です。
だからこそ、人事制度は社員と組織がともに成長するための「仕組み」であるべきです。モアコンサルティンググループでは、広告代理店の業態特性に根差した人事制度コンサルティングを通じて、人財の成長と企業価値の向上を両立する仕組みをご提案しています。
社員一人ひとりの「ポテンシャル」を成果に変える人事制度
広告ビジネスにおいて価値を創出するのは、人の頭脳と感性、そしてチームの総合力です。社員が自らの可能性を信じ、成長を志向するグロースマインドセットを持ち続けられる環境が、持続的成長の原動力となります。
人事制度には、社員一人ひとりの“成長要因”を引き出し、それを成果につなげる仕組みであることが求められます。また、努力や貢献が公正に認められ、「この会社で働いてよかった」と誇れる文化を醸成することも重要です。当社は、社員にとって「働きがいがあり、活躍できる最高の会社」の実現を支援いたします。
職種別キャリアラダーの明確化と専門性の尊重
中小規模向け:3職群モデル
広告代理店における人材マネジメントの出発点は、多様な職種とその専門性を正しく認識し、それぞれに最適な成長の道筋を示すことにあります。
中小規模の広告代理店においては、職種の構成がよりシンプルである傾向があります。そのため、以下のような3つの職群を基本としたキャリアラダーの設計が現実的かつ有効です。
- アカウント職:顧客との信頼構築力、課題解決力、提案力を中心に評価します。営業アシスタントは、クライアント対応の補助や資料作成、進行管理といった役割を担い、アカウント職の初級層として位置づけられます。
- クリエイティブ職:独創性、表現力、感性といった非定型の強みを定性的・定量的に評価します。企画・デザイン・コピーなどを担当し、ブランド価値の核を形成します。
- バックオフィス職:経理・人事・総務といった業務を担い、組織運営の基盤を支える役割です。正確性、効率性、他部門との連携や改善提案力などが評価のポイントになります。
このように職群ごとのキャリアラダーを明確に設定することで、社員自身が自分の成長ステージを認識しやすくなり、将来のキャリアビジョンを描くうえでの指針となります。キャリアラダーは、社員の成長目標を可視化し、将来の自分像に向けた努力を継続させるための強力な仕組みとなります。
※なお、アカウント職・クリエイティブ職・バックオフィス職の3分類は、中小広告代理店において、実務上の運用と専門性のバランスが取れた設計として推奨されます。ただし、Web広告運用やSNSマーケティングを主軸とする中小広告代理店では、下記のデジタル職を独立した職群として設けるケースもあります。
中堅規模以上向け:追加職群の検討
一方、社員数が50名を超える中堅以上の広告代理店においては、職種や専門性がより細分化される傾向にあります。その場合、以下のような追加的職群も検討対象となります。
- プランナー職:マーケティング戦略やプロモーション施策を立案し、企画全体の骨組みを設計する役割。
- デジタル職:Web広告運用、SNSマーケティング、データ分析など、デジタル領域に特化した専門職。
- プロデューサー職:クリエイティブ全体の進行管理や、制作チームとクライアントとの橋渡しを担う統括的役割。
これらの職群を明確に定義し、それぞれに応じた評価基準や成長ステップを設けることで、専門性を高めつつ組織全体のシナジーを引き出す人事制度を実現することが可能となります。
クリエイティビティを評価・高める仕組み
このように職種ごとのキャリアラダーが整理されたことを踏まえ、次に重要となるのが、広告代理店の根幹をなす価値である「創造性」をどのように評価し、高めていくかという視点です。
広告代理店における競争力の源泉は、何よりも「クリエイティブ」です。しかし、単純な成果主義だけではその価値を正しく捉えることはできません。以下の3軸を取り入れた多面的な評価制度が必要です。
- プロセス評価:アイデア創出の過程や企画の構想段階での挑戦、失敗からの学びと成長を評価します。
- インパクト評価:市場やクライアントに与えた影響、話題性、ブランドへの寄与を正当に評価します。
- ナレッジ共有評価:成功事例やノウハウを社内に共有し、組織全体の知見を高めた貢献を評価します。
創造性を尊重し、リスクを恐れず挑戦する文化を醸成する評価制度が、次世代の広告代理店の土台となります。

チーム成果を評価し、コラボレーションを促進する制度
広告の仕事は、個人の能力だけでは完結しません。プランナー、デザイナー、コピーライター、メディア運用担当など、それぞれの専門性を持ったメンバーが連携し、成果を生み出す「チーム力」が肝要です。そのため、人事評価も個人偏重ではなく、チーム成果を正当に評価する視点が必要です。
- チーム目標の達成度の可視化と報酬連動。
- 部門間連携やプロジェクト参画の積極性を評価項目に反映。
- 他者支援、チーム内の心理的安全性への貢献なども評価。
こうした取り組みによって部門の垣根を越えた協働が進み、組織全体の一体感と活力が高まります。
誇りを持って働く人財の育成を
私たちが導入を支援する人事制度は、単に「等級」や「評価」を定めるものではありません。社員が自らの成長に希望を持ち、常に「一流」を志すマインドを持ち続けられる仕組みを創ること。それが、次世代の広告代理店が目指すべき人事制度の本質であり、持続的成長を支える土台だと考えています。
そのためには、社員一人ひとりが「自分は期待されている」「この組織の未来を担っている」という実感を持てる制度設計が欠かせません。期待と役割を明示すること、成長のプロセスを認めること、成果を正当に称えること、これらすべてが働く誇りを育みます。
変化を恐れず、創造を楽しみ、社会に驚きと価値を提供し続ける。その中心には、いつも「人」がいます。モアコンサルティンググループは、未来を見据えた広告代理店の人事制度設計を通じて、貴社のビジョン実現を全力でご支援いたします。
人事制度の設計全般について詳しく知りたい方は、人事制度コンサルティングの総合案内ページをご覧ください。
また、人事制度と一体不可分の関係にある人事評価制度について詳しく知りたい方は、人事評価制度コンサルティングの総合案内ページをご覧ください。