第14回:TV東京コメントの続き
先日(10月1日)TV東京の「NEWSアンサー」で今回の内閣改造についての私のコメントが放映されました。民間企業の人事の視点でごく一般的なコメントをしたところ、「予想以上に厳しい意見」との感想を頂きました。放映されたのはコメントのごく一部でしたので、コメントの続きを簡単にご紹介します。
お題は「人事のプロから見た今回の内閣改造について」です。
まず、国務大臣(以下「大臣」という。)が民間企業ではどの役職に相当するかというと、役員に相当すると考えられます。
役員が3年間で8回も変わったら、その会社は外から見ると経営状態が不安定でプロフェッショナルな人材のいない会社に見えてしまいます。また、競争力の視点からは「弱い会社」、投資・取引の視点からは「信用できない会社」というイメージになってしまいます。
諸外国から見ると、国の人事に落ち着きがない時は、内部が混乱しているように見え、またスキが多いという印象になることから、様々な意味で不利な状態にあると思います。国も企業も外部と接触しながら集団活動を行う以上、外部から強いチームか弱いチームか、まずはメンバーの情報で評価されるので「人事によるイメージ」はとても重要です。
また、当然のことですが、大臣のプロフェショナル度は高ければ高いほど有利なので、一定期間の在職とスキルや成果のアピールは必要です。大臣の交代やレベルのばらつきを前提にそのポストのプロフェショナル度を上げていくためには、「評価」を整備して定期的に評価を行い、フィードバックするなどして、反省、改善、修正を積み重ねていくしかありません。その際、業績と行動の両面からの評価が必要となります。皆で大臣を育成するのです。
さて、大臣の方々に今求められているスキルとしては、強いリーダーシップはもちろんのこと、交渉力、コミュニケーション力、コスト意識、さらにはムードメーカー性やユーモアのスキルも必要です。特に、ムードメーカー性やユーモアのスキルは窮地に立たされた時や、難局に立ち向かう時には風向きを変えるスキルとしてとても役に立ちます。
このスキルは万国共通であり、個人の人間性や知識・経験がにじみ出ることから、うまく行けば好印象を与えるだけではなく、友好的な感情や共感・理解を得ることにもなります。もちろん、失敗に終わることもありますから、覚悟も必要です。
多くの情報がネットを通じて発信される時代ですから、良くも悪くも「文章」ではないライブ感は人を引きつけます。そのパフォーマンスが「政治SHOW」と言われても、多くの国民の関心が深まるのであれば政治家もマスコミも大いに盛り上げて頂きたいと思います。
このように考えれば「プロフェショナル度」が多少低くても「期待させる何かがある」と思わせる雰囲気があれば、少しは良いのですが・・・。
さて、今回の内閣のキャスティング、どんな成果を生むでしょうか。